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8 情熱のラタトゥィユ


    8 情熱のラタトゥィユ

 

 聖羅ちゃんが遊びに来る。たーのーしーみー!

 正確には遊びにじゃなくて、レポート合宿なんだけどね。試験対策と、お互いがお互いの見張りになれば、気が散らずに頑張れるんじゃないかって話になったんだけど。うん、多分、遊びになるのは……うん、分かってる。でも、一回やってみたかったんだもん。

 聖羅ちゃんは帰国子女だから英語がすごーく出来る。……だから、英文レポートは実質、聖羅ちゃんが私のヘボ英語を添削してくれる会になるとは思うんだ。今から、何かお礼を考えておくべきだよね、私。

 でもって、どっちかの部屋でやりましょうってなったら、そりゃもう断然なでしこ荘だよねって話になった。秋良くんにも了解とって、その日の晩ごはんと翌日の朝ごはん、それに特別に普段はないお昼まで! 聖羅ちゃんの分も作ってくれるって!

 最寄り駅まで来てもらって、駅まで迎えに行く手筈になってる。午後一時前後って言ってたから、そろそろ迎えに行っていいかも。もし、お昼まだだったら、カフェに寄ってごはんするのもいい。秋良くんに教えてもらったパンケーキのお店、結局まだ行ってないし。

 日傘をしっかりさして、いざお出かけ。そうだ、梅へのプレゼントも何かいいのがあったら買おう。……この時点で、すっかり遊び気分だったのは否定しないわ。

 駅に着いたのは一時ちょっと前。聖羅ちゃんはまだ来てないみたい。改札の傍にいれば分かるだろうと、日陰の部分に入って傘をたたんだ。今日も暑い。そして眩しい。人通りも心なしか少ないような気がするわ。皆、朝夕に出歩いて、昼間はどこかに避難してるのね。

 見るともなしに駅前の広場をぐるり見渡して、目を眇めた。

 …………駅前広場の向こう側を歩いてるおじさん、曲淵さんじゃないかしら? 

 遠目なので確信はないけれど、多分、曲淵さんだと思う。声をかけるべきかしら?

 かなり離れてるし、私はもう日なたに出て行く気力がないし、曲淵さんがこっちに気付かないならスルーかなぁ?

 どうしようか決めかねていると、曲淵さんが誰かに話しかけるような仕草をしていると気付いた。相手、誰? 私には見えなくて、ちょっと怖い。

 と思ったら、手前で客待ちしていたタクシーが移動した。なるほど、連れの人は小さな女の子だったのね。十歳にはなってないだろう、八つか九つくらいの淡い水色のワンピース姿の女の子と談笑しながら歩いていた。

 女の子?

 それは、もしや、曲淵さんの娘さん?

 確か、奥さんと子供さんがいる……じゃない、いたというのは聞いたわ。曲淵さんの鉄オタっぷりに愛想尽かして出て行ってしまった、とも。

 まぁ……円満離婚に辿り着けた訳だから、居場所くらいは教えてもらってるだろうし、離婚しても親子関係は変わらないんだから、たまに会うことだってあるわよね。娘さんかぁ……。

 と、そこで肩をポンと叩かれた。

「ひゃっ!」

「お迎え、ご苦労」

 いつの間にか聖羅ちゃんが背後に立っていた。電車、来たっけ? 気付かなかった。

「何を見ていたの?」

 聖羅ちゃんが私の視線を追う。

「うん、うちの下宿にいる人だけど……」

「んー? あれ、学生課のおじさんじゃないの?」

「え、聖羅ちゃん、知ってるの?」

「あ、やっぱり?」

 聖羅ちゃんは余裕の笑顔を返してくる。

「私、受験の手続きでかなりお世話になったから。あっちの高校卒業資格で受験できるかどうかの審査してくれて。ってことは、あのおじさん、なでしこ荘住まいなの?」

「うん、滅多に帰らないらしいけどね」

「へぇ……。でも、あのおじさん、こないだ大学近くで同じくらいの年の女性とデートしてたよ?」

 こっちこっちと先導して歩いていたのだけど、急に足がもつれた。

「え、デート?」

「デート……なんじゃないかなぁ? 女の人の方から腕組んでたし」

「へ、へぇ……」

 ちょっと混乱。別れた奥さんと腕組んで歩くのは……それは変とまでは言えないけれど、あまりない事例だとは思うわ。今、一緒にいた女の子、てっきり娘さんだと思っていたけれど、違うかもしれない。まぁ、私が詮索することじゃない。多分。

