№0 アラフィフ豊子
え~世代間のある異世界ばなしになると思います。
私はOLの藤崎豊子、アラフィフ女子だ。
憧れの白馬の王子様を待つあまり婚期を逃し、今じゃ血眼になって婚活をしている。
だけど、それは内緒だ。
かつて言い寄って来る男はいたけれど、私の理想にはほど遠い。
私の理想・・・決して高くはないと思うけど、収入はせめて年500万以上、身長170㎝以上は欲しい所、見た目はマチャハルかしら・・・いやだ!マチャアキじゃないわよ。「何点っ!何点っ!」って、カラオケバトルで催促する孫悟空あんどMr.かくし芸じゃないわよ。モチのロンで福山の方よ「〇んちゃん〇雪のこと、どう思ってんだよ」って、思わず物真似しちゃったじゃないの。
・・・・・・。
はたと気づく、そんな事を一人上手に無意識でやっている。
鏡の前の無様な私、恥ずかしいったらありゃしない。
はぁ。
溜息もでるわよね。
くせっ毛をドライヤーで直し、薄い化粧をして、さぁ会社へ行こう。
会社は楽しくないだけど、仕事ってそんなもんでしょう。
生きる為に働く、それは当たり前のことなのだから・・・あたりまえだのク〇ッカーって、私はそんなに年をとってないわよ・・・てなもんやってかっ。
はぁ。
風の噂で耳にした。私は牢名主だと・・・そりゃあね、結婚もしないで30年以上も会社にいればそう言われたって仕方がない・・・私だってそう思う・・・だけどっ!
面と向かって言いなさいよ。
言いたい事があれば正々堂々と・・・あー、一言ってやりたいは「アンタどこ中なのよ」とね。
こうなるとビーバップね、高校与太郎大戦争だわ・・・。
いや、スケ番刑事かしら・・・。
「おまんら許さんぜよ」
ってね。麻宮サキはやっぱ2代目よねナンノ可愛かった~。
「ふ」
私は自嘲気味に苦笑した。
(そんな勇気もないくせに)
そうだ。
そうさ。
私は今まで波風をたてないで生きてきた。
「静かなる〇領」・・・ドンはだいたいメーラン屋さんに、「ゴルゴ13」と「こち亀」それに「美味しんぼ」が置いてあったわよね~。
ドンね~昼と夜の顔・・・朝と〇の間に・・・って、それっピーター・・・って、そのツッコミ、ゴージャスっ。
ああ、馬鹿馬鹿しい。
あ~イライラする。
浅〇南50ちゃい、イライラする・・・これっ、いとうあ〇このネタっ・・・また、ゴージャスっ(笑)。
私は給湯室で溜息をついた。
今日も阿保上司達へせっせとお茶を淹れている。
これが何になるの。
ご機嫌取り?
いつのまにか私の役割になっている。
25年も!
周りの若い子たちは声をひそめる、私がおべっかつかい?
馬鹿じゃないの!
私は眉間に皺を寄せ、目を閉じた。
あったま、いたい!
あったま、てーか自重っ。
「あーやってらんないっ!」
思わず私は両手でテーブルを叩いた。
「・・・ごめんなさい」
見上げた先には、今年入ったばかりの男子受けのいい新入女子社員だった。
彼女の世話係が私、その美貌とは裏腹に仕事は出来ないのにかなりの腹黒ときている。
男を手玉にとり、のしあがる。
その為には手段を選ばす上司ともチョメチョメ。
それって、しんごや〇しろ~。
さながら群がる男どもはアッシー君、メッシー君ね。
まずい、咄嗟に私の本能がそう感じた。
上司に告げ口する気だ。
「あっ、違うの」
噓泣き(多分、絶対)して給湯室から駆けだす。
彼女を追おうとして、私は一歩を踏み出した。
ずるり。
なんで、こんなところにバナナが・・・そんなバナナ。
私はテーブルの角に頭をぶつけた。
なんて日だっ!
そう思いつつ、次の瞬間、意識が飛んだ。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
遠くで、かすかに声が聞こえる。
「藤崎さん・・・まさかあんなことで・・・」
へ?どういうこと。
私、どうなってしまったの?
まさか・・・ね。
目・・・あけ・・・なきゃ。
暗転。
意識がまた消えた。
・・・多分(笑)。