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第148話 いざ、運命の戦いに

 エンマの中島氏に連絡を入れた。


 そこでエンマに俺と夏海2人が条件付きで入っても良いという話をして。


 その条件として


「四戸天将と一騎打ちで戦わせて欲しい。それで俺が負けたら揃って仲間になる」


 そう伝えた。


 中島氏は俺の要求に


『分かりました、四戸くん本人に訊いてきます。それでOKが出たら戦う日取りを決めましょう』


 ……全く、難色を示す様子が無かった。

 まあ、向こうが払うものは何も無いしな。


 負けても何も変わらないんだし。


 それに負けるとも思って無いんだろう。


 敵を探る意味合いで、四戸天将の評価を訊いたら


 こんなことを言われたから。

 アイツは……


 四戸天将はエンマの制裁実行役で、その実力がトップレベル。


 そういう話だった。

 つまり精鋭ってわけか。


 ……なるほどね。

 アイツ、やっぱ実力だけは本物なのか。


 だったらまあ……

 やり方はあるよな。


『……ああ、そうそう』


 そんな思考をしている俺に。

 中島氏は


『……エンマが制裁対象が有罪かどうかを判断するのは、メンバー全員が集まって会議をして、過半数の票が入った場合に限られるのですが』


 フォローのつもりなのか、こんなことを言って来た。


『……キミの場合は、9人中5人。1票差だったんです。……なので』


 もしエンマ入りが決まったとしても、肩身が狭い思いをしなくていいですよ。

 キミが罪人で無いという票を入れた人間が少なくとも4人は居るんですし。


 そんなことを言って来た。

 ……この中島という男。


 エンマのメンバーで無ければそんなに悪い人間では無いのかもしれないな。

 頭の片隅でそんなことを思った。


 そして……


 その5票の中に、間違いなくアイツが混じってて。

 ひょっとしたら、会議でアイツが俺の有罪説を強弁して、4人のメンバーを賛成票に引き込んだのかも。


 そうも思った。




 決闘の日程の連絡は、その日の夜に俺のスマホにショートメールで入った。


 その日は3日後。

 金曜の夜8時。


 場所は第8階層のエレベーターエリア。

 エレベーター出入り口の建物周辺エリアってことだ。


 ……金曜日か。


 その日は、通常は迷宮でパーティを組む日だ。

 俺たちのこの決断は、榎本さんたちには無関係だから知られたくない。


 だから


『木曜日になりませんか?』


 そう返事を打ち込む。

 これは俺たちの都合もあるけど……


 挑発の意味合いもある。


 俺と戦うアイツは、きっとこういう言葉に激怒する。

 俺と戦うのに準備は要らんということか、と。


 アイツは舐められるのをとことん嫌うみたいだし。


 そして次の日の昼頃に


『了解です。では木曜日の夜8時に第8階層で』


 そんな返事が返って来た。


 よし……




 そして。

 その日がやって来た。


「天麻くん、これ」


 第8階層のエレベーターエリア。

 エレベーターの出入り口……伏せたプリンみたいな形状の、金属で作られているように見える建物……その前で待つ。


 戦いを前にして

 ニヒムと長剣、2本の愛剣を確認している俺に、夏海が


 小さいタッパーを突き出して来る。

 それには……


「ああ、ありがと」


 トンカツ1個と焼いたステーキ肉の切れ端。

 それが入っていた。


 ゲン担ぎには最適のメニューだな。


 口に放り込んで咀嚼する。

 美味い。


「あとこれ」


 ラップに包まれた白飯のおにぎり。

 直前の炭水化物……


 動かなきゃいけないしな。


「ありがとう」


 礼を言って受け取って、俺は包みを剥がした。

 夏海が作ってくれたものだし、これも美味い。


「絶対勝ってね。私、信じているから」


 食べてる俺を、夏海はキラキラした瞳で見てくれた。

 こう言いながら


「天麻くんが、あの人より強いって」


 ……ああ。


 俺は頷く。


 任せてくれ。

 絶対に勝ってみせるから。


 そしてそこから数分後。


「……砂時計の砂から考えて……」


 そろそろかな?

 夏海がそう言ったとき。


 エレベーター出入り口が開き


「大変お待たせしました」


 中島氏と……


 あの男、四戸天将が入って来た。

 俺と顔つきが良く似た、目つきが鋭い男……


 中島氏は前に会ったときのような、裕福な紳士風の服。


 そして四戸天将は……


 まるでホストが着るみたいな、華やかな黒いスーツを身に着けていた。


 俺に対して凶暴な笑みを浮かべながら。

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