「お昼、食べて行こうか?」

「え、私、なでしこ荘で食べられるのかと思ってたのに」

「え? お昼を頼んだのは明日だよー。基本、まかないは朝と晩なの。たまに残ったオカズやパンをいただくこともあるけど」

「なーんだ、そっか」

 すごく残念そうな聖羅ちゃん可愛い。

「じゃあ、そこのパン屋さんでパンを買おっか? で、ダメ元で、帰ってから秋良くんにお昼をねだる。無理だったらおとなしくパンでお昼にして、何か作ってもらえたら、パンは寄付して、皆のおやつにしてもらう」

「賛成!」

 秋良くんおすすめのパン屋さんだもの、ここも間違いはない。私も、ミルククリーム鍋以来、ここのファン。ここでパンを買ってから大学に行くことも多い。しょっぱい惣菜パンと甘い菓子パンをそれぞれ一個ずつ買って、お互いにシェアする約束して家に向かう。

 商店街抜けて、公園の角を曲がったら古めかしい銭湯、その横に古ぼけた長屋アパート。瀟洒な戸建て三件挟んで、なでしこ荘。

「ここでーす!」

「あっれぇ?」

 聖羅ちゃんがパチクリして見上げる。

「想像してたのより可愛い! 私、てっきりあっちのアパートだと思ってしまったもん」

 あはははと声に出して笑ってしまった。

「私も実際に見るまでは、あっちを想像してたわ。あのアパートが梅の棲家」

 玄関でただいまと声をかけ、まず部屋に案内する。

「荷物は適当に置いてね。ちょっと秋良くんに都合聞いてくる」

「あ、待って。私も挨拶する」

 落ち着く間もなく、そしてちゃっかり涼しいリビングで食べるつもりで、パンの袋を持って階下に。秋良くんはダイニングのテーブルで何か勉強していた。秋良くんも試験近いのね。

「あ、おかえりー。えっと、そちらが田中さん?」

「こんにちはー、お世話になります。田中聖羅です」

 聖羅ちゃんの挨拶は優雅で卒がない。お手本にしよう。

「えっとね、秋良くん、お昼食べた?」

「え?」

 あ、話の順番間違えた。これじゃ、おねだりする気がだだ漏れだわ。でも、まぁ遠回しに言ったとしても、結局はおねだりする気だったからいいのかしら?

「お昼……は今からだけど。用意はできるけれど……急ごしらえのやっつけごはんになるけど、それでもいい?」

「やった!」

 聖羅ちゃん、嬉しいのは分かるけれど、ガッツポーズはどうかと思う。

「じゃあ……鰯缶詰で済まそうかと思ってたけれど、何か少しだけ作ろうかなぁ……?」

「あっあっ、そ、それならいいです。すみません。わざわざ作ってもらうのは申し訳ない」

 今度は恐縮して辞退する聖羅ちゃんもかわいい。そして急変ぶりが面白い。

「ううん、そこまで手のかかる物は作らないから。梅、梅も食べるよね?」

 え! 梅、いたの? びっくりして振り返ったら、リビングの方で梅が何か描いてた!

 ガラステーブルの下にデスクライトを入れて点灯するという珍奇なことをしている。何のお呪いなのそれ……。

「おー、喰うー」

 上の空で答える。もしかしたら、私にも聖羅ちゃんにも気付いてないのかもしれない。そのくらい集中してる。

「あれ、マンガ?」

 聖羅ちゃんがこそっと私の耳元で確認する。無言で小さく頷くと、続けて、

「あの人が……梅?」と確認。これも頷いて答える。そのまま静寂が二秒、三秒……。

 次に聖羅ちゃんが発した言葉には心底仰天した。

「かっこいぃ~」

 …………………………………………え?

 今、何と仰いまして?

 あ、そっか。聖羅ちゃんは物心ついた時にはアメリカだったっけ? イギリス? とにかく、あっちにいたって話だったわ。それはつまり……かっこいい基準が向こう基準で出来てしまってる可能性が高い訳であって……。

「あれ、かっこいいの?」

「うん、かっこいいと思う。春香ちゃんは思わないの?」

「えー?」

 うーん、どうなんだろう? そうね、最初に見た時には、確かに顔がいいと思ったし、かっこいいとも一瞬は思ったかもしれない。一瞬ね。ただ、その後の印象が最悪だったから、好印象が残ってないのよ。まぁ……最近は無礼な態度にもかなり慣れてしまって、やっぱり顔だけはいい男よねってまた感じるようにはなったけれど。

「田中さーん、田中さんは最近まで欧米にいたんだよね。味噌は平気?」

 私たちの間の緊張状態には気付いてないのか、秋良くんがほんわり質問する。そっか、彼は献立を考えていたんだわ。

「はい、醤油味噌、和食全般大丈夫です。父が頑固な和食党だったもので」

「あと、ミョウガと青紫蘇はー?」

「大好きでーす」

「じゃあ、これ、お昼に食べちゃおう。あと、ごはんは冷凍ごはんになっちゃうけど、ごめんね」

「いえ! 食べられるだけで幸せです!」

 秋良くんに即行で返事しながらも、聖羅ちゃんはまだ梅を見ている。そんなにかっこいいかね、あれ?

