まさかイケメンくんに選んでもらえるなんて光栄ですよね。
「俺、海上自衛隊って知ってますよね?」
「うん。」
だって海上自衛隊との合コンパーティーで出会ったし。
実は彼と出会ったのは友人が開いてくれた合コンで出会ったのだ。
友人の旦那が子供の野球クラブの先生をやっているのだが、そのもう一人のコーチが海上自衛隊をやっており、その繋がりもあり焼肉パーティーという名の合コンを1ヶ月前に開催してくれたのだ。私の結婚を心配した友人と海上自衛隊の部下たちを心配した部下思いの上司によって開催されたパーティーだった。
そしてただの焼肉パーティーだと聞いて来たのが私と彼だった。他の人はきちんと合コンと聞いていたらしい。
「その実は俺、ゲイってことカミングアウトしてるわけではないんですけど。」
「そうなの!?」
なのに友人は何故彼がゲイってことを知っていたのだろうか?
「はい、うーん、やっぱりこの仕事って9割くらい男じゃないすか?しかも結婚しない限りずっと寮ぐらしだし。だからカミングアウトしても面倒なこと多いなって思ってしまって。でもどこからか俺がゲイじゃないかって噂が広まってしまったみたいで・・・。」
「あっ、それで・・・。」
噂が事実みたいに広まったというわけか。
「別に皆気にしないようにしてくれるんですけど、妙にソワソワされたり、ちょっとなんか距離感じるっていうか、周りの人たちがどう接すれば良いのか迷っているのが伝わるんですよねぇ。」
だろうね。私も正直ゲイの人にこうきちんと出会ったのは初めてだし、きっとどんな女性がタイプ?っていう話をしようとしても興味ないよなってなって何の話しようって話を考えちゃったりして、そういう間に今までとは違う違和感を彼は感じるんだろうなと思った。
「んで最近、頭悪いやつに同僚と社食食べてる時に『お前男好きなんだろ?皆噂してんぞ』ってケラケラ笑われて、それでちょっとイラってしてしまって、その時に咄嗟に何故か違うって言ってしまうし、好きな人いるって言っちゃうし、その好きな人と今日会う約束してるって言っちゃうしで。」
・・・・ん?
「え、それって。」
「はい、香織さんのことです。」
「ふははは!!!なんでそこで私なの!?」
まさかの話の展開に私は思わず笑ってしまった。
「え、怒らないですか?」
彼は私が笑っていることに驚いているらしい。
「え?まぁイケメンくんに選んでいただいて光栄だけど、ちょっとまさかそこで私を出すなんて思わなくて面白くて笑っちゃったけど、別に怒るほどでもなくない?」
だってその合コンには私含め6人はいた。私より彼と歳の近い子もいたし、可愛い子もいたし、明るくて元気ハツラツって感じの子もいた。
なのに私って。彼がちょっとアホなのは確かである。
私はまたクスッと笑った。
「でもまぁ事情は分かった。納得。それでもう今日言わなきゃいけない状況に追い込まれてしまったってわけね。」
「う・・・、はい、本当、巻き込んでしまってすみません。なんかあの焼肉を開催した上司にも伝わってしまって、上司の方が凄い喜んでて、もう交際申し込んでしまえって言われてしまって、ちょっと後に引けない状況になってしまったというわけでして・・・。」
嘘をつくと意外に面倒なことになっちゃうことって多いだよねぇ。
「カミングアウトしなくても、面倒なことになってしまったってことね。」
「う、、、はい。」
彼はシュンとして、その姿は怒られている大型犬のゴールデンレトリバーみたいだ。
「うーん、・・・一時だけでも付き合ってるってことにしとく?」
「・・・・えっ!?」
私がそういうと先ほどシュンとしていた彼が心底驚いたという表情に変化した。




