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第107話 初めてのイベント

 今月末にクリスマスがある。


 ……どうしよう?


 俺は夏海が初彼女だ。

 当然だけど。


 なのでクリスマスは初めての経験だった。

 当然料理を用意しなきゃいけないんだろうな。


 俺にとってはこれまでクリスマスは普通の日だったけど。


 プレゼントなんて貰った記憶が無いし。

 クリスマスケーキというものを食ったこともない。


 小さいときにクリスマスというものの存在を知って


 特撮ヒーローのロボが欲しい。


 確かそんなことを手紙に一生懸命書いて、冷蔵庫にテープで貼ったんだ。

 確か幼稚園か小学校だったかで、そうすればサンタさんが玩具をプレゼントしてくれると聞いたから。


 なので真似した。

 

 でも次の日にはそれは剥がされていて。


 クリスマスの朝、枕元には何も無かったんだ。

 ガッカリしたことだけは覚えている。



 ……まぁ、どうでもいいか。

 今は違うんだし。



 チキンをスーパーで買って、ケーキも買って……


 プレゼントを用意した方が良いのかな?

 いきなりアクセサリーを贈るのは重すぎるか?

 そうすると、ハンカチだとか手袋だとか、そういうのが良いのか……?


 あと……


 避妊具買っといた方が良いのかな……?


 もしかしたら、そういうことになるかもしれないだろ。


 でも……


 父さんの世話になってる身で、しかも一人暮らしさせて貰っている身で。

 自室に彼女を連れ込んで、ヤっちゃうとか……


 怒られるだろ。常識的に考えて。

 バレなきゃ良いってもんでも無いし……


 でも、万が一……?

 俺の脳裏に、潤んだ目をしながら俺とベッドに入る夏海が……



「吉常くん!」



 そのときだった。


 夏海の切羽詰まった声で俺はハッとした。

 見ると、目の前で黄金色の巨大な蝙蝠が、羽ばたきながら大きく息を吸い込んでいる。


 ヤバイ!


 俺は咄嗟にニヒムを振るい、それを股間から正中線のラインで斬り上げて真っ二つにする。


 キィィィィッ!


 最期の悲鳴と共に、塵になる黄金の蝙蝠。


 こいつはゴールデンバット。


 魔術師系魔法をランク1まで使用し、加えて破砕超音波という特殊能力を持つモンスター。


 この第7階層では最弱のモンスターだけど、破砕超音波が厄介で。


 至近距離で聞くと、まず鼓膜が破れる。


 一応、予備動作で大きく息を吸い込むので、それさえ見落とさなければ潰せるのだけど……

 それ以外は俺にはカスと言っていいので、つい油断して


 ……戦いながらクリスマスについて考えてしまった。

 駄目だろ。迷宮にいるときは気を引き締めないと



 ここ、第7階層は岩石の世界。


 オーストラリアかアメリカの、大渓谷みたいな世界だ。

 目立った大きな木がなくて、岩が目立つ。


 凹凸が激しくて、非常に歩きにくい。


「ゴメン。ちょっとゴールデンバットだからって油断してた」


 俺は夏海に礼を言う。

 夏海は


「注意してよ……? 耳が使えなくなるのは馬鹿にはならないはずだし」


 そう、俺を嗜める。

 面目ない。




 そして残りのモンスターを討伐したとき、宝箱が出現した。

 サクラと榎本さんがその罠解除に取り掛かる中


「……ちょっといい?」


 こっそりと夏海は俺に囁いた。

 俺は


「手早く」


 公私は分けなきゃだから、俺たち2人の内緒話に時間を使うつもりは無かったのでそう返す。


 すると、彼女は背伸びして俺の耳に


「……今週の金曜日に私の家に来て欲しいの。……家族にあなたのことを紹介したいから」


 そんなことを言って来たんだ。


 ……なん……だと!?

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