我が国の性犯罪への刑罰の変遷 ~不同意性交等罪はなぜ出来たか~
間違った内容があれば、ばしばしご指摘ください。
なんせ、ろくに資料を読み返さずに記憶頼りで書いてますから(-_-;)
私としては今、メディアを騒がせている大物芸能人の一件は中立の立場です。
どうも、猫の下僕の頂点に立ちたい奴隷です。(頂点なんだか、底辺なんだか)
さて、昨年は大手アイドル事務所を巡る性加害問題が大きく社会を揺るがし、今年になって、大物芸能人やプロスポーツ選手の性加害問題にたいする告発が相次いでいますね。
アイドル事務所の件については、かつて本人が名誉毀損を争っていた公判中に「(被害を訴えた)あの子たちが嘘を言っているとは言い切れない」といった、暗に認めた発言をしたことで、事務所側の訴えが棄却され、噂程度だった性搾取疑惑が「事実」だと世間一般に思われていましたから、まぁ、なぜ、生前に罪に問い、被害を減らせなかったのかと思いましたが。
これ以外の事案については真偽がわかりませんから、突っ込んだお話はしません。
今回は、こうした告発の背景として昨年に施行された不同意性交等罪が影響していると考える奴隷が、不同意性交等罪とは何かと、我が国の性犯罪における刑罰がどう変わり、それがなぜ、必要だったかを書いていきたいと思います。
不同意性交等罪は昨年2023年に、それまでの強制性交等罪を改正する形で施行されました。
また、この強制性交等罪も2017年に、強姦罪を改正する形で施行されたものです。
強姦罪からの改正から6年を経て、再びの改正の背景や、その内容を解説すると共に、我が国の性犯罪事案に対する考え方、捉え方の変化や、対策の必要性を考えてみましょう。
ステップ1 強姦罪
かつてはレ○プ犯に対する刑罰は強姦罪が適用されていました。
ここから、改正を経て、強制性交等罪、不同意性交等罪になった訳ですが、勿論、名称だけ変わって中身が一緒ということはありません。
さて、奴隷は現在40代ですが、同年代より上の方なら「婦女暴行罪」という言葉を聞いたことがあると思います。
なんなら、「強姦罪じゃなく婦女暴行罪じゃない」と思った方もいると思います。
これは、我が国のメディアが「強姦」という言葉を「婦女暴行」と置き換えて報道していたからですね。「被疑者」を「容疑者」と呼んだり、「意識不明の重体」などの隠語を使うのと同じニュアンスです。
さて、この婦女暴行という言葉は改正に伴い無くなりましたが、それは強姦罪と、それ以降の改正法との一つ目の大きな変更点を意味してもいます。
強姦罪は「婦女を(性的に)暴行した罪」と言い換えられた訳ですが、これは刑法上の欠陥を端的に言い表してしまっています。
つまり、被害者を女性に限定してしまっているんですね。
上記したアイドル事務所の件も、当時の強姦罪は適用出来ないために、もし起訴されていたとしても、強制猥褻罪しか適用出来なかったと言われています。
また、強姦罪は「暴行」に言い換えられていたように、「暴力による強制」が無ければ成立しませんでした。つまり、寝てる間や、飲酒させて、睡眠薬を飲ませて、同じ部屋にいる状況で断る暇を与えずにとか、何かしかの権力や、条件を突き付けて行為に及ぶとか、これが全て強制猥褻罪になったんですよ。
あとは、「性行為」が無ければ成立しなかった。
法的な「性行為」って、性器挿入が無ければ成立しないんです。
これも、男性が被害者とならない理由でした。
女性であっても、口淫や肛門性交、その他の挿入をしない性的行為全てが「強姦罪」の適用外だったんですね。
ステップ2 強制性交等罪
さて、強姦罪では適用の幅が狭すぎて、普通ならばレ○プ犯とされる人物に適用されない事態が発生していた訳です。
そこで改正法として施行されたのが強制性交等罪なんですが。
改正点、及び追加点を話していきましょう。
先ず、被害者が女性に限定されなくなりました。
また、性交「等」罪となっているように、性行為及び、それに類する行為、全てが対象となりました。
これで、アイドル事務所の件のような事例でも適用出来る条件がひとつ整ったんですね。(実際には強制性交等罪でも適用外なので、不同意性交等罪が出来ましたが、それは後述します)
さらに、13歳以下の未成年に対する性行為は問答無用で適用と追加されました。
ネットの普及で未成年者が性犯罪に巻き込まれる事案が増えたことが背景にあると思います。
ステップ3 不同意性交等罪
さて、だいぶ改正された強制性交等罪だったんですが、強姦罪のくだりで触れた「暴行をしない」レ○プについては「暴行、及び脅迫」を伴うと改正されたものの、睡眠薬やアルコール、ドラッグを用いたり、権力を利用したり、いじめや虐待で精神的な支配下においていたり、拘束したり、相手の同意を得ずに抵抗する隙を与えずに行為に及んだり、といった事例は依然として適用外だったんですね。
