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第134話 見に行こう。最後のクリスタルを

 あの塔……


 どう考えてもあの塔だよな。


 最後のクリスタル……

 上級職を手に入れられるクリスタル……

 ハイクラスクリスタルがあるのは。




「あの塔、見に行ってみませんか?」


 第8階層にやって来て、俺は遠くの白い塔を指差して。

 メンバーにそう提案した。

 メンバーは俺の言葉を思案する。


 そして


「……確かに、飛行型のモンスターはあんまりいないから」


 まず榎本さんが俺の意見に同意してくれた。


「アタシのワイバーンを使えば、皆便乗して飛んで行くのは出来るかも。

 地上を歩いて行くのよりは安全に」


 ついでに補足アイディアまで出してくれた。


 ……ここから塔までは、数キロありそうだしな。


 歩いて行くと突然出現したモンスターに連続で出くわして、囲まれてしまう状況に追い込まれるのが心配だけど。

 飛行型のモンスターは絶対数が地上型より少ないから、飛んで行けばその危険は少ない気がする。


 それに便乗なら密着できるし。

 夏海のテレポートが効くだろ。

 テレポートに誰かを便乗させる条件は、術者の身体に触れていることなんだよ。

 

 だから危なくなったらこのエレベーターのあるエリアに逃げ帰ればいいんだ。


 跳ぶ先の階層が違うならテレポートが働かない可能性あるけどさ。

 同じ階層なら大丈夫なはず。


 実際、四戸天将(アイツ)は普通にテレポートを使ったわけだし。


 俺がさらにそのアイディアを出すと


「……いきまショウ。ワタシ、上級職取ってみたいデス」


 榎本さんに続いて、サクラが同意。


「そうだよね。見に行って、行けそうならそのまま行っちゃおうか」


 そして夏海はノリノリになっている。

 目が輝いていた。


 俺もだけど……


 興味あるよな。

 上級職。


 ……上級職取得には……


 俺は今、思うところがあった。

 クラスの最終形にすぐにでも到達したい。

 その想い以外で。




「じゃあ、呼ぶわね」


 榎本さんは集中するために大きく呼吸して。

 目を閉じる。


 俺たちは固唾を飲んでそれを見守る。


 これから榎本さんが呼ぶのはランク5の召喚獣……


 ワイバーンだ。


 ワイバーンとは飛竜のことだ。

 一般のドラゴンは、四つ足に背中に皮の翼を備えているのが基本だけど。

 ワイバーンは前脚が翼竜に似た翼になってる。


 飛行能力に特化したドラゴン。

 そう形容するのが一番適当で。

 だからこそ「飛竜」なんだ。


 そんなものを呼べるようになったとは聞いてはいたけど、俺は見るのは初めてで。

 正直、ドキドキしていた。


 集中する榎本さんの姿が、まるで彫像みたいに見える。

 精神集中のせいで全く動かない。


 それがどのくらい続いたか


「来なさい! ワイバーン!」


 榎本さんの強いシャウト。

 すると同時に


 俺たちの目の前の地面に、直径10メートル超の輝く魔法陣が出現し。

 そこに光が結晶化していくように


 1頭の飛竜の姿を形作っていく。


 それは……


 灰色の鱗を持つ大きな西洋の竜。

 ただし、前脚が巨大な蝙蝠の翼に似たものになってる。

 あれで羽ばたけば突風が巻き起こりそう。

 そんなイメージを持てるくらい、力強い。


 顏は肉食恐竜に似ていた。

 角が2本、生えてはいたけど。


 ゴオオオオオ!


 召喚されたワイバーンは大きく吠える。

 まるで雷のような吠え声。


 ワイバーンの召喚を終えた榎本さんは荷物を背負い直し

 その背によじ登った。


 そして


「さあ、乗って。落ちないように気をつけなさい」


 ワイバーンの首の付け根に跨り、榎本さんはそう俺たちに呼びかけた。

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