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第106話 今年の俺は

 サクラにヒートプロテクションをして貰い火炎のダメージを無くして。

 ファイアーボールの爆発力だけ利用する。


 その爆発力で跳躍で到達できない高みに上がり、サファイアドラゴンを斬り捨てる。


 思い付きだったけど、ギリギリ上手く行った。

 1メートルくらい俺を押し上げた爆発なので、おそらく俺が戦士のクラスを所持してなければ大怪我を負っていたはずだ。

 火炎のダメージを無効化しただけでは。


 だけどまあ、ちょっとだけ違和感があるけど

 それは回復魔法を貰えば、まぁ。


 そんなことを考えながら


 俺は空中で姿勢制御を試みて、なんとか足から着地することに成功した。

 衝撃が物凄かったが、何とか耐える。


 これもクラス戦士じゃ無かったらできなかっただろう。

 どっかで聞いたしな。


 1メートルは一命取るって。


 そのぐらいの衝撃があるってことだ。

 落下には。


 そして着地を終えたとき、俺は自覚した。


 俺は戦士ランク4、学者ランク3になったって。


 頭の中にアナウンスがあった気がした。


 あなたは

 戦士ランク4スキル<アイアンボディ>

 学者ランク3スキル<アイアンマインド>

 この2つを手に入れた、と。


 アイアンボディは毒やウイルス性の病気の影響を受けなくなるスキル。

 そしてアイアンマインドは精神力……簡単にいうと根性の強化をするスキル。

 痛みや眠気に抗うスキルだな。


 ……これからの俺は、インフルエンザの予防接種はしなくてよくて、徹夜明けでも授業中居眠りしてしまうようなことも起きない。

 色々助かるわぁ。


「見て! 吉常くん!」


 そして。

 近くで夏海がはしゃいでいた。


 ……見ると、宙に浮かんでる。


 ああ、これって……


 魔術師ランク4の魔法のフライトか。

 飛行能力を得る魔法。


 ……自由に飛び回れて気分良さそうだな。

 少しだけ羨ましかった。


 夏海はこの戦場の上空を、グルグルと飛んでいた。

 笑顔でこんなことを言いつつ


「まるでゼット戦士みたいだよね!」


 ゼット戦士……

 まぁ、そうかも。


 シュンシュンシュンってオーラは無いけど、飛んでる速度、感覚的にそんな感じだし。




 こうして俺たちはランク4になった。


 その日のパーティがお開きになって解散した後。


 迷宮を出た後に、当然だけど役所に申告しに行く。

 ランクが上昇したときの義務だ。


 手続きを終えて、夏海と一緒に役所を出るとき。


 ……日が落ちて暗くなった空から、雪が降って来た。


「あ、雪」


 夏海の言葉。

 俺はその言葉に


「もう12月に入ってるしな」


 そう、呟く。


 夏海と出会う前は夏休み前だったのに。

 今はもう、年末を目前に控えてて


 早いな。

 もう12月なのか。


 ……俺たちの服装も、迷宮内と外では違ってるんだ。

 戦闘に向いた服の上に、防寒着を着てる。


 俺も夏海も、紺色のウインドブレーカー。

 学校指定のやつだ。


 夏海の吐く息も、白い。

 寒くなってるんだ。

 当たり前だけど


 時間の経過を実感し、俺が彼女を見つめていると


「ねぇ、天麻くん」


 隣の夏海が俺に視線を向けて来る。

 微笑みながら


 そしてこう言った。


「……クリスマス、どうする?」


 その言葉に。


 あっ、今年の俺は彼女が居るから。


 クリスマスが……ただの日じゃ無いんだな。

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