女将・白石美琴より ――読者の皆さまへご挨拶
こんにちは。そして、ようこそお越しくださいました。
『テルメ金沢殺人事件簿』を手に取ってくださったあなたへ、
この場を借りて、心から感謝の気持ちをお伝えします。
私は、**白石美琴**と申します。
石川県・金沢市郊外にある温泉宿「テルメ金沢」で、女将として日々お客様をお迎えしております。
けれど、私の物語は――
ただの温泉旅館の話ではありません。
ふとした偶然から、あるいは、過去から続く縁のなかで、
私はこれまで、いくつもの“事件”に遭遇してまいりました。
火事、殺人、過去の罪、失われた声。
それらは時に、悲しみと怒りを生み、
それでもなお、誰かの“真実”を求める声として、私の胸に届いてくるのです。
時には、夫である刑事・高橋悠真と、
そして祖母の幼馴染でもある金沢県警の片桐刑事と共に――
私は、事件の奥に隠された“人の想い”と向き合ってきました。
事件は、決してただの謎解きではありません。
それぞれに人生があり、悲しみがあり、
そして、希望があるからこそ、私はこの旅館を出て、歩き続けるのです。
この物語の舞台は、金沢市、加賀市、小松市など、石川県の風景を主に、
時には富山県、そして福井県へも広がっていきます。
北陸の空気の中で生まれる“日常と非日常のあわい”を、
皆さまにも感じていただけたなら、私もとても嬉しいです。
どうか、物語のひとつひとつに触れながら――
女将として、ひとりの人間として、真実を求め続ける私の歩みを、
あなたの心で、最後まで見届けていただけますように。
またお会いできることを願って。
心からの感謝を込めて。
白石 美琴
(テルメ金沢 若女将)