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第108話 彼女の家

 夏海の家に呼ばれた。


 ……どうしよう?


 服なんか特にさ。


 デートの服は独立してからいくらか揃えたけど、彼女の自宅訪問で着て行っていい服なんて……


 無い気がするんだが。

 だから言っちゃなんだけど……


 いきなり言われても困る……


 でも、誘われて断るのは違うだろ……


 そんな感じで、だいぶ焦って、迷ったんだけど

 変な汗をうっすらかきつつ、じっと考えている俺に


 彼女はこう言った。


「金曜日の下校時に私の家に寄って欲しいんだ」


 ……つまり制服のまんまで来てくれと。

 その言葉に、だいぶホッとさせられて。


 俺は彼女の家族に会う覚悟を決めた。

 多分彼女は俺の気持ちを考えてくれたんだ。


 帰りに寄る形なら、長居しなくていいし

 服装その他で全く何も考えなくていい、って意味で。


 ここまで考えてくれたなら、応じるしか無いよな。




 そして金曜の放課後がやって来た。

 夏海に案内されて……


 夏海の自宅マンションに連れて来られた。

 ここが高級住宅街なのかどうかは知らないが……


 かなり立派なマンションだった。

 ホテルみたいな清潔感があって


 管理人室が入り口にあって


 ……階数が20階ある。


 えーと……

 タワマンなのか?


 タワマンの定義、分かんないんだけど……


 雰囲気にタワマンを感じた。


「私の家は10階にあるの」


 マンションエントランスでエレベーターのボタンを押しながら、彼女はそう言った。

 10階か……


 俺は筋肉を日常的に使う目的で、基本的にエレベーターやエスカレーターは使わないことにしているんだけど


 10階は流石に使うだろうな。

 6階くらいならナシでもいけるんだけどさ。


「そういえば天麻くんの家のマンション、エレベーターの止まる階が奇数の階だけだよね」


 何で?


 夏海がエレベーターの籠が下りてくるまでにそんなことを訊いてくる。


 俺は


「……防犯上の理由らしい。エレベーターが自由自在に使えると、マンション内に泥棒が入り込んだ場合に追い詰めるのに面倒が増えるとか」


「ふぅん」


 俺の話を聞いて、そんなもんなのか、と頷く。


 ……そうこうしているうちに籠が1階に下りて来た。

 俺たちは乗り込み、夏海が10階のボタンを押して――


 ぐんぐん上がっていく籠は、10秒くらいで10階に到達する。


 そしてエレベーターを降りた後。

 ……吹き抜け状態になってる、マンション中央部を目にした。


 うおおお……


 断面積はそんなに大したことないんだけど

 1階から、20階のてっぺんまで何もない空間が貫いている。


 これは圧巻だけど、ちょっと怖いな。


 誤って落ちたら死ぬよな……


「こっちだから」


 そんな俺に気づいてないのか。

 夏海は俺を、自分の家である10階の8番目の部屋……

 1008号室に案内してくれる。


 俺は慌ててその後について行った。

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