いつかの恋
前回の内容とはがらりと変わり、
詩っぽい語り口調の小説です。
そんな1話をどうぞ!!
「暇だな…」
誰もいない教室の中、この声だけが響いた。
そこで、俺はある人を待っていた。
幽霊。
人はみんなそう呼んでいる。
しかし、そんな風に呼ばれている彼女にもちゃんとした名前があった。
小戸川 水火…。
俺は「みな」って呼んでいる。
彼女は16才の夏に、掃除の時間、窓ふきをしている時に転落して亡くなった。
「未練はないと思っていた」
彼女が初めに言ったセリフだ。
しかし、この世に残っている時点で、何かがあった。
「それが何なのかわからない」
次に彼女が言ったセリフ。
思いのほかに、彼女はしゃべった。
それを彼女は「久々に人と話したから」っと説明した。
俺には昔から、幽霊や物の怪といった類のものが不思議と見える。
だから彼女も見えたわけ…。
俺の日課になっていた。
彼女と毎日1時間話をすることが…。
「今日も来てくれたんだ…」
彼女は会って一番初めにこれを言う。
それの返しは決まってこう。
「ああ、おかげさまで暇だったもんで…」
それを笑い、話しが始まる。
月日は流れ、卒業間近、、、
俺は「ここに残るの?」っと彼女に尋ねた。
「あのさ…」 彼女は静かに言った。
「なんだい?」 俺は心を込める。
「あなたに憑いて行ってもいい?」
おかしな話だ。
許可をする人がいるだろうか?
しかし、俺は許可をした。
今も一緒に住んでいる。
肌を感じることはできないけれど、言葉で想うことはできる。
それが俺らの幸せだった。
命が尽きた、この時まで…。
「今からそっちに行くから一緒に逝こう」
俺が最後に言ったこと。
愛は終わらず、一生続く。
想いがあれば、必ず実る。
キミとの年が、離れていっても…。
「死ぬまで誰かを愛したい。」私はそう思います。