表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/177

第52話 魔剣が欲しいな

「この階層にいる2番目の番人って、どんなモンスターなんですか?」


 ボトルシップから変形したボートの上で、霧生が榎本さんに訊ねた。

 俺も訊きたい。


 水飛沫を飛ばしつつ、自動で水の上を走るボート。

 順調に動いてる。


 船上の今は危険が無いから、こういう会話をするチャンスだ。


 ボトルシップボートは、大きさが「太平洋横断ー!」とか言う人のヨットくらいあるから、かなりゆったりだし。

 リラックスして話せるよ。


「ここの番人は、大亀ね。体長数メートルある真っ黒い人面亀。そして尻尾が蛇なのよ」


 当時榎本さんの仲間だった魔術師がアナライズした結果曰く、名前は「ブラックトータス」だとか。

 亀らしく、とても固い甲羅を持ってて。そこは刃が通らない。


 でも、動きは鈍い。

 なので動きで翻弄されると言うことは無いらしい。


 ブラックトータスの主な攻撃方法は、水で。


 尻尾の蛇の口から超高圧の水鉄砲を撃って来るそうだ。


 当然、当たるとただでは済まない。


「当時の仲間で、足に1撃を喰らって貫通したヒトがいたわよ」


 あと


「人面の方の口からは、毒液を吐いてくるわね」


 それは腐食性の毒液らしく、目に入ると失明不可避なんだってさ。


 ……危ないな。


「だから、盾を購入するか、宝箱から見つけておくのは必須だと思う」


 迷宮産の盾なら壊れないので、確実に水鉄砲も防げるし。毒液も受け止められる。

 話を聞くと、そこは頷けた。


 ……あと、出来れば。


 魔剣もあると嬉しいよな……


 この階層で出るかどうかは知らないけど。

 絶対に出ないなんてそんなことは多分、無いと思うし。




 ヒュージスター。


 簡単に言うと体長1メートル近い巨大な黄色いヒトデ。


 ただ、一般的なヒトデと違い、こいつはとても素早く。

 目も耳も無いのに、正確にこっちの存在を察知して、襲ってくるんだ。


 身体全体で音を聞いているのか、それとも臭いを察知してんのか。

 良く分からない。


 霧生はその辺、どう考えているのかな?

 後で聞いてみるか。

 そんなことを思い、俺は。


 現在俺たちの周囲を囲んでいる、その5匹のモンスターを睨んでいる。


 4階の番人のいる部屋がある島に辿り着き、そのルートを開拓中に。

 遭遇したんだ。


 油断なく注視していると


 そのうち1匹が、5つの足で跳躍し俺の顔目掛けて飛び掛かって来た。


 身体ごと人間の頭に覆い被さって来て。

 牙が生えたその腹の口で直接頭部を貪り喰らうのが、コイツの攻撃方法らしい。

 つまり、捕まるとほぼ死亡確定。


 こいつの背中側は、硬質で簡単には刃が通らないんだよね。


 まあ、その分腹側は柔らかいので。


「せいやっ!」


 そこに斬り上げの斬撃を浴びせると、一瞬で塵になって消滅する。

 ビビらなければそう難しい相手じゃないよ。


「えいっ!」


 隣では、榎本さんがファウストで。

 ヒュージスターを空中で串刺しにして仕留めていた。


「ひゃはは! 燃えろー!」


 そして霧生に至っては、魔法の掛け声で遊びが出来るほど余裕。


 ファイアーボールを発動させて、右手から発射した爆裂火炎弾で、遠距離で3匹をまとめて焼き払っていた。




「……盾よ。なかなか良い戦利品ね」


 そして出現した宝箱を榎本さんが開けてくれて。

 中を確認すると


 中にはポーションが3つと、円形の盾が入っていた。

 直径1メートルくらいありそうな。

 材質は金属製。

 飾り気は……ない。


 そこに


「魔法の盾ではないみたいです。ポーションは毒消しですね」


 アナライズを即座に使用した霧生の言葉。

 やっぱり。


「まあ、魔法の盾ではなくても、迷宮産の盾であるってだけで価値あるから……とりあえず、夏海ちゃんが持つといいと思うわ」


 夏海ちゃんは手ぶらだし。

 ちょうどいいでしょ。


 まぁ、そりゃそうだな、


 ……でも。


 魔剣、入って無かったなぁ……

 大きな宝箱だから期待したのに。


 どうしても、それに期待してしまう俺がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感想をいただけましたら必ず返信致します。
些細な感想でも頂けましたら嬉しいです。
ブクマ、評価、いいね等、いただけましたら感謝致します。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