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№11 仁義なき闘争の果てに~後編~0フィナーレ

 なんとか、無事完結しました。

 読んでくださった皆様に感謝です。

 

 戦いは風雲急を告げる。

 パルム本軍の先頭に立つのは、ピノとせばすてぃあん、それにマリーだった。

 3将を退けたとはいえ、本軍はいまだ健在である。

 絶対王モナキング、氷姫の通称を持つボーデン正妃、宰相である大賢者スノー=ダイフクに鼓舞され、ローデ精鋭軍は小国パルムを飲み込まんとしていた。

「パルムにしてよくやった。だが、ここまでだ。速やかに降伏せよ。さもなくばワシの力で捻りつぶしてくれよう。」

 モナキングは意気高々に宣言する。

「そうザマス」

 ボーデン妃は愛用の銀縁眼鏡に光らせる。

「降伏か否か。王の御前でピノ姫よ。その意を示せ!」

 宰相ダイフクは、眼前に見えるピノに決断を迫った。


 夕闇が真っ暗となり互いの軍に篝火が焚かれ煌々と辺りを照らしている。

「ほほほほ」

 ピノは口元を抑え苦笑する。

「何を今更」

 せばすてぃあんは腕組みしたまま呆れかえる。

「姫様やっちまうだ」

 マリーは指の骨をボキボキ鳴らした。


 静まり返る戦場にピノの姿はみえない。

「来ぬか・・・ならば・・・」

キングは鼻で笑う。

「やっておしまいっ!」

 ボーデンは号令をかける。

「あらほらさっさ!」

 ダイフクは軍に進軍を告げる。


 風雲急を告げる戦いに、ピノは人差し指を天に向けた。

「いいこと。パルムに喧嘩をうったことを後悔することね。いくわよ、せばす、マリー」

「はい!」

「んだ!」

 3人は敵軍へと駆けだすと、同時に地を蹴り空高く飛んだ。

 それから、身を素早く回転させると、両手を広げ竹とんぼのように舞い上がったのだった。

「ほほほほほっ!とんで、とんで、とんで、とんで、まわって、まわって、まわーるうーるですわ・・・名づけて夢双(想)花っ!」

 

「消えたっ!」

「馬鹿なっ!」

「奴らは鳥か、化け物かっ!」

 ローデの兵士達がピノたちの姿を見失い、戸惑っている瞬間であった。

 敵軍の中央上空に3人はいた。

 微笑み合う、ピノとせばすてぃあん、マリー。

 満月を背に3つのシルエットは、最高到達地点で宙返りし重なり、標的を目掛け急降下する。

 瞬間の出来事だった。

「ほっ」

「よっ」

「だっ」

 ピノはモナキングの襟首を掴み、両足で地面に着地すると蹴り上げ再び空へと舞った。

 せばすてぃあんはダイフクをマリーはボーデン妃を捕らえ、舞いあがる。

 兵士達が呆然とする中、3人は悠々とパルム軍へと消えていった。


 王を人質にとられた事で、身動きの出来なくなったローデ軍は、その場で動けず膠着状態となってしまう。

 しばらくして、ピノたちは捕らえた3人の首領を統制のとれていない軍の前に連れ出す。

 兵士達はピノたちに罵声を浴びせる。

「シャラップですの」

 彼女は一歩前へ進み出て続ける。

「今から戦争の元凶3人を解放しますわ。だけど、それには我がパルム公国への永久不可侵を誓うこと、すでにモナキングに確約の言質及び証書はいただいていますの」

 兵士達がざわめきだす。

「そんなの嘘だっ!」 

「我等の王が世迷言などいうはずがないっ!」

「証書など偽物だっ!」

「ひょっとしたら、あの3名は偽物···」

「王の意志を継ぎ、このままパルムを攻めとるが吉っ!」

「そうだ!そうだ!」

「やってしまえっ!」

「えいえいおーっ!」

 血気盛んな兵士の一言に、軍勢は一斉に鬨の声をあげる。


「この期に及んで・・・」

 せばすてぃあんは頭をかいて首を振った。

「おめさ達、人望ねぇだばか?」

 マリーの言葉に、王と妃、宰相はしゅんとうな垂れた。

「まったくですわ」

 ピノは溜息をつきげんこつを掲げる。

 そして、

「ほい」

 と、拳を地面に叩きつける。

 バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキッ!

 地球が真っ二つに割れた。

「うんちゃ!」

 いわゆるひとつの地球割りである。


 ピノは両手でパンパンと土を払い、淑女らしくフレアスカートの埃を払って笑顔をもせた。

「よろしくて」

 ピノはウィンクをして目配せをすると、せばすてぃあんとマリーは腰を抜かしている3人を解放した。


「撤退だっ!撤退っ!」

 モナキングは声を張り上げ、

「ローデへ帰りますわよ」

 ボーデン妃は半ベソでローデ軍へ駆け込む。

「なんでそーなるのっ!」

 宰相ダイフクは深々と3人に頭を下げ、横小走りに去っていった。

 こうして、ピノたちによって、パルム公国はローデ大帝国の侵攻を退けたのであった。



 0~フィナーレ~


 これにてようやくアタクシとせばすてぃあんの平穏な日々が訪れたのですの。

 本当におまっとさんでしたわよ。

「せばすてぃぁん」

「姫っ」

「せばすてぃぁんっ!」

「ピノ様っ!」

 ふたりは熱い抱擁をかわし、身も蕩けるようなチッスをかわしますの。

 まさにときめきトゥナイトですわよ。


 ・・・・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・。


 これにてアタクシとせばすてぃぁんは、晴れてパルム公国の后と王となり、白い小さなお城には、小さなウインドウと大きな扉、部屋にはアンティーク調の暖炉があるの、庭には二羽ニワトリがいて、黄色のひまわりと赤いでぃごの花、ドーベルマン(刑事じゃなくってよ)の横にはYOUyou的な感じで結ばれて永遠のハッピーエンドを迎えましたとさ・・・ん?これハピエンじゃなくね?ま、いっか、いっか、いっか~思い通りにいかないのが世の常ですからね。


 結局、アタクシたちは、いつも通りの平常運転パルムでドタバタしていますのよ。

 おちこんだこともあるけど、アタクシは元気です・・・元気、元気、元気な子どもは股間がすっぽん・・・風になれ元気の方がよかったかしらん。

 お父様は喉も過ぎれば熱さを忘れるで、次の政略婚姻を画策していますの。

 まったく、困ったお父様・・・プンスカプンだわっ。

 でも大丈夫・・・きっと、だいじょうVっ!

 愛するせばすてぃぁんがいればっ!

 どんな困難も二人は昭和枯れすすきですわっ!

 アタクシ達の物語はまだまだ続くのよっ!

 ・・・ちょっと打ち切りみたいな0フィナーレですわね~。

 こんなのいやーんまいっちんぐですわよ。

 なーんて。

 さよならするのは辛いけど仕方がないですわね。

 それではまた会う日までごきげんようですわ。

                おしまい 



 もう、ちょっと書けたような・・・でも、ピノ、せばすてぃぁん、完走ありがとう。

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