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第14話「三つの影と一杯の蟹 ―越前大野の迷宮を越えて―」


■Scene1:ボルガライスと、つながる地図


翌朝――

美琴は越前市武生たけふへと足を運んでいた。


目当ては、福井B級グルメの代表格――ボルガライス。

オムライスの上にトンカツ、さらに特製ソース。

ボリュームと味が融合した名物だ。


「罪深い味……でも、最高に幸せ」

「あっ、でも……どこか“記憶に似てる味”……?」


ふと、昨日の九頭竜湖・亀山公園・越前大野城の地図を広げる。

美琴の目が、その配置に引っかかった。


「この三ヶ所……結びつく、何かがある」



■Scene2:三人の遺体に見えた共通点


その日、福井県警からも正式な情報提供が入った。

•九頭竜湖:50代男性(地元建設業者)

•亀山公園:40代女性(元中学校教師)

•越前大野城:20代男性(大学生)


「一見バラバラ。でも――待って。もしかして……」


過去の新聞記事を調べた美琴は、ある交通事故の記録に辿り着く。


「10年前――福井市郊外での多重衝突事故。

運転していたのは、50代男性。被害者に40代女性の妹と、大学生の兄がいた――」


つまり、3人の遺体は、すべて“あの事故”に関わった家族だったのだ。



■Scene3:越前ガニの夜、美琴の仮説


その夜、美琴は宿の夕食として、越前ガニのフルコースを味わう。


「……この蟹、身がぎっしり。甘くて、香りもいい……福井、恐るべし」


食事を終えたあと、彼女は地元新聞社の資料室に立ち寄り、

当時の事故記事に書かれていなかった“加害者側の親族”の名前を発見する。


「――この人。事故を起こした男の姉が、

最近越前大野に移住してきたって?」



■Scene4:鍵を握る第四の影


翌日、福井県警の協力で調査が進められた結果、

その女性――**井之上綾子いのうえ あやこ**が、

数日前から連絡が取れなくなっていたことが判明する。


彼女の家を訪ねると、

中には失踪の痕跡と、復讐に関する手記が残されていた。


「事故の家族を“見つめ続けてきた”――

“あの時、兄は悪くなかった”――

“全て、バランスを取らなきゃならない”――」



■Scene5:未遂に終わった“第四の犠牲”


同じ日、福井県警は越前町内の山中にて、

遺体と同様の方法で“拘束されかけていた”中年女性を保護。


彼女は、過去の事故被害者の妹の親友だった。


綾子は、事故で家族を失った人々に対し、

“苦しみの責任を分配する”という狂信的思想に基づき、犯行を重ねていた。


「誰もが苦しんでほしい。私と同じように、ずっとずっと……」



■Scene6:全てが終わったあとの祈り


事件は終息し、三人の遺体はそれぞれの家族のもとへ戻された。


美琴は再び九頭竜湖に立ち、

静かな湖面にそっと手を合わせた。


「……誰かの死が、誰かの救いにはならない。

でも――心が静かに祈れるなら、それが最初の一歩」


深呼吸し、振り返ると、遠くから福井県警の中村巡査が手を振っていた。


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