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第137話 裏技を押し通す道

 俺の言葉にサクラはワイバーンの背びれを掴む手に力を込めつつ


「狙撃をどうにかできナイなら、逃げた方がイイと思いマス」


 俺は彼女から手を離しつつ。


「そうか」


 俺は彼女の言葉にそう返した。


 俺としては、逆に


 狙撃さえクリアできれば後は何も無いのでは?

 そう思ったんだけど。


 狙撃手スナイパーを置くってことは、多分空から来て欲しくないってことだ。

 しかも夏海は、その狙撃手スナイパー……シャドウガーディアン以外のモンスターの存在を口にしなかった。


 ということは、見えなかったんだろう。

 だったら他に居ない可能性が高い。



 ……おそらく迷宮としては、塔を1階から5階まで順にクリアして貰いたいんじゃ無いだろうか?


 それを一足飛び……いや五足飛びに、いきなり最上階に突撃するようなズル……

 それを阻止するために、その狙撃者は居るんではないのか?


 だったら最上階にとびきり強力な番人を置けばいいと思うけど。

 迷宮はそれはやりたくないのかもしれない……


 この状況から考えると、迷宮の要望通りに塔を1階から順にクリアする正規のやり方を取るのが堅実なんだろうけど。

 目の前のこの状況……捨てるには惜しい。


「ちぃ!」


 榎本さんの焦りまくった声。


 ワイバーンを操りつつ


「これ以上は危険過ぎて近づけないわ! 諦めましょう!」


 悔しそうにそう大声を出した。

 榎本さんもひょっとしたら今日、上級職になれるかもと思ったのかもしれないな。


 目の前にあるのに……


 夏海が拡大された視力で見たものを、俺も見てみたい。

 ホンの一握りの、選ばれた迷宮探索者のみが見た光景を……!


 そのとき。


 ハッとした。


 俺は


「夏海!」


 反射的に口にしていた。

 たった今降って来た


「塔の頂上にテレポート出来るか!?」


 このアイディアを。




 夏海は塔の頂上にいたシャドウガーディアンという名のモンスターを視認した。

 だったら、塔の頂上にも跳べるんじゃ無いのか?


 もしそうなら


 俺が夏海と一緒に転移して、シャドウガーディアンを速攻で倒せばいいんだ。


 そうすればクリアできる!

 この、迷宮が事前に潰そうとしている抜け道ルートを!


 俺の言葉に夏海は


 一瞬、俺の言った内容が分からなかったのか。

 少しだけ固まっていたけど。


 数瞬後。


「……できるよ!」


 理解してくれて、笑顔になる。

 俺の考えに賛同してくれただけじゃなくて。


 燃えてくれている。


 嬉しい。


「……ジャあ、ワタシはワイバーンの修復に集中しマス」


 ワイバーンは銃弾で即死はおそらくシマセン。

 致命打になるのは翼への銃撃。

 それはあと3発くらいまでワタシ治せマス。


 ……つまり、もう少し無理矢理近づくことは可能ってことか。

 ミスして翼に被弾しても、あと3回は治せるから。


 サクラのそんな言葉を受けて


「……夏海ちゃん、行って帰って来るのは可能なのよね?」


 榎本さんはそんな確認をした。

 多分榎本さんは「失敗したら逃亡の目を失って2人とも死亡確定」という事態を恐れているのか。


 榎本さんのその言葉に夏海は


「大丈夫です! 私は毎日テレポートの練習してますし!」


 自信に満ちた声でそう返す。

 それは


「……分かったわ」


 行きなさい。


 榎本さんのゴーサインを貰うのに十分だった。

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