表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/107

第30話「なぎさの車と、静かな遺体 ―千里浜に残された女―」


■Scene1:波打ち際の異変


早朝5時過ぎ。

観光客の通報で、千里浜なぎさドライブウェイの駐車スペースに止められたままの黒いSUVが発見される。


窓ガラスは曇っており、助手席には加賀友禅のショールを羽織った女性の遺体が横たわっていた。


顔は穏やか。争った跡もなく、手には海岸の小石がひとつ握られていた。


確認の結果、遺体は――桐谷沙良。



■Scene2:密室車両と“動かなかったエンジン”


現場検証で判明したこと:

•エンジンは切られていたが、エアコンの暖房は数時間作動していた形跡あり

•ドアには施錠されており、指紋は“沙良本人”と“何者か”の2種

•スマートキーが見つからない

•口元には**痕跡の残らない薬物(睡眠剤+CO中毒誘導性ガス)**の反応


「……“眠ったまま死なせた”ということか」


悠真が呟く。


「しかも、“自然死に見せかける”技術……素人じゃないな」



■Scene3:再び現れた“笹原恭平”


車両のナンバーから判明したレンタカーの契約名義――

それは“未チェックインだった部屋”と同じ、「笹原恭平」。


笹原は過去に数件の“保険金事件”の関係者としてマークされていた。


「……沙良さんにかけられた“個人契約の保険”の受取人、笹原の名義になってる」


「まさか……沙良さんは利用された……?」



■Scene4:最後の通話と、消されたログ


スマホの解析で、沙良が“最後にかけた相手”は――夫・大悟だった。


「……大悟、ごめんね。私、やっぱりあの人の言うこと、信じちゃった。

でも、もし何かあったら、車の中の石、見て。

“私が選んだ場所”は、そこなの……」


石の裏には、油性マーカーでこう書かれていた。


「あの夜、私は自分の意志でそこにいた――けど、眠ったのは違う。」


美琴は呟く。


「彼女は、“だまされたこと”を最後に残したかった。

それが、あの小石の意味」



■Scene5:女将の視線と、ひとつの正義


犯人・笹原は逃走したが、スマートキーと薬物の入手経路から、早晩逮捕されると見られている。


悠真が言う。


「……残されたものが“語る声”に、ちゃんと耳を傾けてくれたから救われた。

お前みたいな“女将”が、な」


美琴は穏やかに答えた。


「宿帳の名前より、言葉の重みより、

“誰かが、ちゃんと見てくれてた”ってことが――

一番、力になるのかもね」


なぎさを撫でる潮風が、今日も静かに吹いていた。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