第13話「越前にて、味と謎の交差点 ―九頭竜の水面が映す影―」
■Scene1:味の旅、まずは醤油カツ丼から
早朝、福井市を出発し、美琴はレンタカーで越前大野市方面へと向かっていた。
本日の予定は、“越前グルメめぐり”。一人の旅で、心も体も満たすつもりだった。
最初に訪れたのは、地元で有名な食堂。
「ご注文、越前名物・醤油カツ丼ですね!」
薄衣に包まれたトンカツに、濃厚な自家製醤油だれがじゅわっと染み込む。
美琴はその香りに思わずうなずいた。
「これは……ご飯が止まらなくなる味……っ」
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■Scene2:九頭竜舞茸と上庄里芋の優しさ
次に訪れたのは、道の駅・九頭竜。
ここでは名産の上庄里芋の煮物と、九頭竜舞茸の炊き込みご飯を味わった。
「この舞茸、香りが深い……」
「そしてこの里芋、ほろほろ……まるで“福井の母の味”みたい」
思わず、箸が止まらない。
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■Scene3:湖畔にて、異変の匂い
午後、九頭竜湖に差し掛かった美琴は、湖のほとりで休憩していた。
紅葉の広がる湖面。風の音しか聞こえない。
だが――ふと、対岸に不自然なものが見えた。
「……あれ、流木じゃない」
目を凝らすと、湖面に浮かぶ人影――
すぐに美琴は通報し、数十分後に警察が到着。
調査の結果、身元不明の男性の遺体であることが判明した。
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■Scene4:羽二重餅と、静かなる違和感
現場検証が続く中、美琴は近隣の菓子処で有名な羽二重餅を購入。
「こういう時こそ、甘いもので心を落ち着かせなきゃ」
もちもちとやわらかい餅の感触に、ほんの少しだけ安堵する。
しかし、心の奥にはどこかひっかかるものがあった。
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■Scene5:予兆の報せ、ふたつの現場
夕方――福井県警から連絡が入る。
「越前大野市の亀山公園と、越前大野城で、
それぞれ“遺体が発見”されたとの通報が入った」
まさかの3ヶ所同時。
しかも場所は、全て観光名所で人通りもある。
「これは……偶然じゃない」
事件の匂いが、はっきりと立ち上ってきた。
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■Scene6:今宵の宿で、明日を迎える準備
夜、美琴は越前大野市内の宿に宿泊。
夕食には、地元の郷土料理越前おろし蕎麦が振る舞われた。
「ピリッとした大根おろしと、のどごしのいい蕎麦……これぞ大人の味」
翌日はさらに続く名物巡りと、
三遺体事件の捜査協力――心も体も研ぎ澄ます必要がある。
「明日も、“味と事件”の続きを――しっかり受け止めなきゃ」