炎の軍勢
炎の軍勢は全てを燃やし、行軍する土地は焼き尽くされ、炎しか残らない。
「それも今日で終わりだ。皆の恨みを晴らしてやる」
遥か高台から平原を見下ろす。青々と広がっていた平原は、既に紅蓮に染まり、黒煙が空を覆っている。焦げた臭いが鼻をつく。これほど離れているのに熱風が身体を焙っている。
そしてその中心に炎の軍勢がいた。火に覆われ苦悶の叫び声をあげながら歩く騎士たち。炎の身体を持つ巨人もいて周囲に火の玉を吐き散らしている。
逃げ遅れた獣が叫び声をあげて燃え尽きる。平原を飛び回る鳥たちは既に去っている。豊かな平原は既に死の土地になり、永遠の炎が覆うだろう。
「あいつらは何のために燃やすんだろうな」
あの日以来、騎士たちは全てを燃やすために進軍し続ける。時々彼らの心に思いをはせてしまう。
「王子。準備ができたぞ」
金髪に、白い鎧を着た女が声をかけてくる。国の騎士団長だった女性だ。
「ありがとう。ミレイズ。あいつらを解放してやろう」
「ああ。そのためにここまで来たんだ」
ミレイズは深く頷く。その瞳の強さに気が引き締まる。
父が魔法を解放し、国が滅んだ。その後、二人で逃げのびた。
そして炎の軍勢を潰すために策を練り続けた。
炎の軍勢を潰すために沢山の仲間を集めた。
今日で全てを終わらせてやる。
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