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ネモフィリア  作者: 武月澪
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序章

モーガンへ


 私の名前は、この空の遥か下の地上に咲く花の名前から取って、爺様じじさまが名付けてくれました。

 好きな事は芝生の上で裸足になって寝転んで、青空を漂う雲の形をぼんやり眺めてから昼寝をする事。それと、相棒のスノーベリーと飛行をする事。剣技を磨くのも悪くないけど、自由に思うままに大空の風を切るあの感覚はいくらでも味わいたいほど爽快ですよね。あとは、気心知れた仲間達と夜遅くまで飲んで、酔っ払って歌い騒いだのもとても良い記憶です。節度なくワインを浴びるように飲んで、爺様に翌朝叱られましたよね。


 いつも通りの日常から一転、火に呑まれそうになったり、冬の寒さで倒れそうになったり、討伐隊に追われたり、崖から飛び降りたり…。毎日死と隣り合わせだったけど、楽しい思い出もたくさんあるし、貴方と様々な困難を乗り越えてきた事実を誇りに思っています。何度も貴方に危機を救われました。

 でも何より私が伝えたいのは、貴方にはとても悪い事をしてしまったと後悔していることです。最後に会ったあの夜、貴方の想いを理解せず、無神経な言葉を言ってしまった事。今でもその時の貴方の顔を思い出すと胸が痛みます。貴方がずっと大切にしてきた思い出を、私は穢してしまったのです。自分の心しか見えていなかったのです。

 ごめんなさい。本当にごめんなさい。

 直接会って話せればよかったのだけど、叶いそうにないのでこうして手紙を書かせてもらいました。

 私達が関わるのはもうこれで最後です。自分なりに皆を守るための手段を選びました。


 そして、最後に言わせて下さい。私は貴方を心の底から愛しています。今も、これからも、貴方を思い続ける事を許してください。

 貴方と出会って共に過ごした時間は一生の宝です。今までありがとうございました。


さようなら。



貴方の友人 ネモフィリアより

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