僕たちの魔法の素質
僕たちはすぐにそちらに目をやった。
二人組の男?が入ってきた。
すぐに感じた。
「あ、この人たちはあかんやつだ。」
フードでよく顔が見えないが黒目の服に雰囲気の柄がよくない。
いい人なのならもっと第一印象を良くしてこちらに威圧感を与えないように配慮するものだ。
「火事だーーーこいつらが怪しいぞーーー!」
僕はやつらが動き出す前に大声で叫んで威嚇じみた行動に出た。
こちらの女子二人を前に出すわけにはいかない。
僕は一歩踏み出した。
「火事だーーー」
建物内に響くように声を出した。
正直これが意味あるのか自分でも分からなかった。
ここはどこなんだ。
ここで声を出していいのか?
この声はそもそも誰かに届くのか?
自分に問いかけながらも下がる訳にはいかなかった。
もう一歩進もうとした矢先こちらを襲う雰囲気だった彼らは「チッ」と舌打ちして慌てて出て行った。
ごまかし作戦はうまくいったようだった。
後ろを振り返る。
二人は震えていた。
「ごめん。急に大声出して…びっくりするよね」
「…いいの。だって守ってくてたんだもの」
上手く声を出せないほど気が動転しているようだったが状況の認識はお互い一緒だったようだ。
「なんだったんだろうね?怖そうな人だったね。
いい人だったらもっと笑顔で来てくれたらよかったのに・・・」
僕は二人が少しでも落ち着くよう独り言を続けた。
ドタドタドタ…外から人の足音が聞こえてきた。
「Where is the fire? Did something happen?」
どうやら英語で話しているようだ。
ファイアって言っている。そういえば火事ってことにしてたもんな。
「ここです!ヘルプミー」
嘘ついたことは後で謝ろう。
そもそも本当に危ない時は助けてじゃなくて火事だって叫びなさいって小学校の先生が・・・
頭の中で言い訳を始めた。
数名の人が扉から入ってきた。
全員同じように銀か鉄の鎧を着ている。
さっきの人たちよりは安心できそうだ。
「えっと、、、」
「騒いでごめんなさい。
人に襲われるところだったの。
だからとっさに火事って嘘をついて大声を出してしまったわ。
誰か助けてくれると思って。」
ナイナが代わりに話をしてくれた。
どうやらいつの間にか僕より落ち着いているらしい。
「君たちは?見たことない顔だけど?」
駆けつけてくれた人の一人が問いかける。
僕たちは気付いたらこの建物の中にいてさっき目を覚ましたこと。
三人が顔を合わせたのもつい先ほどのことを話した。
・・・ナイナが。
「君たちは新しく来た者たちだね。
安心してほしい。
この世界ではよくあることなんだ。
かくいう私の祖父と祖母も、、、
おっと、
ここではなんだ人がいるところに移動しよう。
そういえば自己紹介がまだだったね。
私の名前はシールス。よろしく。」
自警団の名乗る彼らの言葉は信用していいと僕は思った。
二人に目をやると二人とも同じ意見のようだ。
「よろしくシールス。僕はダイスケ。
マイネーミズダイスケ。それから・・・」
「ライラです。助けにきてくれてありがとう。」
「オリーブよ。ありがとう。」
簡単な挨拶を済ませ、自警団の人と一緒に外に出た。
月が、金色?いや月じゃなかった。
差し詰め金星といったところか。
実際見たことないけどきっとこんな感じだろう。
夜というよりかすかに夜が明けるような明るさだ。
「不思議なんだろ?あの星。みんなヴィナスって呼んでるよ。」
ヴィナス?
綺麗な名前。
確かに色は綺麗なんだよなー
星の色と言うよりこっちに差し込んでくる色が綺麗だ。
虹色のオーロラみたい。
「綺麗な色ね。温かい白って感じの色で。」
「そう?私は青と赤が混じった色に見えるけれど・・・」
「・・・君たちはどうやら魔法の素質があるのかもしれないな。
その見える光の色は魔法の素質がある。
きっと将来有望だね。」
聞くとどうやらこのお月様の見え方で魔法の適正があるか分かるらしい。
ちなみにほとんどの人間には僕らの知っている月とあまり変わらなく見えるらしい。
これは俺も違って見えると言った方がいいのかな…
黙っておくべきか…。
悩んで結局答えは出なかった。・・・
つまり黙っておくことにしたのだ汗
「ここの人たちが何とかしてくれるさ」
しばらく歩いてついたさきには剣と杖のマークの標識が
【Guild】ギルド
そう書かれていた。