表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/172

第20話 GJだ、霧生!

 俺は剣を構え、爪の攻撃を横にステップで回避。

 続けて牙が迫るが、身を捻って躱す。

 反撃で鎧のない前足や腹を狙うが、上手く狙えない。


「くそ、強いな……!」


 防御一辺倒になる。


 メタルタイガーの動きが速すぎて、俺は防御と回避に追われる。

 霧生がエネルギーバレットを撃つ隙も無いらしい。


 霧生の焦り顔。


 やっぱり、2人じゃ無理か? 

 ホブゴブリン、ダンジョンウルフとは比べもんにならんよな。

 4人パーティーでもキツかったのに。


 俺と霧生、戦力足りないか──?


 その瞬間だった。


「エネルギーバレット!」


 霧生のシャウトが部屋に響く。

 俺は一瞬、目をやる。


 だが、霧生から魔法は飛んでこない。


 メタルタイガーが、ちらりと霧生に目を向ける。

 俺への攻撃を続けながら、明らかに霧生の動きを警戒してる。


 ……待て。


 こいつ、魔法の存在を知ってる? 

 所詮獣だろと思って、まるで気にしていなかった。

 こいつはそういう奴なのか?

 

 グオオオ!


 そしてメタルタイガーが再び俺に襲い掛かる。

 爪が空を切り、俺は後ろに飛び退く。

 その瞬間、霧生の声が鋭く響いた。


「吉常君! 息止めて!」


「……!?」


 良く分からなかった。

 けど、俺は理由を訊かずに従った。


「エネルギーバレット!」


 俺は言われた通り息を止めたまま、戦いを継続した。


 けど


 飛んできたのは青白いエネルギー弾じゃなかった。


 薄紫の霧──スリープミストだったんだ。


 メタルタイガーが霧を吸い込み、動きが明らかに鈍る。

 意識が朦朧としてるように見える。


 ――霧生の偽装だ。


 魔法のシャウトは別に呪文じゃ無い。

 魔法の射程の問題で、声と視線が発動箇所に届いている必要があるから発するだけで


 大体いつも魔法名なのは、魔法を使う意志に雑念が混じらないようにするために過ぎない。

 だから……


 エネルギーバレットと叫んで、実際はスリープミスト。


 これはアリなんだよね。

 そのせいか……


 不意打ちでメタルタイガーの警戒をすり抜けたようだ。


「GJだ、霧生!」


 俺は隙を逃さず、剣を握り直し突進。

 メタルタイガーの首──鎧のない急所に、渾身の力を込めて刃を突き刺した。


 ガアアアアッ!


 その一撃でメタルタイガーが悲鳴をあげ、塵になって消滅する。

 ……勝てた!


「やった……!」


 俺は息を切らし、剣を鞘に納めた。

 俺と霧生だけで、2階層の番人を倒したぞ……!?


「やったね! 吉常君、勝てたよ!」


 霧生が駆け寄って来て、満面の笑みでガッツポーズ。


「今、実感した! 私ランク2の魔術師になった!」


 ……俺もそうだった。

 番人を倒した瞬間、ランクが上がってスキル<挑発>の習得を実感したんだ。


 霧生もそうなった。

 ランク2の魔法を得ると、魔術師は一気に強くなるんだよな。


 まぁ、それよりも


「霧生のあの偽装魔法、会心の一撃だったと思う」


 俺のそんな賞賛に


「ほめ過ぎだよ」


 霧生はなんだか嬉しそうで。


「なんだかメタルタイガー、魔法について理解してそうな様子だなって思ったから試したの!」


 そう霧生が照れ笑いしながら、眼鏡をクイッと上げる。


「……観察力パネェな」


 俺は苦笑し、肩の力を抜く。


 さて……


 これで霧生もランク2になった。

 そしてこれで俺たちは2人とも、3階層に足を踏み入れる資格を得たんだ。


 ここから先。

 モンスターはもっと強くなるわけで。

 それで、俺たちはたった2人でやっていけるのか……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感想をいただけましたら必ず返信致します。
些細な感想でも頂けましたら嬉しいです。
ブクマ、評価、いいね等、いただけましたら感謝致します。
― 新着の感想 ―
益々訳が解らなくなった…人間の言葉を理解する魔獣? だったら、極端な話「寿限無寿限無…」でも通じるの? 魔獣は混乱するとか? それと、やはり階層主を倒すとクラス(レベル)が上がるの? それ以外ではクラ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