「あの人、日本人なの? 髪は染めてるの?」

「そういえば知らないわ。でも、梅之助の名前の由来が梅干しの土用干しらしいから、日本人の関係者はいるんじゃないかな? あと、あいつ、英語はカラッキシだから、そこいらも謎なのよね」

「ドヨウボシ?」

 あ、そうか。日本語が流暢で日本の風物にも詳しい聖羅ちゃんだけど、さすがに土用干しは知らないか。そもそも、家で梅干しを作る家庭じゃないと知らなくて当たり前か。

「ドヨウってあれよね、立春、立夏、立秋、立冬の前の十八日間を指すのよね? そのドヨウでいい?」

「うぅ、そんな詳しいこと、私も知らない……。た、多分、その土用。夏の土用の晴れた日に、梅干しを干すの。ちょうど今頃。あ、梅は明後日が誕生日なの」

「そうなんだ!」

 聖羅ちゃんの顔がパッと明るくなる。

「そうだ、お誕生会があるから……秋良くん、聖羅ちゃんもお誕生会に呼んでいい?」

 振り返って確認。何か野菜を刻んでいた秋良くんは突然呼ばれてびっくりしたみたい。

「え? 田中さん?」

「私からもお願いしまーす! もちろん、食費と差し入れ持参しまーす!」

「うん、それはいいけど……。梅にまず聞いてみた方が……」

 あ、そうか。主役は梅なのか。

 秋良くんはチンしたごはんのラップ包みを五つ、大ぶりの鉢に入れて刻みミョウガと青紫蘇とゴマを入れて混ぜ混ぜしている。それに叩き梅とお醤油を少し。何あれ、美味しそう!

 と、私が食べ物に気を取られている間に聖羅ちゃんは梅のそばにサッと近付いてた。なんて行動的なの!

「こんにちは、ちょっといいですか?」

「あん?」

 集中を解かれて、梅がビクッとしたように間近に迫った聖羅ちゃんの顔にビビる。そりゃそうだわ。我に返った時、すぐ近くに聖羅ちゃんみたいな美人さんの顔があったらびっくりするわ。

「初めまして。私、田中聖羅といって、彼女……春香ちゃんの友人です。あなたのお誕生会が明後日と今聞いて、一緒にお祝いしたいと思いました。私も参加していいですか?」

 聞いていて、ちょっと笑いそうになる。聖羅ちゃん、日本語は上手だけど、敬語は苦手なの。丁寧語で話す時だけ、頭の中で英文を組み立てて、それを日本語に訳しながら話すんだって。まさに訳文みたいな言い回しになってるわ!

「…………お前、誰?」

 だーっ! 今、私の友達って自己紹介してたじゃない!

「いや、そりゃ……構わねーけど、なんで?」

「ヒトメボレです」

 ぶふっ! グハッ! ガチャン!

 三か所から同時に音が立った。思わず吹き出す私と、腹パンされたみたいな衝撃でのけぞった梅と、何か食器を取り落した秋良くん……。

「米の品種みたいにサラリと言うんじゃねぇ!」

 梅の返答が高度過ぎたみたい。聖羅ちゃん、意味が分からなくて首を傾げてるわ。

「ふざけてません。今、あなたを見てかっこいいなと思って、目が離せなくなりました。あなたがどういう人なのかは、春香ちゃんから聞いただけでまだよく分かりません。だから、あなたを知るためにお誕生会にも出たい。いいですか?」

「…………お、おぅ」

 さすがに梅も、自分のペースでは歯が立たない相手だと悟ったようで。ペン先を丸めたティッシュで拭いて、作業をいったん中断した。立ち上がろうとして、よろける。

「はわわ。身体が固まってらぁ。やっぱ、時々は立ち上がらねーとダメになるな」

 慎重に歩を進めつつ、奥に引っ込む。便所便所―って妙な歌が聴こえてきたから、相当粘っていたんだわ。

「春香ちゃん?」

「ん? どうしたの?」

「今の、許可がもらえたの? もらえてないの? おうってどっち?」

「あー……、どっち? オッケーなんじゃないかなぁ? ダメだったらもっと噛み付くよね。ね、秋良くん?」

「そうだね。あれはどうぞどうぞって意味だと思うよ」

 秋良くんも慎重に答える。

「さ、梅が帰って来たらお昼にしよう」

 食卓には、秋良くん曰く簡単なお昼……という建前の、素敵なごはんが並んでいた。

 ミョウガと青紫蘇と梅の混ぜごはん。それに……お味噌汁?

