僕たちの出会い~オリーブとナイナ~
森を探索中にゴブリンと遭遇した私たち【オマジナイ】
これを撃退
売れるものをゴブリンからはぎ取っていた。
眼球、血、生殖器、爪…
これらは主に錬金術の材料になるのだ。
コボルトや獣たちの毛皮、牙などは防具や武器にも使えるがこいつらの肉や骨はあまり役にたたない。
血だけをいれる用に使っている赤黒く汚れた水袋へ血抜きがてら血を入れていく。
匂いは…いうまでもあるまい…
もう慣れた…
交代で血抜きをしながら各自防具と武器の損傷を確認する。
僕に武器はない。
一応拳闘士なのだ。
拳闘士にした理由にはいくつか理由がある。
一番の大きな理由は…彼らの装備に少しでもお金を回すためだった。
僕は血を容器に入れながら仲間たちを見ていた。
白い肌と赤みが入ったブロンド色の髪をした天然系女子・・・【修道女】オリーブ
スパニッシュ系のスキンヘッドで細身の男の子・・・【聖騎士】マイク
いつも腹巻と腰巻を愛用する軍人・・・【サバイナー】ジョニー
聡明で髪も体も褐色なアーリア系女子・・・【魔法使い】ナイナ
髭と髪が腰丈まである低身長おじさん・・・【戦士】イェイ
僕たちがこのメンバーで活動することになったのは、僕がこの世界にきてすぐのことだった…。
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ゆっくり目を開けるとそこは知らない天井だった。
壁や天井の一部が崩れているコンクリート
いや石材だろうか。
日本ではあまり見ない材質だった。
確か僕は仕事が終わってそのまま寝たんだよな…
頭の中に少し靄がかかっている感じではっきりしない。
すると女性の声が聞こえた。
「Is anyone there??」
エニワゼア?ぜあ…誰かってことかな。
「イエス!…イエス!アイアム!」
私は英語がからっきしだ。
すると反応に喜びがあった。
「I'm there too!」別の方向からも声が聞こえた。
と答えたのだ。
どうやら私たちは同じ建物のそれぞれ部屋だったところにいたようだ。
「Do yo know where this is? Before I knew it, I was here
It's dark and I can't see anything Scary…Scary…」
どうやら不安でパニックになっているようだ。
正直何を言っているのか分からないが声がする方向は真っ暗だ。
無理もない。
僕がいるところだけ天井が欠けていて月明りが差し込んでいるだけだった。
「あいどんとすぴーくいんぐりっしゅ。バッド リラックス!ピースオブマインド!アイムゼア」
もう自分が何を言えているのか分からないがとにかく安心してもらいたい
その一心で言葉をつないだ。
「ワタシハスコシダケニホンゴワカリマスヨ。
ワタシハフタリノイッテイルコトワカリマス。
I can talk to both of them. He doesn't seem to talk much but he seems like a nice guy. So don't worry.」
どうやらもう一人の女性のおかげで僕たちは意思疎通が何とかできるようだ。
「二人は暗くない?ここなら少しだけ明るいよ。
ユアーダークネス?ノールック?ヒアスモールライト」
言っている言葉は分からないがとりあえずここちょっとだけ明るいよと頑張って伝えてみた。
…スモールライト?
コトンという音が聞こえてきた。
二人は少しクスクスしながらこちらに歩いてきたようだ。
僕にも少しは聞こえるように単語をゆっくり話し会いながら来てくれている。
お互いの姿が見えた。
美人さんが二人。
一人は色白で赤みがかかった美人さん。
もう一人は褐色色の黒髪の美人。
明らかに年下だった。
今そんな二人に笑われている。
はっきり言って恥ずかしいがとりあえず不安は和らいだようだ。
よかった。
「青くはないしロボットでもないけれど少しフォルムは似ているわね」
二人は同じところで笑っているようだった。
ところどころ分からない単語はあるけれどきっと内容はあっている。
僕はただここはすこし明るいよと伝えたかっただけなのに…。
僕たちは状況の整理を始めた。
それぞれ覚えていることを話し始めたのである。
「私は確か…あれ…何してたんだっけ…?だれか私のこと知ってる?」
途端に焦りだしたのは色白の子だった。
「言われてみれば私もあまり覚えていることがありませんね」
落ち着きながらも焦っている褐色の子。
やばいこのままだとパニックになるかもしれない。
僕はとりあえず自分のことを話す事にした。
「僕は寝て起きたらここにいたんだ。
僕は会社員で普通に仕事をして、晩御飯を食べて自分の布団に寝た。
そしたらここに。
あ、僕は日本に住んでいた。
生まれも育ちも日本さ。
名前はダイスケ。
あ、そう言えば自己紹介まだだったね。
よろしくね。」
二人を落ち着く時間を稼ごうと頑張ってみたが空回りしてしまっている。
オドオドと慌てふためきながらとんだ自己紹介になってしまった。
「私はナイナ」
「オリーブです」
褐色の子に続けて色白の子も名乗ってくれた。
しかし笑っている。
どうやら自分より先にパニックになっている僕を見て落ち着いたらしい。
良かった。・・・良いのか?
「名前はわかるみたいだね良かった。」
僕は喜んで見せた。
「確かに名前だけはポンと出てきたわね」
「えぇダイスケのようにどこで何をしていたのか思い出せないけれどね。」
「でも青いロボットも知ってるよね」
「ええ、日本のアニメは素晴らしい」
「私も同感です。
好きなものもたくさんありました。
ひとつなぎの大秘宝、
七つの願いをかなえる玉。
日本のアニメは童話のように夢を与えてくれるものばかりです。」
情報整理そっちのけで僕たちは知っているアニメを語りだした。
明らかに日本人ではないこの二人がアニメを見ているなんて。
日本の芸術漫画アニメは偉大だと実感した。
何せ自分の事すら思い出せない子たちの頭の中にあるのだから。
そんな時ガランと扉が開く音がした。