第114話 水着を買う
女性の水着って、購入時の決定要因何なんだ?
具体的には
自分の体形に合うかどうか、どうやって判断してるんだ?
気になったので、スマホでAIに質問をしてみた。
するとだ……
所謂スリーサイズと、身長を参考に決めるらしい。
なるほどな……
夏海のスリーサイズ、知らないんだが?
身長は分かるよ?
154センチだ。
ほぼ間違いない。
俺の<絶対感覚>がそう言っている。
だけどスリーサイズは……
比較対象の数字が分からんから。
判断が出来ないんだ。
スリーサイズの定義は……
バストは……
トップがバストのてっぺん。
つまり乳首の位置にメジャーを巻きつけて図った長さで。
アンダーがバストの下にメジャーを巻きつけて図った長さ。
ウエストは臍の下、肋骨の下あたり。
ヒップはお尻の一番膨らんでいる箇所。
こういうものらしい。
定義は分かった。
問題はサンプルだ。
どうすれば……?
比較対象さえあれば一発なのに。
そう思い、俺は悩んだ。
誰かに訊くわけにもいかんしな。
なあ、アンタのスリーサイズ教えてくれ、って。
絶対通報されるだろ。
それは駄目だ。
そしてしばらく考えて……
「そうだ! 俺のを測ればいいんだ!」
……天啓ってやつかもしれない。
そしてその日。
俺は家で1人になったとき、洗面台の前の大きな鏡……その前で。
上半身裸になって、自分のウエストの位置にメジャーを巻きつけてそのサイズを計測する。
するとだ
「70センチか……」
鏡で自分の身体を見る。
下は学校の制服、上は裸。
……筋肉はついてる。
身体が資本だしな。
まぁそれはどうでもいい。
この見た目とサイズで、70センチ。
そこから目算で……
俺は必死で頭を回し、夏海のスリーサイズを割り出す。
あくまで多分だけど……
バスト(トップ)88センチ
バスト(アンダー)68センチ
ウエスト58センチ
ヒップ86センチ
これは服の上から見たサイズ感から弾き出した数値だから、実際は少し狂いが出て来るかもしれない。
でもまあ、市販の水着はオーダーメイドじゃないんだ。
許容範囲……つまり遊びと呼べる範囲があるはずだ。
だったら、このデータで夏海の水着を買うことは可能なはずだ。
「よし」
……俺は決断した。
俺は通販で、水着を注文した。
通販は良いね。
自分1人では行きづらい店も、通販なら簡単だ。
色は黒で、夏海の清楚な雰囲気にマッチした布面積が多めのワンピース水着だ。
ベイルアウト後に緊急避難的に着るのが目的だから、布面積は多い方が良いだろう。
数日後、宅急便で商品が届き。
俺は1人、その商品が入った段ボール箱を見ながら考えた。
クリスマスはもうすぐやってくる。
そのときに渡すわけだけど……
夏海は喜んでくれるだろうか……?




