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第69話 絶体絶命。そのときに

「来なさい! カルキノス!」


 ミノタウロスが出現すると同時に。

 榎本さんがランク3召喚獣・カルキノスを召喚する。


 甲殻半端ない化けガニ召喚獣だから、防御力で一番信頼できる。

 そういう考えなんだろうか。


 ……ウォードックだと時間稼ぎすらできそうにないもんな。


 地面に描かれた光の魔法陣の中から、現れる体長1メートルの青いカニ。

 カルキノスは召喚されると同時にミノタウロスに向かっていく。


 両手で戦斧を構え、俺たちに接近して来るミノタウロス。

 その目は俺たちに対する殺意に溢れていたけど


 カルキノスに足をハサミで挟まれて、歩みを止めた。


 痛そうにはしていない。

 ただ、なんなんだこいつは?


 そんな目で、カルキノスを見下ろす。


 ウボオオオオオ!


 そして次の瞬間、発狂したようにその戦斧をカルキノスに叩きつける。


 それにカルキノスは耐えた。

 だけど明らかに無傷じゃない。


 甲殻が砕け、破片が散らばる。


 このままじゃ数発持てばいい方だ。


 ……この隙にアイツを仕留めないと。


「ファイアーボール!」


 そして霧生が、ファイアーボールをミノタウロスに放つ。

 頭狙いだ。


 だけどミノタウロスは直前で気づき


 頭を振って躱そうとした


 しかし


「爆発!」


 ウボァアアアア!


 躱したと思ったファイアーボールを、爆発させてその爆風をミノタウロスに当てたんだ。

 予想外の一撃に、絶叫するミノタウロス。


 ……今だ。


 俺はカルキノスと霧生が作ってくれた隙を突き、ミノタウロスの後ろから斬りかかった。

 俺のニヒムなら、ミノタウロスも斬り捨てられる……!


 毒で弱った身体を奮い立たせ、斬りかかる俺。


 だけど


 ウボゥ!


 ミノタウロスが腕をぶん回した。

 後ろの俺に気づいたのか。


 ただのあてずっぽうの力任せ。

 裏拳かもしれないけど、全然洗練されていない野蛮な一撃。


 しかしそれを喰らった俺は


「がぁ!?」


 そのまま、真横にぶっ飛んで。

 廃ビルのコンクリの壁に叩きつけられた。


 ……直前にディフェンダーを発動させてなければ、これで死んでいたと思う。


 ディフェンダー発動で本来なら即死しているダメージを、だいぶ軽減し、俺は必死で立ち上がる。

 ノーダメージなんてとても言えない。


 かなり深刻なダメージを受けてると思う。

 肋骨イってるかも……胴体に受けたしな……


「吉常くん!?」


「大丈夫か!?」


 霧生と榎本さんの言葉に


「大丈夫です……!」


 戦える、という意味で俺は吠える。

 

 瘦せ我慢……?

 そうかもしれないが、今はしなきゃいけないだろ……!


 そのときだった。


「シャンフーユウフーモーファー!」


 何か、知らない声がした。

 女の声だ。


 それと同時に


 俺の身体の痛みがスッと消える。


 ズキズキしていた脇腹の痛みが消え、コンクリの壁に叩きつけられた俺の背中の痛みも消える。

 体調不良はそのままだけど、まるで……


 僧侶の回復魔法を掛けられたみたいだ……


 信じられないことはまだ終わらない。

 次の瞬間


 ウボァァァァァァッ!!


 ミノタウロスが悲鳴をあげた。

 本当の悲鳴だ。


 突然の謎の声に混乱していた俺が、それで一気に現実に引き戻された。


 見ると、ミノタウロスが片目に突き刺さった矢を引き抜こうと藻掻いていた。


 矢……?


 矢だって……?


「オマエ、ボサッとするな! ミノタウロス、死んでナイ!」


 そこに。

 弓を構えた女性が現れたんだ。


 長い黒髪を後ろで括った髪型の、目つきの険しい若い女性。

 着ている服は女性らしく無くて、黒いジャージ。


 そして言葉が……


 何か、おかしかった。

 どこがって……


 イントネーションが。

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