 小丼に張られたお汁は全然熱そうじゃない。それどころか、陶器の器が汗をかいている。そっと触ってみたら、キンと冷たい。

「ひゃっ!」

 びっくりして手をひっこめた。ある意味、熱くてやけどしそうになってもこれほど驚かないだろうと思うわ。

「冷たいお味噌汁だよ」

 秋良くんがにっこり笑う。

「冬瓜とさやいんげんをくたくたに煮て、それを冷蔵庫で冷たく冷やしたお味噌汁。これが夏に食べると本当に美味しいんだ」

「へぇ……」

「冷や汁とはまた違うんですね」

 聖羅ちゃんが興味深そうにお汁の匂いをかいでる。

「うん、冷や汁は焼き魚をほぐして混ぜたりするけれど、これは野菜だけで。冷たいお味噌汁は具の選びようによってはとっても美味しくなるよ」

 その他に、鰯の梅煮……これは缶詰を開けたものみたい。横にツルムラサキのお浸し。梅の席にだけ、ウィンナーソテーが添えられている。

「梅、肉っ気がないと暴れるからね」

 言ってるそばから梅が帰ってきた。

「便所、あっちぃー! クーラーで甘やかされるともう、外には出れないな」

「おかえり。ごはん、出来てるよ」

 梅は食卓の上に並んだ物をしばし検分して……、何か言いたいけれどここは抑えようみたいな感じで頷いた。多分、あっさりし過ぎか、もしかしたら量が少ないって言いたいのだと思う。とりあえずって感じで秋良くんの隣りに座る。

「じゃ……」

 秋良くんの音頭で手を合わせる。

 まずはお味噌汁をひと口。冷たい。室温に冷めてしまったお味噌汁というのは経験あるけれど、意図的に冷やしたものは初めての経験だわ。口に含んだ時に頭の中が少し混乱する。お味噌汁の味がするのに、別の食べ物として脳味噌がカテゴライズする感じ?

 はじめは冷たさであまり味を感じない。飲み下した後でお味噌の風味がじわりと上がってくる。そして、グズリと舌の上で崩れる冬瓜の食感が面白い。蕪とも大根とも違う、限界まで頑張ったけれど崩れました……みたいな潔い柔らかさ? それと、同じようにクタクタなのだけど、また違った感触のいんげん。どちらも、芯まで味が滲みている。お味噌汁だから、味噌を溶いてからは煮込んでないはずなのに。

 そして混ぜごはん。ミョウガと紫蘇がごはんの熱で少しクタッとなって、そこがまた絶妙。梅の酸味でおかずなしでも進んでしまう。いきなりお願いをしても、あっという間に美味しいお昼が食べられるなんて、何て恵まれた住まいなのかしら。

 チラリと隣りを見ると、星羅ちゃんも熱心に食べている。ミョウガが大丈夫なら、かなりの和食派だわ。学食では洋風っぽいメニューしか食べなかったので、内心では少し驚いてる。

「そういえば……」

 秋良くんが思い出したように話を始めた。

「田中さん、今日はお泊りなんだよね? そして明後日にもまた来るんなら、いっそずっと泊まってってもいいんじゃないかな? もちろん、田中さんの都合もあるけれど」

「いいの?」

 思わず確認する。普通のアパートなら自分の部屋に友達を何泊させようが勝手だろうけれど、まかない付き下宿となると、厨房の主の意向は絶大だと思うのよ。……ごはんを断って、二人で外食するという選択肢はハナからない。念のため。

「もちろん。梅もいいよね?」

「あん? 別に俺に聞かなくたって……」

 秋良くんの表情が微妙になる。私も。この鈍い反応……。まさかとは思うけれど、聖羅ちゃんの『ヒトメボレ』の辺り、聞いてなかったんじゃ……? いやいやいや、ちゃんと反応してツッコミ入れてた。では……もしかして、もしかしたら、本気だと思ってないのか、それとも、自分についての話しだと思ってないのか……。あ、率直な意思表示に慣れてないって可能性もあるのか。やっぱりこいつ、メンタルは日本人だわ。

 疑惑を抱いたまま食事は終わり、私たちはレポートにかかる前にもう一回買い物に出た。聖羅ちゃんが連泊することになったので、下着と着替えを少し買い足したいということで。

「どこに行けばいいかな……。あんまり可愛いのはないよー?」

「うん、別に……ユニクロでもいいし。パンツ、履き心地はいいよ、あれ」

「へぇ、そうなんだ」

 まぁ、商店街をひと巡りしてピンと来なかったらユニクロと決めて、ダラダラと歩くことにする。暑いけれど、通りまで出れば街路樹があるから少しマシになる。二件回って、とりあえずパンツはゲット。それにTシャツか何か欲しいということで、ユニクロ目指して通りを曲がると……。真正面の街路樹に貼りつくようにして、幸江さんと五条さんがいた。

「ゆ……きえさんっ?」

五条さんはTシャツにデニムという穏当な恰好だけど、今日の幸江さんはことさら強烈。フリルが段々になった紅いキャミに、ドレープが優雅なワイドパンツ。剥き出しになった肩……というか、僧帽筋が相変わらずたくましい……。

「あら、春香ちゃん? て、声立てちゃダメ! 静かに!」

 振り返った幸江ちゃんが指を立てて口元にあてる。もしかしてそれ、隠れてるつもりだった?