なので、8項目からなる適用要件をつくり、適用の幅をひろげ、また、13歳以下はそのままに、16歳以下の未成年相手にたいしても、5歳以上の年齢差のある性行為を一律対象と改正されたんですね。
我が国のレ○プ事案では、被害者が「そんな服を着ていたから」「そんな時間に出歩くから」「ほいほい男についていくから」権力者に迫られて断れなかったと言っても「どうせ、いい思いもしたんでしょ」と言われてしまうことが多かった訳ですよね。
そして、それは公判においても例外ではなく、加害側の減刑のために「被害者側の過失」として扱われた訳です。
結果として、立件を目指した被害者が訴えを取り下げることも多かったのが実情としてある訳です。
不同意性交等罪により、声を上げ難かった被害者が告発しやすくなった面はあると思います。
ですが、ネットなどでは「言ったもん勝ちで、後から『同意がなかった』って言えば、なんでも通る悪法」との見方もされています。
ただ、構成要件も限定されていますし、勿論のこと証拠も必要となりますから。
当時付き合っていた恋人と別れたあとに「あの時のセッ○スには同意がなかったから、訴える」と言っても、恐らくは検察以前に警察が取り合わないと思いますから、「言ったもん勝ち」は今のところは芸能人の週刊誌スキャンダルなどに限定されると思います。
大物お笑い芸人の件も「刑事事件」としての立件はもう不可能でしょうからね。
まぁ、芸人側を擁護する側も、被害者側で発言される方も、まだ確定した事実がない事案だという点は気をつけた方がいいですよね。
メディアスクラムだと擁護側が騒ぎ始めましたが。
まあ、彼を潰したい勢力による、ここぞとばかりの追い落としはあるかもしれません「が」。
メディアスクラムだーと騒ぎ立てる方たちは、もし被害者側の主張が本当だったり、まだ声を上げていない別の被害者がいたと仮定したなら、メディアスクラムと騒ぎ立てることは「被害者を装って、俺たちのヒーローを悪者にしやがった」と責めるのと変わらない。
裏を返せば「芸人擁護スクラム」を組んでると言えることを忘れてはいけませんよね。
はっきり言えば、裁判結果が出た訳でもないんですよ。たかがゴシップ誌の記事、なんで皆そんなに信用して、そんなに大騒ぎするのって話ですよね。
明確な証拠があって、かつ、社会性の高い問題(政治や経済等)であれば、関心を高めて、追及の手を緩めないのも大切かもしれませんが、芸能人のゴシップで、こう言っては何ですが、双方にこれといった証拠もなく、お互いの証言だけの水掛け論なら、周りも静観すべきだと思ってしまいます。
はっきり言えば、それが一番、芸能人側にとっては有難いはずですしね。
だって、殆どの人は関心なんてなくて、「どーでもいい」と思ってますからね。あと1ヶ月もテレビで彼を見なくなれば、すっかり過去の人になる。そんなもんなんですよね。大騒ぎするより、冷静に週刊誌報道に対応して、事実認定し、謝罪するところがあれば謝罪して、無いのであれば、速やかに法的措置。
あとは裁判結果が出るまでは論戦は控えるべきなんですよ。だって、判断できるだけの情報が出てませんからね。
話が大きく横に逸れましたが。
先ず、被害に合わないためには自衛が必要になります。これは冤罪事案という意味でもです。
「電車内で息を吹き掛けただけでも東京都の迷惑防止条例に引っ掛かる可能性はある」
これは弁護士の方の見解として発言されたものです。痴漢行為にたいする第5項だったかと思いますが(間違ってたらすいません)条文的に「相手が逃げられない状況で迷惑で不快」と感じさせてしまえば、成立する可能性もあるとのことです。
不同意性交等罪でも、アルコールを摂取させた状態での性行為という構成要件もあります。
恋人同士で、まだ肉体関係が無い二人が、デートでお酒を飲みながら楽しくご飯を食べて、そうしたら、タクシーの車中、相手が眠ってしまったので、自宅に連れていき、休ませていたんだけれど、行為に及んでしまった。
これを後日、相手からレ○プだと言われる。
無いとは言えませんよね。
片方はいい雰囲気だったし、もう、そういうことをしても大丈夫と思ってしまった。
たいして、被害者は、まだそんなつもりは無かったし、何より同意なく、意識が無い中で犯されるなんて信用に関わる問題だと。
これ、強制性交等罪までなら、適用除外で強制猥褻になるか、下手すれば警察で、「痴話喧嘩は民事案件なので警察は不介入です」って言われた可能性もあります。
ですが、これからは、これで立件される可能性もある。
被害者にも加害者にもならないために、自衛していくこと、相手に敬意を持ち、適正な距離を保つ必要性が出ているんだと思います。
感想お待ちしてますщ(´Д`щ)カモ-ン




