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炎の軍勢

作者: 綴 詠士
掲載日:2026/05/23

 炎の軍勢は全てを燃やし、行軍する土地は焼き尽くされ、炎しか残らない。


「それも今日で終わりだ。皆の恨みを晴らしてやる」


 遥か高台から平原を見下ろす。青々と広がっていた平原は、既に紅蓮に染まり、黒煙が空を覆っている。焦げた臭いが鼻をつく。これほど離れているのに熱風が身体を焙っている。


 そしてその中心に炎の軍勢がいた。火に覆われ苦悶の叫び声をあげながら歩く騎士たち。炎の身体を持つ巨人もいて周囲に火の玉を吐き散らしている。


 逃げ遅れた獣が叫び声をあげて燃え尽きる。平原を飛び回る鳥たちは既に去っている。豊かな平原は既に死の土地になり、永遠の炎が覆うだろう。


「あいつらは何のために燃やすんだろうな」

 

 あの日以来、騎士たちは全てを燃やすために進軍し続ける。時々彼らの心に思いをはせてしまう。

 

「王子。準備ができたぞ」

 

 金髪に、白い鎧を着た女が声をかけてくる。国の騎士団長だった女性だ。

 

「ありがとう。ミレイズ。あいつらを解放してやろう」

 

「ああ。そのためにここまで来たんだ」


 ミレイズは深く頷く。その瞳の強さに気が引き締まる。

 

 父が魔法を解放し、国が滅んだ。その後、二人で逃げのびた。

 

 そして炎の軍勢を潰すために策を練り続けた。


 炎の軍勢を潰すために沢山の仲間を集めた。

 

 今日で全てを終わらせてやる。





 

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