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おかいもの


布団を二つ並べて敷く。那美も手伝ってくれている。


「手伝ってくれてありがとうね」


「いいよー」


電気を消してから寝たふりをした。そしてちゃんとこの様子なら朝まで起きないだろう。





「すぅちゃん、いかないで、いっちゃだめ、お願い…」


突然那美の声で目覚めた。どうもうなされているようだ。

那美の夢の内容は良くわからないが、自分でも知らないうちに那美を抱っこして頭を撫でた。


「大丈夫、ここにいるから、安心して」


と言ったら、落ち着いてすぐにまた規則的に寝息をたて始めた。





朝、目が覚めた。僕の腕の中でこちらの様子をうかがっている。

よく考えると、いくら7歳に見えたとしても、子供ではなく16歳という年頃の女の子。そして、うなされているなんて夢の中だから本人は知らないだろう。何て言えば、いいんだろう。


「おはよ、総司」


全く気にしてない様子でこっちを見ている。


「おはよう、ごめんね、重かったでしょ。動けなかったよね。」


「暖かかったから明日もこうして寝るの!」


「ま、まぁ、朝御飯作ってくるよ!」





「今日、買い物に行かないといけないから外出してくる!」


朝食の片付けをしているときに那美が近づいてきた。

一人ではなにかと心配だ。迷子になったり、誘拐されるかもしれないし、ましてや魔に襲われるかもしれない。


「僕も買っときたいものあるから、ついでに案内もするし一緒にどうかな?」


そうして一緒に買い物にいくことになった。





「何を買うのかな?」


隣を歩く那美に聞いてみる。


那美は昨日と同じ様な格好で、コートにマフラー、明るいオレンジ色のスカート、黒のニーハイにブラウンのブーツをはいている。今時の女の子という感じだ。


「えーっとね、歯ブラシと、りーさちゃんと頼んでおいた服を取りに行くの!戦闘用の装束が少し小さくなっちゃったから!」




「よし、これでもう終わりかな?

そろそろお腹すいたからここ辺りでお昼ごはん食べようか」


那美は嬉しそうにうなずいている。ほとんど外食したことがないと聞いていたし無理もないよね。




「カレー、辛いかもしれないけど大丈夫?」


那美はカレーを頼んだ。見た目的に考えると、辛いのが苦手そうなイメージがある。大丈夫に越したことはないだろうけど、もし辛くて食べれなかったら可哀想だし、僕はクリームパスタにしておいた。


「いただきます」


那美は笑顔でカレーを口に入れた。その瞬間、スプーンをおきうつむく。


たぶん、辛かったのだろう。涙目になっている。


「それなら、僕、カレー食べたかったし、もらっていいかな?

代わりにこのパスタあげるよ。」


そう言った途端、那美はぱぁーっと顔が明るくなった。




「ところで、8㎞先、西南西方向、魔が出てるの気づきました?」


那美の雰囲気がいつもと違う。口調も違う。何でだろう。


「えっと、うん、気づいてるよ。結構強いみたいだね。

荷物は案内所の人に預けて、戦闘用の服に着替えたほうが良さそう。」




僕は祓魔士の制服に、那美は赤と白の巫女装束に着替えた。


「私の術で移動しようと思います。構いませんか?

構いませんよね。

──────《強制転移》」




那美がそう言うと回りの景色が一瞬で変わった。

たぶん瞬間移動とかテレポート的な感じだとは思うけど、今までこんな術は見たことがなかった。とりあえずら魔の方に目を向ける。


なんというか、ふわふわ、もふもふな、3mはあるような狐。


「これってさ、たぶん九尾の狐だよね。もふもふしちゃだめだからね?ってあれ、那美?」


「うわぁ、もっふもふだぁ、総司!家で買っちゃダメ?」


もう振り向いたときには那美は九尾の胸辺りでもふもふしていた。

何故か口調も戻っている。


「お家では買えないよ。とりあえず、離れてね。」


まったく那美には注意も聞こえていない。

でも、ハッとしたようにもふもふしながら、


「総司、この九尾の首もとになにか付いています。それをあなたの刀で攻撃してください。」


口調はまた敬語になったけど、もふもふはやめない。


「危ないから、少なくとも気を付けてね。那美」


近くにあった気を使いながら高いところから首辺りに向けて飛び降りる。

九尾は、咄嗟に尻尾で攻撃してきた。

ふわふわのはずの尻尾は、空中にいた僕を叩き落とすのに使われる。

想像以上に力が強い。


「総司!ごめん!大丈夫じゃないよね。えっと、なんというか、

──────《雷落》」


そう那美がいうと雷が九尾に落ちる。

九尾の動き、特に尻尾の動きは著しく低下した。

そして、僕は首すれすれを力一杯切った。が、傷しかつけられなかった。何もないように見えていた首回りに首輪のようなものが付けられている。その首輪を那美は切ってくれと言ったのだろう。


何かが故意に九尾の狐に首輪をつける。

それについている術で九尾は暴れる。それを見つけた祓魔士が九尾を倒す。しかし、九尾は言い伝えとして、討伐されたときに【殺生石】と呼ばれる石に変わったとされている。その石は毒ガスが発せられていて、たくさんの人がなくなったと言われている。つまり、罠のようなものかな。


「那美、これはどうしたらいいのかな。」


「まさみっちゃんに貰っていた、魔封じの石を使いましょう。

ただ、魔封じの石も万能ではないので、封じるのに条件があります。この石に九尾の術系の攻撃を吸収させないとダメなんです。」


九尾の攻撃はまだ尻尾の力技しか受けていない。術系の攻撃をどうやって引き出すかも問題。




僕は今、那美の指示に従って動いている。

魔封じの石は、半径5㎝ほどの水晶のようなもので、それを九尾の攻撃に向けて投げる予定だ、だから、僕は九尾の真正面で待機している。

那美は九尾に片手で触りながら、なにか唱えている、そうすると、九尾はなにか口から風をぎゅっと丸くしたような球を飛ばしてきた。たぶんこれが九尾の術系の攻撃。

急いで石を投げる。それから攻撃を吸収しきった後、キャッチした。


「石封じ」


そう那美が言うと九尾が石に吸い込まれ、ついていた首輪は小型犬に付けるサイズになり残った。





「すごかったね、那美」


「総司の投球センスが一番すごかったの!!」


那美の口調が元に戻ってなにかホッとした。敬語を使われるとすごく違和感があった。それからあずけていた荷物を受け取って家に帰りついた。




「長官に九尾とこの首輪を持っていかないとね。」


「今いっとこうよ!!」


ちょうど祓魔士の制服も着替えてなかったし、そのまま行くことにした。


「強制転移とかいう術でいくのかな?」


「そうだよ、──────《強制転移》」





「おや、正道に用事かな?久しぶりだね、那美と総司」


「今日大変だったわね、おつかれさま。」


ここは昨日も来た長官室。ただ、正道さんはいなくて、かわりに陰陽師のような格好の男性と着物の女性が向かい合ってソファで話していた。


陰陽師の様な男性は、土御門影常。六人将の一人で、正道さんと同僚だ。

着物の女性は神宮寺理沙。今日も着物が似合っている。


「会いたかった!かげちゃん!りーさちゃん!!」


那美は神宮寺さんや影常さんに抱きついたり撫でられたりしている。


「楽しそうな声が聞こえると思ったら那美と総司か!」


ドアが開いたと思ったら正道さんが入ってきた。


「報告があってここに来ました。」






今日の九尾の狐についての気づいたこと等話した後、魔封じの石と例の首輪を預け、寝ている那美をおんぶして歩いて帰った。


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