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第70話 謎の女性

 この人、ひょっとして外国人か?


 彼女の言葉のイントネーションのおかしさに俺はそう思ったけど。


 それどころじゃない。

 今大事なのは……


「アンタ、僧侶か!?」


 そこだ。

 俺の肉体ダメージを癒した。

 そしてこの階層にいる以上……


 ランク3の可能性がある。

 そして毒消し魔法キュアポイズンは……


 ランク2だ。

 サブクラスで僧侶でも、射程の範囲内!


「あとでお礼をするから、俺に毒消しの魔法を頼む!」


 迷ってる暇はない!

 俺の身体の自由さえ戻れば、この場を切り抜けることはできると思うんだ!


 返答は


「ジエドゥモ―ファー!」


 意味が分からなかったが、その言葉の意味は


 俺の身体から脱力感と眩暈が消える。

 解毒……


 それで理解でき。


 同時にそれで返って来た。


 しかし、この人の魔法の掛け声が意味わからない。

 日本語じゃ無い。


 だけど……


「ありがとう!」


 俺は礼を言って飛び出した。


 ミノタウロスは怒り狂っていた。

 片目を矢で潰されて、明らかに発狂状態になっている。


 ミノタウロスは、まずカルキノスを叩き殺した。


 最初の一撃より、明らかに数倍高威力の戦斧を叩きつけ、完全に潰して

 カルキノスを絶命させる。


 絶命によりカルキノスが消滅すると、戦斧を振り上げて


 ミノタウロスは、謎の僧侶の女性に突っ込んでいく。

 自分の片目を潰したのはこいつだと、そこを理解しているのか。


 俺はそんなミノタウロスの前に立ち塞がった。


 するとミノタウロスはおそらく俺を一蹴するつもりで


 左から……俺から見て右からの薙ぎ払いを繰り出して来た。


 ……俺は


 ミノタウロスが右目を潰されていることを考慮した。


 つまり――


 俺は戦斧が襲ってくる方向に突っ込み


 跳んで、そのバカでかい刃の上に足を掛けた。

 一瞬の判断。

 無我夢中だ。


 重さが半端ないからか。

 俺の体重くらいではビクともせず


 その一瞬、踏み台として機能した。


 踏み切り、俺は跳躍し


 薙ぎ払いを繰り出したミノタウロスの右斜め後方に着地。

 間を置かずに、身を捻って再び飛び出して


 俺はミノタウロスの死角から、ニヒムの切っ先をミノタウロスの胴体に突き刺す。

 ニヒムは面白いくらいにミノタウロスの身体を背中から簡単に貫いて


「どりゃあああああ!」


 俺はそこで踏ん張り、刃を上へと斬り上げた。


 ニヒムの刃は易々とミノタウロスの肩口から抜け出す。

 体勢に少し無理があったから、少しだけ抵抗があったけど

 骨も肉もあるのに、問題にならなかった。


 普通の剣じゃこんなことできないよ。


 ウボアアアアアアア!


 それが致命傷になり。

 ミノタウロスは絶叫し。

 そして塵になり、消滅した。


 ……勝てた。


 興奮。

 高揚感。


 今の一撃はギリギリだ。

 襲ってくる戦斧を踏み台にして後ろに回り、そのまま取って返すように突っ込んで致命の一撃を入れる。


 もう1回同じことをしろと言われても「無理だ」と答えるよ。

 だから、すごくドキドキした。


「吉常くん!」


 霧生がそんな俺に駆け寄って来る。


「もう、大丈夫なの?」


 俺の毒のことを言ってるのか。

 コンクリの壁に叩きつけられたダメージのことを言ってるのか。


 俺はその問いに返す。


「大丈夫。すっかり治して貰えた」


 あの人に。


 俺はそう、視線を向ける。

 多分、和弓とも洋弓とも違う弓矢で武装した、険しい目をした女性に。

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