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第176話 気づいてしまった違和感の理由

 目の前のコイツを倒しても意味が無い。


 そして玉座にふんぞり返ってる方を倒しても意味が無い。


 ……どうすれば良いんだよ?


 この2体も本体じゃ無いとか?


 例えばどこかにコアがあり、それを潰さない限り無限復活をするとか?


 ……いや、そんなのどうしようもないだろ!

 分かりようがないじゃんか!


 ノーヒントでそれを探り当てろとか、無茶を言い過ぎだ!

 乗り越えられない壁だろそれ!


 これまでの試練は……番人戦、そして黄金の林檎の番人のラドン、最後のクリスタルの番人のシャドウガーディアンに至るまで。

 迷宮は攻略の目は残してくれていた。


 絶対無理、っていう障害は置いて来なかったんだ。


 だから迷宮は、絶対に乗り越えられない障害を置いたりしないはず。


 そこから考えると今の状況はあり得ない。

 どうやっても復活し、絶対に倒せないなんてことは……


「フォースプロテクション!」


 そこに


 夏海の声。


 フォースプロテクションは爆発による衝撃の耐性を付与する僧侶系魔法。

 魔術師系魔法のランク5「フォースブラスト」の対抗魔法だ。


 全員にフォースプロテクションを使用して、フォースブラストで部屋ごとまとめてフッ飛ばしてしまうつもりか……!


 フォースブラストの効果範囲を最大限に取れば、この部屋をほぼ丸ごとカバーできるしな。


 だけど


 ピイイイイイイ!


 即座に黄金の騎士は鳴いた。

 多分、向こうもフォースプロテクションを使ったんだ。


 そしてそれは、2体とも鳴いた。


 片方だけじゃ無かった。


 えっ、と思う。

 こいつにとってアレはどうでも良いんじゃなかったのか?


 何故ふんぞり返ってる方まで防御行動を……?


 でもその思考は


「吉常くん!」


 俺と黄金の騎士との一騎打ちに助太刀しに来た榎本さんの分身体と。


「ブリザード!」


 同時に巻き起こり、俺たちを飲み込んだ吹雪の嵐で


 中断される。

 俺はその吹雪でダメージを受けなかった。


 榎本さんもダメージを受けない。


 ……夏海のフォースプロテクションはフェイクだった……?


 そして


 ピイイイイイ!


 黄金の騎士の声……いや、悲鳴か。

 このブリザードはこの黄金の騎士にはまともに効果を上げているらしい。


 こいつはフォースブラストが来ると思って、やはり切り替えていたみたいだ。

 動きが停止していき、斬撃が止まる。


 だけど続けて


「ブリザード!」


 ブリザードの連続使用。

 夏海がそれを残ったもう1体に浴びせたとき。


 それは……


 全くの効果なし。


 流石に玉座にふんぞり返ったままではいなかったけど。

 そいつは吹雪の嵐の中で玉座から立ち上がり


 背中の蟲の羽根を広げて。


 ピイイイイ!


 フライトの魔法を使用し、舞い上がる。


 平然と。

 何のダメージも受けずに。


 ……こっちは事前にコールドプロテクションを使用していたのか。

 コールドプロテクションでも、フォースブラストでも、どちらが来てもいいように。

 なんて用意周到な……!


 ……


 ……あれ?


 何だか俺は、この結果に大きな違和感を持った。

 変じゃ無いか?


 何がと言われると……出て来ない。

 なんとなくだ。


「吉常くん! 集中して!」


 そこで共闘してくれている榎本さんの分身体が、俺の意識が少し逸れていることに気づいてそう叱咤する。


 俺は「すみません!」と言いかけて


 あっ、と思った。


 気づいたんだ。

 変だ!


 何で、コールドプロテクションなんだよ!?

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