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第129話 第8階層の世界は

 第8階層は魔界風の世界だった。

 魔界の絵を描いてくれと言われた画家が描きそうな世界だ。


 地面は灰色で、空は曇り空。

 常に雷が鳴っている。


 地面に生えている植物は、草と樹。


 ただ草は、鋭角的な植物で。

 色は黒だ。


 葉は触ってみるとざらざらしていて、手が切れそうだった。

 ススキに似てるかも。


 樹は灰色で枯れ木に似ているけど、それは色艶がそうなだけだろうな。

 全部がそうで、朽ちて倒れているものが見えないし。


 ということは、これがここでの普通なんだろ。




 建物は1つを除いて何も見えない。


 遠くに白い西洋風の塔。

 それだけ。


 後は何もない。

 他はこのエレベーターの出入り口だけだ。


「さて、今日は何が出ますかね」


 第8階層の世界は見晴らしが良いので、モンスターがどこに居るのか大体分かる。

 だけどモンスターの方は、このエレベーターの出入り口のあるエリアに集まっては来ていない。


 ……ひょっとしたら縄張りみたいな概念があるのかなと思う。

 自由に動けるのであれば、多分ここに集まるよな……


 こんだけ見晴らし良いんだし。




 とりあえず俺たちは、一番近くでうろついていたモンスターを狩ることにした。


 それは異形の鳥のモンスターで。


 大きさは3メートルくらいで、色は緑。

 フォルムは孔雀の牡に似ていたが……


 孔雀の牡の特徴的な羽根の模様。

 あの、眼に似たやつだ。


 あれが全部、マジモンの眼だった。


 羽根を閉じているからか、今は閉じられていたが。


「アナライズ」


 ……そこに、夏海のアナライズの魔法が飛ぶ。

 初めて見るモンスターだからこいつは。


 今までここで数回戦ったけど、コイツと戦うのは初めてだ。


 結果、夏海は……


「……あのモンスターの名前はアルゴス。毒ガスと火炎のブレスを吐いてきます。毒と炎は効きません……」


 アナライズはモンスター相手に使うと、モンスターの名前と特性を教えてくれる。

 番人のような、一部名前しか分からないモンスターは存在するけど。

 こういう形で普通に遭遇するモンスターの場合は大体分かる。


「注意事項は、羽根の眼。見ると目が釘付けになってしまいます。思わず注意を引き付けてしまうんです」


 ……なるほど。


 羽根の眼が開いたとき、それを見てしまうと危ないんだな?

 目が離せなくなってしまい、その隙を狙われる……!


 そんな夏海の事前警告が終わったときを見計らったように。


 アルゴスがこっちに気づき


 バオオオオオオオ!


 変な鳴き声で甲高く叫び、その羽根を全開にする。

 同時に閉じられていた羽根の眼が一斉に見開かれた。




「フォースブラスト!」


 だが開幕。


 夏海が決断した。


 戦いが本格化する前にいきなりアルゴスにランク5の魔術師系魔法……攻撃魔法のフォースブラストを叩き込んだんだ。


 フォースブラストは指定の1点を中心に、半径10メートルくらいまで巻き込む大爆発を起こす魔法で。


 ドンッ、という音と共にアルゴスが吹っ飛ばされる。

 爆発の余波で、こっちに土が飛んでくる。


 後に残されるのは

 バオオ、バオオ、と苦しそうに呻くアルゴス。

 ……正直、開幕で最大火力でやってしまうやり方は正しかったかもしれない。


 事故が起きそうな特殊能力持ち相手だしな。


 フォースブラストを繰り出した夏海は、ちょっと顔を顰めている。


 威力が段違いに高いから、疲労もデカいのか。

 だけど


 俺は彼女を労う前に、フォースブラストのダメージでダウン状態にあるアルゴスに駆け寄り、ニヒムの斬撃を浴びせた。


 その俺の剣は容易くアルゴスの首を一刀両断。

 アルゴスは同時に塵になり消滅。


 こうして俺たちは、厄介なモンスター……怪鳥アルゴスを倒した。




「……大丈夫か?」


「わりにしんどい。フォースブラストの消耗はあんまり軽くはならないね。ちょっと数分休憩させて」


 地べたに腰を下ろして三角座りをしている夏海に駆け寄って消耗具合を訊ねると、やっぱりそうそう楽では無いようで。


 まぁ、こんだけ威力あればな。

 体長3メートルのモンスターを、一撃でダメージでの行動不能に追い込む威力なんだし。


「ありがとう。ご苦労さん」


「どういたしまして」


 しんどいだろうに、夏海はそう言って手を上げた。


 その仕草に俺が思わず微笑んでしまうと


「オオ! チョット来てクダサイ霧生サン」


「……ポーションが7本出たわ。夏海ちゃん、悪いけど鑑定を」


 宝箱の罠解除に当たっていたサクラと榎本さんが、緊張感のある声でそう言って来たんだ。

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