表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/106

第20話(最終話)「風の崖で、君を待つ ―東尋坊に立つふたり」


■Scene1:断崖の上、風に揺れる白いスカーフ


ある朝、美琴は、福井県・坂井市の名所「東尋坊」を訪れていた。

高さ25mの柱状節理が広がる断崖絶壁――

風が吹き抜けるその場所で、ひとりの若い女性が立ち尽くしていた。


「お願い……もう誰にも会わせる顔がないの」


手に握られた白いスカーフが、海風に踊る。

美琴が声をかけると、彼女は静かに振り向いた。



■Scene2:過去から逃げた彼女の素性


女性の名は朝倉真依あさくら まい

元教師で、1年前に起きた“ある生徒の転落事件”により責任を問われ、

退職を余儀なくされた人物だった。


「私は、その子を助けられなかった……それがずっと重くて……」


真依は手紙も遺書も用意していなかった。

彼女は“静かに消えたい”と思っていたのだ。



■Scene3:彼女を捜していたもう一人の存在


その頃、美琴の携帯には一本の電話が入った。

電話の主は、石川県警の片桐刑事。


「美琴さん、例の女性……東尋坊に向かった形跡があります。

ご主人も今、現場へ急行中です」


数分後、現れたのは刑事の夫――高橋悠真。


「……真依先生ッ!」


悠真の叫びに、彼女が振り返る。

実は、真依はかつて悠真の妹の恩師だったのだ。



■Scene4:真実と向き合う時


悠真の説得により、真依はようやく涙をこぼす。


「あの子は、最後まで“先生は味方だ”って言ってたんだぞ」

「お前が立ってる場所は、あの子が生きて見たがっていた景色だ」


美琴はそっと手を差し出す。

そして、風が静かに吹いた瞬間――


「生きてください。あなたの存在が、誰かの救いになることだってある」


真依はその手を、震えながらも強く握った。



■Scene5:未来を見つめる目と、誓いのキス


数時間後、地元警察は彼女の保護を確認し、病院へと同行した。


美琴と悠真は東尋坊の崖に立ち、

荒れる海を見下ろしていた。


「風、強いね」

「でも不思議と、怖くない。君が隣にいるからかな」


「ねえ悠真……」

「ん?」

「この風の中でも、私たち……キスできる?」


「それはもう、“一番熱いやつ”をな」


そしてふたりは、断崖の風を受けながら――

深く、長く、熱いキスを交わした。



■Scene6:旅館へ戻る、灯のともる場所へ


その夜、テルメ金沢に戻った美琴。

仮女将の美羽が笑顔で出迎え、仲居頭の佐藤菜摘も温かく声をかけた。


「おかえりなさいませ、女将」

「うん、ただいま……少しだけ、遠くまで行ってきたの」


灯のともる廊下を歩きながら、

美琴は改めて“この旅館が、自分の居場所であること”を噛みしめていた。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