特別編 『走れ、風とともに ― いっちゃんリレーマラソンの朝』
■Scene1:6月の始まり、家族の朝
テルメ金沢の女将・白石美琴が目を覚ますと、窓の外には晴れ渡る青空。
今日は「いっちゃんリレーマラソン」当日。朝から気持ちが引き締まる。
「悠真さん、起きて。今日は早く行かないと」
「ん……もう少しだけ、美琴の隣にいたい……」
「ほら、○○も起きたよ。ほらっ、起きて〜!」
家族3人で笑いながら朝食をとり、富山・太閤山ランドへと向かう。
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■Scene2:太閤山ランド、にぎわいのスタート
富山県「県民公園 太閤山ランド」は大勢の参加者でにぎわっていた。
企業チーム、学生、家族、町内会――それぞれの想いを胸に走る人々。
「テルメ金沢チーム」として参加する美琴たち。
沿道には菜摘、美羽、そして宿の仲間たちが応援に駆けつける。
「女将さん!」「○○ちゃん、頑張ってね!」
その声に背中を押され、美琴の胸に温かいものが込み上げてくる。
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■Scene3:走る風と声援と
第一走者は悠真。軽快なフォームに、沿道から拍手。
第二走者は○○。小さな体で懸命に走る姿に、笑顔があふれる。
第三走者の美琴は、タスキを受け取ると「いってきます」と笑顔で走り出す。
この一歩一歩が、家族の絆、仲間との想い出、未来へと繋がっていく。
「がんばれー!女将さーん!」
「美琴さん、かっこいいぞー!」悠真の声が背中を押す。
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■Scene4:ゴールの先に、家族の笑顔
ゴールの先には、手を広げて待つ○○の姿。
「ママ、おつかれさま〜!!」と笑顔で抱きついてくる子ども。
悠真も隣に立ち、
「……やっぱり、こういう日が、一番幸せだな」と微笑む。
美琴は頷き、そっと彼の手を握る。
「また来年も、一緒に走ろうね」
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■Scene5:その夜、ふたりの静かな時間
夜、テルメ金沢の寝室。
ふたりは寄り添い、静かにその日を振り返っていた。
「今日も、いい一日だったね」
悠真が静かに、美琴の肩を引き寄せる。
そして深く、熱く、長いキス――
「愛してるよ、美琴」
「……んっ……わたしも、悠真さん……」
ふたりはそっと見つめ合い、
幸せな静寂の中へと身を委ねていった。
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■そして翌朝――再び日常へ
翌朝、美琴はニュースを見て思わず手を止めた。
『金沢市内で発生した中学生野球部内暴行事件――
加害生徒および関係者に対する誹謗中傷がエスカレート。
監督だった男性が自殺した模様です。』
美琴はそっと画面を見つめた。
また、胸に静かなざわめきが戻ってくる――
第7話の前のお話です。
暗い話になりますが… 宜しくお願いします。