「何を……」

 言いかけて五条さんの視線の先に目を向けると、曲淵さんのきらめくおでこが見えた。その隣りには、うつむき加減で淡く微笑む妙齢の女性。三十前後? 優しい笑顔をしていて、曲淵さんに気を許しているのがすぐ分かった。

「あ、こないだデートしていた人だわ」

 聖羅ちゃんが呟く。

「あら、どちら?」

「あ、こんにちは。春香ちゃんと同じ大学の……春香ちゃんの友人です。えっと……」

「あ、こちらはうちの大家さんなの。秋良くんの……その、お父さんで……えっと、幸江……さんじゃなかった。えっと、何でしたっけ?」

「勝之よ、本名は勝之。でも、幸江ちゃんって呼んでね」

 幸江さんがキュっと腕を交差させて肩をすくめる。幸江さんにとってはこれが決めポーズなのかもしれない。

「え、お父さん?」

 さすがの聖羅ちゃんもこれには驚いたみたい。そっか、お父さんの話はそういえばまだしてなかったかも。秋良くんの料理の腕と梅がいかに腹立つ奴かの話ばっかりしていたわ、そういえば。

「で? あなた、曲淵さんを知ってるのね?」

「はい、うちの学生課の事務員さんですよね」

「デートしてたの? あの女の人と?」

「えぇ。大学の近くの通りを腕組んで……。どうして、尾行みたいなことを?」

「だってぇー! 仕事と鉄道しか興味なかったあの人があんな美人と密会してるのよ? 興味はあるでしょ!」

 幸江さん、意外と俗だったわ。

「密会、ですか? あれ……」

「堂々としてるように見えるよね」

「そうよ、だから余計に謎じゃない! あの人の生活で、どうやって女の人と知り合えるっていうのよ」

 それはある。なんたって、私がなでしこ荘に来てから実に四ヵ月の間、彼と顔を合わせたことがなかったくらいだもの。女の人に限らず、新たに人と知り合う機会なんて、学内か仕事の上でないとまずないと思うわ。でも、あの女性は学生さんには見えないし、かといって、学校関係者っぽくもない。と、通りの反対側から女の子が走って来た。女性の方にに向かって真っ直ぐ駆け寄って、それから曲淵さんの腰にも手を回してハグしてる。

「あ、しかも子持ち?」

「なついてますね……」

 五条さんまで……。

「あの、元奥さんなんじゃないですか? お子さんもいらしたんでしょ?」

「へ?」

 幸江さん、そんな意外そうな顔されても。まず、それを考えましょうよ。

「でもね、でもね、愛想尽かして出てった奥さんが、あんなに仲睦まじく会ったりするぅ?」

「つまり……鉄道愛に愛想尽かしただけで、曲淵さん当人に愛想尽かした訳じゃないってことですよ。休日の半分を家族に割いてくれるなら……みたいな歩み寄りがあるんなら、よりを戻すことだって……」

「あ、腕組んだ」

 五条さんがぼそりと実況する。

「まぁ……元奥さんにせよ、新たな恋人だったにせよ……」

 聖羅ちゃんまでもが街路樹から身を乗り出して見ている。ノリノリ?

「あれはラブラブね。きっと近いうちに何か報告してもらえるよ。気を揉まなくていいよ」

「ま、この子、大人ねぇ……」

 幸江さんがクネクネして聖羅ちゃんをツンとつつく。白昼の大通りでやらかされると、かなりのインパクト。考えてみれば私、なでしこ荘に移ってからの胆の据わり方は尋常じゃないかもしれない。こういうの、楽しいって感じてるもん……。

 

 さて、部屋に戻ってからはそれなりに真面目にレポートを制作し、英語は聖羅ちゃんに添削してもらい、二日かかったけれど、当初の予定はクリアした。

 そして夕方からは梅のお誕生会。……という昼過ぎになって、プレゼントを何も用意してなかったことに気付いちゃった。しまった。着替え買いに行った時とか、秋良くんのおつかいやお菓子の買い出しで何度も機会はあったのに。

