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第58話 危ういニヒム

 まずい。

 ブラックトータスの超危険攻撃の、毒液吐きが来る。


 血の気が一気に引いた。


 俺は速攻で勝負を決めるために、本気で突進していた。

 なので急には止まれない。


 ここからブレーキを掛けて、安全圏まで退避する。


 ……それ、無理じゃないか?


 俺の脳裏に、毒液を浴びて致命傷を負う自分が浮かぶ。

 ドロドロに溶かされ、ヒトの形を無くして……


 恐怖が込み上げて来るが、俺は歯を食いしばる。


 ……ここは、毒液が来る前に斬撃を……



 そのときだ。


 ブラックトータスの横合いから、狼のような黒い犬が飛び掛かり、その首筋に噛みついたんだ。


 榎本さんのウォードック……!


 ギャアアア!


 深刻なダメージでは無いだろうだけど、痛いらしい。

 ヒトの声で悲鳴を発して、暴れている。


 ……確か、犬の噛み付く力って生物としてはかなり強い部類なんだっけ?

 どっかでそんな話を聞いた覚えが。


 まあ、とにかく。


 俺は踏み込み、間合いに飛び込み。


 一刀を振り下ろす。

 その首の付け根の、甲羅を含めた胴体部分に。

 人間で言えば肩口か。


 そこに刃が……


 熱したナイフでバターを斬るみたいな。

 そんな感覚で簡単に刃が入った。


 ……あっ、と思った。

 この感覚……


 感動に近いものがある。

 すごい。


 反射的だった。


 斬り下ろした剣を、即座に手首を返してVの字で斬り上げて。


 ブラックトータスを斬首した。


 ちなみにその斬撃も。

 簡単に刃が入って、スッパリ斬れたんだ。


 ……なんて剣だ!


 斬首されたブラックトータスは地面に首を落下させた後。

 ワンテンポ遅れて塵になって消滅する。


 ……ひょっとしたら切れ味が鋭すぎるせいで、消滅が遅れたのかもしれない。

 ブラックトータスの身体が致命の斬撃を浴びたことを理解するのにタイムラグが発生したとかで。


 興奮で息が荒くなる。


 ああ、これはヤバいな……

 手放したくない。


 呑まれない様にしないと……


 そう思ったとき。


 自分の頭の中に


『戦士のランクが3になりました』


 そんなアナウンスが流れたような気がした。

 同時に


 これからの自分は、気合を込めることで筋肉を鎧のように固くできる。

 名付けてスキル<ディフェンダー>を手に入れた。


 それを理解したんだ。


「吉常くん、やったね!」


 霧生が駆け寄って来る。

 満面の笑みを浮かべて。


 霧生もこれでランク3魔術師。


 新しい魔法を使えるようになるはず。


 ……そして。


 俺たちも、第5階層に行けるんだ。

 榎本さんの以前の仲間が、そこで迷宮探索者の道を諦めてしまった、因縁の階層に。


 そこにいけば、セカンドクリスタルがあって、サブクラスを取れるんだよな……


 サブクラス……


 俺は一体、そのとき何を選択すれば良いんだろうか?

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更新お疲れ様です。 ちょっと気の早い話ですがサブクラスですか……確かクソ親父は魔道剣士→ファイナルファンタジ○Ⅴの魔法剣士っぽい感じでしたよね。 そうなると…仮面ライダ○カブトの『クロックアップ』み…
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