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えっ、吉常くん大学行かないの?~托卵で生まれた俺、大学に行かずに迷宮探索者で立身出世を目指す~  作者: XX
最終章:迷宮の意味と俺たちの掴んだもの

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第192話 サクラの今は

「お久しぶりデスネ。半年ぶりデショウカ? 新しいお仕事には慣れましたカ?」


 部屋の前に到着し。

 インターホンを押すと、サクラが出迎えてくれた。


 ドアを開けて俺たちを招き入れてくれた彼女は、上等な青いワンピースを身に着けていて。

 肩に、小悪魔を乗せていた。


 見覚えのある小悪魔を。


 サクラのタワーマンションのリビングは、大阪の夜景を一望できる、ため息が出るほど洗練された空間だった。

 その床は光沢のある黒曜石のような大理石が敷き詰められてて、部屋の照明を反射して冷たく輝いている。


 壁面にはよくわからないけど立派な絵が一枚飾られており、部屋の高級感を上げている。


 高級そうなソファは茶色の総革製で、部屋の雰囲気にマッチしてる。


 そんなリビングの中央に黒色のダイニングテーブル。

 ソファ用なので背が低い。

 材質は金属かな?


 天井にはシャンデリア。

 シャンデリアのクリスタルの無数のプリズムがキラキラしていた。


 で、ソファに座って榎本さんがすでにはじめている。

 榎本さんは上は白の無地のTシャツで、下はジーンズ。

 それなりに履き込んでる、マニアが好きそうなジーンズだった。


「お久しぶりですー」


「しばらくです。恋さん」


 俺たちが挨拶すると榎本さんは


「ふたりとも久しぶり。元気だった?」


 笑顔でそう返して来た。


 その見た目は、髪の色は黒に戻してて、年齢が……


 俺たちと同年代に若返っていた。

 ……若返り薬を使ったんだよね。


 榎本さんの実年齢、本当は30近いはずなんだけど。


 これは別に「おばさんになりたくない!」って意味じゃ無く。

 ……まあ、本音にはそれもあるのかもしれないけど、そうじゃない。


 榎本さん、今道場を開いてて。


 お金取って戦闘技術だの、最初のクリスタルへのガイドだの。

 迷宮探索者を目指す人間を、サポートする商売をはじめたんだよね。


 なので、生涯現役でいる必要があるので、薬の使用を決めたんだ。


 ……俺は今はピンとこないけどさ。

 年齢を重ねると身体能力の低下を否応なく実感するから、この世界で若返り薬が手に届く場所にあるなら、使わない選択肢は無いんだと。


 特に戦士は。


 榎本さんは高級そうなブランデーの瓶から、その琥珀色の液体を注いで、シャンパングラスに似た特殊なグラスでそれをっていた。

 何だろうか……?


 コニャックかな?

 俺は高級ブランデーはそれぐらいしか知らないんだけどさ。


「やっぱコニャックは美味しいわね」


 嬉しそうに榎本さん。


 やっぱりコニャックだった。

 酔えなくても、アルコールの味は楽しめるしな。


 俺だってそうだし。


 俺の場合は芋焼酎が好きで。

 特に九州の銘柄の「覇王」が好き。

 一口飲んだとき、味の虜になった。


 香りと味の余韻が最高なんだ。


 サクラに揃えて欲しいドリンクを訊かれたとき、それをお願いした。


 テーブルにはそんな俺たちのお願いした各種ドリンクの他に、所狭しと中華料理が並んでる。


 それぞれ、お金の掛かってそうな器に盛られていて。


 野菜が多数入ったフカヒレスープっぽいもの。

 エビチリ、チャーハン、から揚げ。


 ……そして麻婆豆腐。


 多分全部手作りなんだろうな。

 腕を披露するって言ってたし。サクラ。


 ちらりと夏海を見る。

 ……少し、表情が硬かった。


 夏海は、俺の奥さんは前はサクラに対抗意識を持ってたからな。

 料理でも負けたくないって。


 彼女曰く、サクラは俺に好意を明らかに持ってたから、危機感を持ってたそうだ。

 で、対抗意識を燃やしてたんだと。


 そんなことを、夜に言われたことがある。


 ……俺は別に、心から好きになった女性は奥さん以外いないし。

 そんなことで対抗意識持たなくてもと思うけど。


 言っても奥さんが不機嫌になると思うんで、それは言って無い。




「それでは始めマショウ」


 俺たち4人はソファに座り、ダイニングテーブルを囲んで。

 それぞれ好きなドリンクを注いだグラスを合わせた。


 そして


「再会に乾杯!」


 食事会の開始を意味する言葉を口にした。

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