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僕たちの出会い~マイク~

扉をくぐると大きめのバーのような作りの部屋があった。


手前に円卓、左に食堂カウンター、右奥から中央にかけてバーカウンターのように長い台が伸びている。


真夜中のためかほとんど人はいなかった。


ちなみにこの世界ちゃんと時間の概念があるのは道中の会話で聞いている。


人がいるのは奥のバーカウンターだった。


カウンターの奥にいかついおじさま大男と女性が何人か。


なぜか慌ただしくしている。


手前こちら側にも三人居た。


一人は自警団の人と同じ格好。


私たちが来る前に先に着て話を通してくれているのだろう。


さらに隣の一人はボロボロで傷も痛々しい。


そしてもう一人は薄着で装備すらつけていない。


「その子たちか・・・わりいな。今立て込んでる。ちょっと待っててくれ。」


僕たちはカウンター隅で待機することになった。


バタバタする大男と女性、ボロボロの男の話に聞き耳を立てた。


「先に俺も戻っていいか!早くしないと仲間が・・・」


血反吐をはく勢いで大男と話しているボロボロの男。


聞けば探索中の帰りにこの街に向かってくるゴブリン数十匹と遭遇したらしい。


町への侵入を防ぐため仲間が足止めをしている。


今ぼろぼろになっている彼がパーティーの中では斥候という仕事柄一番足が速いとの理由で街への連絡戻ったのだそうだ。


しかし、何度かゴブリンたちに行く手を阻まれた。


群れ本体とは別に遊撃隊のように周りにいたようだ。


「今向かっているやつらにその情報回せっ」


大男が隣女性に伝えると机に向かってなにかデンモクの筆みたいなもので書き始めている。


「伝えました。数十匹の群れとは別に遊撃として小グループで徘徊しているゴブリンもいると」


女性は送った内容を大男に伝えた。


「よし、ジョニー安心しろ。お前が近くまで来てくれたおかげでギルドのやつがお前の仲間のところにむかった。

今日の行先予定に変更はなかったんだよな?そっち方面に向かっている。

自警団も集まり次第、東門に待機している。」


「ありがとう・・・本当にありがとう」


彼は泣いて感謝していた。


「まずはお前も休みなっ」


その言葉を聞いて、彼はカウンターにもたれながら静かに床に倒れこむように眠りに入った。


「ギルド長…お言葉ですが…」


女性が何か言おうとした言葉を遮り、


「いいんだ。もうどうしようもない。」


大男の言葉で周りの空気が重くなってしまっていた。


「こいつをちゃんとしたところで寝かしてくる。」


大男がボロボロの男を担いで奥に入ろうとした。


「その人の看病手伝います。」


僕はとっさに口にした。


オリーブとナイナが心配そうに見てたからかもしれない。


「分かった。

んじゃリフティーこいつらと一緒に湯を沸かすのと、手ぬぐい、包帯の準備。薬草も煎じてくれ」


彼女は頷くとこちらに顔を向けた。


「ではついてきてください。」


「では僕たちはここで失礼するよ。街の警備に行ってくる。」


ここまで連れてきてくれた自警団の人たちが出口の方向かおうとしている。


「ありがとうシールス。この恩は必ずどこかで」


僕は一言お礼をいった。


「あぁ。落ち着いたら酒でもおごってくれ」


彼らは去っていった。


彼らを見送った後、僕たちはカウンター奥についていった。


「この棚の包帯と手ぬぐいまずはこれだけ持ってギルド長について行ってください。えっとでは女性の方々お願いします。」


オリーブとナイナは手にした物を抱えてギルド長の足音がする方げ走っていった。


「向こうでギルド長のお手伝いも必要でしょうからね。そして今からお湯を沸かすのと薬草をすり下ろします。力仕事なのであなた方を残しました。」


僕と薄着の男が目を合わせた。


色白で美形だったがスキンヘッドの彼。


遠目でギャングか何かと思っていたが、それにしては骨と皮しかないくらいガリガリだった。


「マイネーミズダイスケ。ナイストッミートュウー」


「ありがとう。マイクだ。」


僕らは軽く握手をした。


細い手だ。


「ダイスケさんはあまり言葉が得意ではないんですね。

でも安心してください。ギルド職員は多くの言葉を話せますので」


僕たちは井戸から水を汲んだり、薪に火をつけたり、薬草なるものをゴリゴリとすりつぶしたりと頑張った。


「ねぇリフティ、この世界ってもしかして危ないところ?」


僕は薬草をすりつぶしながらこの世界に来てから不安に思っていたことを聞いてみた。


「・・・そうですね。

よく聞かれますが安心して暮らせないかもしれません。

ここ最近は特にです。」


「それって、ゴブリン?ジョニーって人が言ってたやつだよね?

でかい?

強いのかな?」


「中にはとびきり強いのもいるみたいですが、大抵は皆さんでも勝てるようです。」


「ただ…」


「?」


「奴らは凄くせこいです。それに数も多くて…」


空気が重くなってきた


「それが俺の生きる道なのなら構わない」


ずっとしゃべってこなかったマイクが突然口にした力強い言葉


細い体でなんて気持ちが強い子なんだろと感心しながら、その姿に感化された。


「まーなるようになるし、するしかないよね」


僕も答えながら、リフティーが用意した樽にここにいれていい?のジェスチャーをしながら湯を移した。

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