高校生の秘話
主人公は、春香ではなく優華です。あらすじにて紹介してある小説を読んでいただければより内容を理解出来ると思います。
「うへぇぁ…………。久しぶりに来てみたら…」
「あははは」
「あはははじゃない。どうしてこんなに汚くなるの」
私の名前は、長島 優華。
奈楼西高校という学校に通う、16歳の高校生だ。
どこにでもいる――なんてありきたりな感じだが、私はごく一般的な女子だと思う。
一般的ではないのは……
「なんでたった一週間来なかっただけでこんなに部屋が汚れるのー!」
「そんなに汚くないってー。このあたりに服が散らかってるだけでしょー」
「だけっていうなら、なんでちゃんと掃除しとかないの」
目の前にいる、ぐうたらで適当なこいつのことを言うんだろうと思う。
彼女の名前は、稲辺 春香。
私の親友で、小学生のときからの付き合いである。
小学生とは言っても、6年生のときだからほとんど中学生になってからと言っていいと思う。
「ブー。だって、メンd」
「もうっ!いつもメンドーメンドーって。あんたは私がいないと何にもできないのか!」
「何もできないって!ひどくない!?その言いぐさは!?」
彼女も抗議をするが……いたるところに服が脱ぎ散らかっている部屋を見てそう思わないほうがおかしい。
「ほら。今から掃除するよー」
「……くっ。やっぱ家にあげるんじゃなかった」
実は、だが、春香は一人暮らしをしている。
学校の近くのマンションで下宿しているのだ。
なぜ彼女は一人暮らしをしているのか。
それは、彼女の家族関係が―――――
まぁ。それはまたあとで話そう。
「はぁ~。ようやく全部終わったー」
窓から見える景色も、夜景が見えるような暗い時間になってしまった。
「今日は泊まる?」
彼女からそう私に尋ねる。
何度も泊まったりしていった結果、こういった状況にも慣れっこのようだ。
「いいの…?じゃ、お言葉に甘えるわ。親に電話するねー」
きっと一発でオッケーだろうが……。
「じゃ、お休みー」
「お休み」
春香はベット、私は布団を敷き、寝た。
当然ながら、シャワーだって浴びたし、他にも遊んだりした。
おかげで、今の時間は夜の1時。
明日学校が休みだからとはいえ、少しはしゃぎすぎた。
「明日も遊ぼうよ」と春香が言う。
彼女は、非常に明るい笑顔で私にそう持ちかけた。
しかし……。
彼女にこんな明るい素顔が見られるようになったのは、ほんの数年のことだ。
彼女の心には、未だに癒せていない、辛い過去が潜んでいるのだ。
私は、ベットから聞こえる彼女の寝息を聞きながら、昔のことを思い出していた。