「何を贈るか、ぼんやりとした腹案もないの?」

 聖羅ちゃんが最後の添削をしながら小首を傾げる。

「だって、何を贈ったら喜ぶと思う? 普段は下駄に女物の羽織りを引っ掛けてるような男よ?」

 さすがに今の季節は羽織りはなくて、ランニング一枚だけどね。それより、聖羅ちゃんが言ってたひと目惚れ発言はマジだったんだろうか? あの後の食事の席では、別に普通の距離感で会話してたけど……。私の中でも、確かめたい気持ちと、確認するの怖いって気持ちがない交ぜになってる。聖羅ちゃんは美人だし可愛いし率直だし。独特のノリと押しで梅に迫ってったら、梅はあっという間に陥落しそうな気がする。

 …………あ、でも、何故それが怖いんだろう?

 だって、お似合いじゃない? 見た目だけなら。

「ね、梅はいつもマンガを描いてるのよね?」

「そうね、夏の間はここのリビングに居座るつもりらしいわ」

 でもって、リビングで寛ごうとした人に『気が散る』って文句言うらしいわ。どこまでも図々しい奴。

「プレゼントの予算、いくらぐらいを腹積もりにしてる?」

「え……そうだなぁ。これ!ってピッタリな物が見つかったなら、ちょっと奮発してあげてもいいかなとは思うけど……。前、熱を出した時にお世話かけちゃったから。でも、何をあげても『ケッ!』とか言いそうな気がするのよね。だったら、高いお値段のはちょっとなーって思っちゃう」

 聖羅ちゃんがiPad出して何か検索している。しばらくスッスッと指を滑らせて……「あー、こんな値段なんだ……」と呟いた。

「何々? 何なの?」

 横から覗いたら、のぺーんとした白い板……みたいなのの一覧? うわ、一万くらいする。何の家電?

「これ、春香ちゃんと私と……秋良くんも引き込んで連名で贈らない?」

「え?」

「それなら、まぁ妥当な予算になる気がする」

「だから、これは何?」

「これはね……」

 聖羅ちゃんがにっこり笑った。


 確実に売っているのは新宿ということで、急きょお出かけに。着替えてお化粧して、下に下りると秋良くんが綺麗な模様が入った封筒を持って階段下にいた。贈り物の聖羅ちゃん案を相談すると、秋良くんも大乗りに乗ってくれて、それで連名。

「これ……」

 差し出された封筒を受け取る。裸銭じゃなくて封筒に入れるあたりが秋良くんだわ。

「ありがと。じゃ、任務を果たしに行ってまいります」

「ついて行けなくてごめんね」

「ふふふ、ご馳走の方が重要なので、是非がんばって!」

「任せて」

 秋良くんが小さく拳を上げる。頼もしい!

 快速の時間を気にしながら、聖羅ちゃんと連れ立って大急ぎで家を出た。小走りに商店街を抜けて、何とか間に合いそうだと歩調を緩めた時になって、ふっと気付いた。

「あれ? カレー……の匂いしてたよね?」

「え?」

 聖羅ちゃんも思い出すように視線を動かした。

「本当だ。……カレーの匂いがしてた……」

「カレーかぁ。それは意外」

 お誕生会のご馳走がカレー。秋良くん、前に普通のカレーをまかないで出すのは諦めてるって言ってたのに。今回のカレーも普通のカレーじゃないってことかしら? 

 もしかして、梅ってカレーが好きなのかしら?

 そして、梅がどんなカレーを好きなのか、秋良くんは知っているのかしら?

 

 そして、梅のお誕生会、晩餐。今日の晩ごはんはいつもに増して大人数になった。聖羅ちゃんがゲストで参加してるし、幸江さんと五条さんもお店を他のお姐さんたちに任せて顔を出してる。……というか、更にゲスト三人を引っ張って来たのだ。つまり、曲淵さんと、元奥さんと、娘さん。びっくりした。元の鞘におさまることになったんだって。それで、さすがに一家三人でなでしこ荘住まいは無理なので、近々引っ越すという報告と挨拶を幸江さんのところにしに行って、そして、この夕食会に連れて来られたという次第。

 さすがにこれだけそろうといつものダイニングに全員座れない。リビングのソファを端に追いやって、座卓とガラステーブルを連ねての宴会風になってしまった。でもって、乾杯のちょっと前にギリギリ間に合って帰宅した私と聖羅ちゃんは、だから、今夜の献立を知らないままなの。楽しみ……!

 卓の上には前菜がわりの大皿がもう並んでいる。アボカドとエビのカクテル、アスピックゼリー、生ハムにイチジク、カプレーゼ。何だか……何だか、すごく華やか!

