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えっ、吉常くん大学行かないの?~托卵で生まれた俺、大学に行かずに迷宮探索者で立身出世を目指す~  作者: XX
第4章:再会

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第37話 3人目の仲間

 榎本さんは教えてくれたんだ。

 俺が何で迷宮探索者を本気で目指すのかを言ったときに。


 自分も似たようなもんだ、って。


 榎本さんは……父親が逮捕歴がある犯罪者だったんだ。

 そのせいでまともな企業に就職できなかったらしい。


 で、ブラック企業を何社か転々として。

 最後の企業で「犯罪豚の娘がセクハラとか。何いっちょまえに権利主張してるの?」と言われて退職に追い込まれたとき。


 榎本さんは一般での就職を諦めた。

 迷宮探索者で食べていく。

 そう心を決めたんだと。


 ……迷宮内ですごく需要がある宝箱の罠解除のスキル。


 榎本さんにはそれがあったんだ。

 それが多分、榎本さんがこの道を選んだ一番大きな理由。

 迷宮では、榎本さんが榎本さんであるだけで需要があるんだ。


 ただ、どういう経緯でそんな技能を身に着けたのか、俺はそれは訊いていない。

 それはきっと、答えたくない質問だと思うし。


「あの」


 俺は提案してみた。

 今、榎本さんはフリー。

 そして榎本さんは上を目指してる。


 あと、宝箱も開けられる。


 榎本さんなら間違いなく信頼できる。

 ほぼ俺の師匠みたいな人だし。


 この人に俺たちのパーティに入って貰えば、4層に……さらにその先に行けるかもしれない。


「何かしら?」


 俺に目を向けて来る榎本さん。


 俺はじっとその目を見つめて


「俺たち上を目指してます。……一緒に行きませんか? 6層以上に」


「えっ」


 霧生がそこで戸惑いを含んだ声をあげた。

 俺は彼女に眼を向けて


「霧生、俺は榎本さんに仲間になって欲しいと思ってる。榎本さんはすごい人だから」


 だが。


 霧生は迷っているようだった。

 ……ウラキの奴に裏切られた後だからかな。


 でもさ


「霧生、榎本さんはウラキとは違う。信頼できる人だから。助けて貰ったじゃないか」


 あつものに懲りてなますを吹くっていうけど。

 一度の大失敗で警戒し過ぎるのは駄目だろ。


 お前だって言ってただろ。

 安牌ばかり切ってたら上にはいけないって。


 そう思っていたんだけど


「そういうことじゃないよ!」


 ……なんかえらい剣幕で否定された。

 何故だ?


 混乱する俺を他所に


 霧生は唇に親指を当てながら


「……どうする私……もしかしたら、いやそれは……」


 何か呟きつつ思案してる。

 声を掛けづらいオーラだ。


 そこに榎本さんが近づいて


 何か囁いた。


 すると霧生は


 何か驚いて。

 榎本さんを見つめ。


 続いて俺にこう言ったんだ。


「私も恋さんに仲間に入って貰いたい! だって、宝箱を開けられる人なんだよね!?」


 手のひらクルクル。

 まるでドリルアームのような意見翻し。

 ゲッ〇ー2か。


 今、榎本さんが教えたのかな?

 榎本さんの特殊技能を理由に挙げて、仲間入りを全力賛成する霧生。

 しかも名字じゃなくて名前呼びで。


 ……霧生の考えていることが分からんけど。

 まぁ、でも。


 大した問題では無いよな。

 きっと。


 霧生は絶対に悪い奴では無いし。


 榎本さんも「浅い階層でくすぶってるのは嫌だし、吉常くんたちなら上に行けそうだから」と。

 俺たちのパーティに入ることを了承してくれた。

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