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僕たちの顔合わせ

僕たちは今二人の看病をしている。


ギルド庁舎に入った直後仲間の危機を知らせに早馬として駆けつけていたジョニーと言われる方、


そしてもう一人は僕がジョニーに料理を作ろうと思って買い出しに行った帰りに行き倒れているところを発見して連れてきた男性。


名前はイェンというらしい。


先ほど事務の方が教えてくれた。


二人とも僕たちより先にこの世界にきた先輩さんだ。


ジョニーはもうしっかり意識も戻っている。


派手に動けないがベッドから半身を起こし僕たちと会話している。


しかし、イェンはまだ目を覚まさない。


塩と砂糖を混ぜた水をスポイトに入れ彼の口元に何度も流しているところだ。


幸い喉が動いている。


飲み込むことはできているようだった。


「そのおっちゃんのことなら少しだけ知ってるぜ。」


隣のベッドで寝ているイェンの顔を見ながらジョニーが話してくれた。


「そのおっちゃんはな、この前この世界に来た奴なんだよ。

どうも郊外の森で仲間とこの世界に来ていたらしいんだ。

どのくらい前かはわかんね。

見つけたところには生活していた痕跡と同じ格好したやつらの骸、あとゴブリンがいたらしい。

そのおっちゃんはそこの生き残りなんだとよ。

んで【ウルフオブアース】って連中が連れてきたんだ。

ギルドの決まりで外で異世界人を見つけたらここに連れてくるように努めるのが義務だからよ。

ただ連中は連れてくるだけして後は放置してしまったんだと。

少し面倒くらい見てやればいいのにな。

まー俺たちも見て見ぬふりしてたから人のことはいえねーけどな。

なんでもそいつは言葉がほとんどしゃべれないらしいんだわ。

かなり前の年代からきたらしい。そして極めつけはその貧相な体よ。

パーティーはお遊びじゃない、自分たちの命がかかってるんだ。

簡単にパーティーにいれることはできないんだよ。」


ジョニーは申し訳なさそうにでもはっきりとした口調でいった。


割り切ってはいるけれど本心では気にしていたようだ。


案外面倒見のいい、良い奴なのかもしれない。


丁度いいくらいにオーエスワンもどきを飲ませ終わった僕たちがイェンの体を拭く作業に入るところだった。


男性の服を脱がして裸にするので僕はオリーブとナイナには退室してもらった。


きっとできるのだろうが年頃の女の子にさせるほど切迫してないと判断した。


マイクには香草入りのお湯から布のタオルで拭く準備をしてもらい僕が服を脱がしていった。


立派な髭が良い具合に邪魔であるが如何せん細い体だ。


あまり苦労せずに服を脱がしていった。


漢服のためか脱がす分には簡単なこともあいまっている。


イェンの骨と皮だけの体をマイクが用意してくれた布で今度は協力して拭き始めた。


一緒に拭いているマイクの腕も負けず劣らずの細さだ。


そんなマイクは汗を流しながら懸命にイェンの体を拭いている。


遊び人でも通用しそうな顔立ちなのに彼の一生懸命さはどこから来るのか。


前に後ろに上に下にゴシゴシと拭いていく。


ぽろぽろと落ちていく垢が少し不快ではあったが、香草のいい匂いと綺麗にしていく感じのおかげで何とか拭き終わった。


「あんたらは頑張り屋さんだな」


隣でジョニーが一人感心している。


一生懸命なのは俺も同じだったようである。


脱がした服を廊下に出し、新しい服を着せて落ち着かせた。


廊下に服を出した時の扉の音で大体の作業が終わったことを知ったのだろう。


別の部屋にいた二人が寄ってきて服をギルド職員に渡して部屋に入ってきた。


看病でバタバタだったけれどやっと一息落ち着くことができた僕たちは二人が持ってきた紅茶に口をつけ近くの椅子に腰を下ろしたのである。

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