 大人組はビール、お子様組は梅シロップのソーダ割り。梅はビールを強硬に希望して、二十歳の誕生日だからまぁいいだろう……と秋良くんが裁可を下した。乾杯して、ビールを干したら、秋良くん特製のサングリアとチューハイに切り替わる。秋良くん……まだお酒飲めないはずなのに、レパートリーにはお酒使ったドリンクまで入ってるんだ。恐るべし。

 そして、大皿があらかた食べ尽くされた頃合いで、秋良くんがすっくと立ち上がった。

「さて、もう匂いでバレてると思いますが、本日のメインにしたいと思います!」

 宣言して、例の大きな寸胴鍋を抱えて来る。座卓の真ん中に新聞紙を敷いてドンと据える。続いて、ちょっと小ぶりな寸胴鍋まで横に。え、二つ?

 大きい方のフタを開けると、香りを裏切らずに、黒々としたいかにも男カレーっぽいカレーがたっぷり。具らしい具は見えない。肉のみがところどころに浮いていて、それがまた男性好みな感じのカレーだわ。

 そして、隣の鍋。こちらのフタを開けると、女性陣が歓声を上げた。華やかな、色鮮やかな野菜煮込み! トマトの赤、パプリカの紅、オレンジ、ズッキーニと茄子の褐色、その他とろけてしまいそうな様々な野菜!

「なんだこりゃ?」

 梅が妙な声を上げる。梅ったら……、これこそが、あなたが美味そうだって行ったラタトゥィユよ? 夏野菜をニンニクとオリーブオイルとちょっとのお塩で煮込んだ、夏を楽しむための野菜煮込み。秋良くん、宣言通りに作っちゃったんだ。

「今日はね、梅の大好物と、春香ちゃんのリクエストのマリアージュ」

 秋良くんがにっこりする。横に据えたガス釜からせっせとごはんを盛り付けている。

「カレーはね、かなり辛く作ってるから! 梅の好みはジャワカレーの大辛よりもうちょっと辛いくらいって聞いたから、そのくらいの辛さになってるよ。辛いの苦手な人は気を付けて!」

「え、じゃあ、あたし無理だわ……」

 小雪さんが無念そうに呻く。

「大丈夫。辛いのダメな人はラタトゥィユを多めに取って……こうやって、混ぜながら……」

「あ!」

「そうか!」

「なるほど……」

 秋良くんは器にラタトゥィユをたっぷり取り、そしてその上からカレーを少しかけてざっくり混ぜて、それを花柄のお皿のごはんにかけた。そこにローストビーフをトッピング。更に上からサワークリームをサッとかけた。

「出来上がり! ……さ、どうぞ。あずさちゃん」

 カレーのお皿を曲淵さんの隣りに座った女の子に捧げる。そっか、あずさちゃんっていうのね。…………よくは知らないけれど、列車の名前に違いない。多分。

 あずさちゃんは一瞬迷って、それから笑った。両手でお皿を受け取る。

「……ありがとう」

 それを合図に、ごはんのお皿を手にした一同が一斉に鍋に群がったわ。カレーを少しだけ味見して、それを参考に、自分好みのラタトゥィユカレーのブレンドに腐心する会!

 すっごく楽しい。自分のさじ加減次第で、好みバッチリだったりイマイチだったりするカレーになるの。

 そして、すっごく美味しい。甘酸っぱいパプリカもジュースがドバっと出る茄子も、本当に最高! そして、カレーと混ざったところがまた美味しい。ぶっちゃけ、ラタトゥィユってごはんのおかずにはならない味なんだけど、塩気が強くて辛いカレーと混ざると、びっくりするくらいにごはんが進む味に化ける。ヤバいヤバい、もう一皿食べたい。

「こんな手間のかかるカレー、もう二度と作る気ないから! 皆、存分に食べてしまってね」

 あぁ、無情なことを言われてしまった。でも、そんな宣言されたら、おかわりせざるを得ない。

「デザートは紅茶味の練乳アイスだから、それも計算して余裕を残しておいてね!」

 あぁ、これがまた美味しそう……!

 存分にカレーを食べて、お皿をざっと片付けて、アイスとコーヒーを満喫して……。いい食事会だったわ……。満足してパンパンになったお腹を撫でていると、秋良くんがまたも悪魔のような笑顔を見せた。

「では、続いてケーキが登場します!」

 ぐはッ!

 一同、ひっくり返りそうになる。この上に入るもんかと毒づきながらも、秋良くんが選んだケーキに間違いはないと知っているから、結局、期待しちゃってるんだなぁ。

 幸江さんがコーヒーのおかわりを注いで回り、五条さんが新たにケーキ皿とフォークを配ってる。そして、秋良くんは聖羅ちゃんに何事か囁いた。あ、プレゼント! そうだった、さっき買って来たプレゼント贈呈もあるんだわ。

「ここで、梅にプレゼントがあります」

「あん?」

 チューハイ用のソーダの残りを飲んでた梅がびっくりしてむせそうになる。予想してなかったのね。

「はい、梅、立って立って!」

「お、おぅ……」

 ヨタヨタ立ち上がった姿は、正直、あまりかっこよくはなかった。相変わらずのランニングに短パンだし、お腹いっぱいなのか、妙に猫背でがに股チック。でも、それでも、顔だけはいい男なのよね。残念過ぎる。

 と、そこにかなり大きな箱を抱えた聖羅ちゃんが入って来た。ふふふ、梅、驚くかな?

「はい、梅。聖羅ちゃん春香ちゃんからだよ。これからも頑張って、って」

「お、おぅ……。ありがとう……」

 正直、びっくりした。まさか梅が憎まれ口以外の反応を返してくれるとは!

 受け取った梅は、まず箱の大きさに驚いてるみたい。重さもかなりのものなのよ。帰り、聖羅ちゃんと交代しながら運んだくらいだもの。

「開けていいの?」

 梅のくせに、妙に可愛い言い方する。でもって、包装紙を少し破って……中の箱の印刷された商品名を見て、中身が何か分かったみたい。急に勢いつけてビリビリと破り始めた。入れ違い式の開け口を開くのももどかしく、ふたを開け、発泡スチロールの緩衝材を取り……。現れたのは白いのっぺりした板。

「うっわー! やりぃー!」

 梅が笑ってる。……え? 本当に? 梅が……笑ってる?

 屈託なくにこにこと、あの梅がトレーサーを掲げ持って……笑ってる。

 当然、周りで見ていた人たちにはそれが何か分からない。うん、買いに行った私たちも、ネットで製品説明を見るまではよく分かってなかった。

「なーに、それ?」

 疑問は当然。梅は箱から付属のコードを取り出した。コンセントを探して左右を見渡し、近くにいた千秋さんに頼んで挿してもらう。

「これはな……」

 一拍間を置いて勿体つけてから叫ぶ。

「こうだ!」

 同時にスイッチオン。白い板だったモノが、光った。

 …………それだけ。しかも、煌々ともキラキラとも違う、擦り硝子の向こうでうすらぼんやり何か光ってる……くらいの残念な光り方。見ている方はますます分からないに違いない。

「……だから、なんなのそれ?」

 幸江さん、あんまりいじめないで。実は、プレゼントした私たちも、それが何かよく分かってないの。それの価値を本当に知っているのは、この中では多分、梅と千秋さんくらいだと思うわ。

「分かんねーかな? これはな、こう……上に紙を乗せて……」

 梅がジェスチャーをまじえて説明する。

「すると、下から光が当たるから透けて見えるだろ? だから、下書きを別の紙に描いて、原稿用紙を重ねてペン入れするとだな、紙を汚さずにペン入れできっだろ?」

 やっぱり皆、よく分かってない。

 それにしても、聖羅ちゃんはよく思いついたもんだわ。最初に会ったとき、ガラステーブルの下にデスクライトを置いて描いていたから、それで分かったんですって。

「要するに、マンガを描く道具なのね?」

 幸江さんの結論はこの上なくシンプルで分かりやすかった!

「おう! いっやー、嬉しいなぁ……。これ、あんたが選んでくれたって?」

「私だけじゃなくて、春香ちゃんと秋良くんも。連名」

「おう、ありがとな、お前ら!」

 梅が板を抱いてそわそわしてる。早速描きたいみたい。

「それでは、プレゼント贈呈も終わったところで……」

 秋良くんが白い箱を持って現れた。いよいよケーキか!

「これで梅のお誕生会は終わりでーす。ここからは引き続き、曲淵さんご一家の新しい門出を祝う会になりまーす!」

 皆、一瞬キョトンとして、それから一心に拍手を始めた。隅の方にいた奥さんとあずさちゃんが顔を見合わせている。

「あずさちゃん、こっちこっち」

 秋良くんが手招きすると、あずさちゃんはおずおずと真ん中に出る。

「曲淵さんも、奥さんもこちらに……」

 そして、あずさちゃんに箱のフタを開けてもらう。

「わぁ……ッ!」

 中に入っていたのは、ピンクの巨大なカーネーション。

 ……のように見えるケーキだった。ドーム型のケーキの上に、ピンクのチョコレートを削ってふわふわさせたものを綺麗に貼り付けて、カーネーションのように飾っている。繊細で華やかで、そして女の子の夢を織り込んだような素敵なケーキ。

「ささやかですが……」

 秋良くんがにっこり笑う。

「曲淵さん、ここを出たら、もう二度と受け入れませんから。遊びに来るのはいつでも歓迎ですが、再度の入居は絶対にお断りですからね」


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