表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルをよみ解く転生者〜文字化けスキルは日本語でした〜  作者: よつ葉あき
クリスディアへの道程

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/337

37.2回目の宿での夕食

感想・誤字報告ありがとうございます。




「美味い!!」


「ディアン、しーっ!」

「ディアン様、声が大きすぎます!」


待ちに待った夕飯の時間! (特にオブシディアンにとっては)

最初に運ばれてきたのは、熱々のフライドポテト。

それを1本つまみ、口に入れた瞬間──

オブシディアンは、店中に響き渡りそうな声で叫んだ。


「美味い!」


私たちの静止もどこ吹く風。

興奮気味に、フライドポテトについて語り出す。


「やはり、フライドポテトは出来たてに限る! 冷めたものの何倍も美味い!!」


その意見には、内心激しく同意しながら、私はお昼と同じようにケチャップとマヨネーズを添えた。


(あ、そういえば昼にフライドポテト出した時、ソース忘れてたんだった……まあ、黙っとこ)


小皿にケチャップとマヨネーズをスプーンで1杯ずつ取り、さくっと混ぜる。

ついでにオーロラソースも作った。


「これは?」


「見てのとおり、ケチャップとマヨネーズを混ぜただけのオーロラソースだよ」


オブシディアンはマヨネーズを、リズはオーロラソースをポテトにつけて口に運ぶ。


「これは……昼のブロッコリーにかかっていたソースか!

昼のマヨネーズが焼けていたのも美味かったが、ポテトにつけても美味いな!!」

「フライドポテトはそのままでも美味しいですけど、マヨネーズをつけるとまた違った味になりますよね。

オーロラソースも、トマトの酸味とマヨネーズのまろやかさが合わさって、全然別の味になるのが面白いです」

「でしょ? やっぱ調味料も大事だよね~」




そんな話をしているうちに、次々と料理が運ばれてきた。


今日のメニューは──


細切りフライドポテト

ブロッコリーとゆで卵のマヨネーズ和え

ソーセージと野菜のポトフ

アボカドのチーズ焼き

ショートパスタのアラビアータ



さすがオリバーさん。

昼に出たブロッコリーのベーコン焼きを、見事にアレンジしてきたらしい。


緑のブロッコリーに、ひと口サイズに切られたゆで卵の白と黄が映えていて、色合いも鮮やか。

ゆで卵も固すぎず、ちょうどいい茹で加減でおいしい。


ポトフは、いつものあっさり塩味。

でもソーセージからもしっかり旨味が出ていて、たっぷり入った野菜も、あのヴィリスアーズ家のドロドロ煮込みとは違ってホクホク感があって嬉しい。


アボカドのチーズ焼きは、食べ頃のアボカドに香ばしく焼けた濃厚チーズがとろりと絡み、ワインにぴったり。


そして──


「ペンネ・アラビアータ!?」



ピリ辛トマトを絡めたペンネ……ショートパスタが出てきた。


(……うわぁ、この世界にもパスタあったんだ!?)


「なんだこれは。なんか、舌がピリピリするぞ!?」

「うん、鷹の爪が入ってるからね。辛すぎたら、赤い輪っかの部分を避けるとマシになるよ」

「確かに辛いですが……このペンネというパスタ、もちもちしていておいしいです。

辛いのに、なぜかもう一口食べたくなりますね」

「そうだな。辛いが……この“赤ワイン”という飲み物と一緒に食べると、美味いぞ」


──などと言いつつ、オブシディアンは赤ワインやエールを次々に飲み始めた。

ちょっと心配になって止めようかとしたけれど、聞いてみると「毒耐性のスキルがあるから問題ない」とのこと。


……って、それ。それならお酒飲む意味、なくない……??


「お待たせいたしました」


そう言ってオリバーさんが、自ら運んできてくれたのは──

例の、ボウルいっぱいに山盛りされたフライドポテトだった。


(うん……改めて実物を見ると、やっぱすごい量だわ……)


オブシディアンは「おおお〜!」というテンションで目を輝かせながら、そのポテトを見つめる。

そしてふと、手を宙に掲げ──ふわりと風が舞った、その瞬間。


ガシッ、とリズがオブシディアンの手を掴んだ。



「ディアン様? マジック(バッグ)をお使い下さい」


あの、何も言わせないような笑顔で、ぴたりと迫るリズ。


「ん? ……おお、そうだったな!」


オブシディアンは特に気にした様子もなく、自然に頷いた。

あの笑顔を前にしても動じないとは……さすが聖獣。


そして、腰に下げていた黒いポーチ──私と一緒に雑貨屋で買ったやつの口を引っ張ると、

ぐにーんと口が広がり、大きなボウルをそのまま飲み込んだ。


……もちろん、カモフラージュだ。


あれはただの普通のポーチ。

でもオブシディアンは、空間魔法を自在に操る聖獣。

だから本当は、ポーチなんて使わずとも、宙に手をかざすだけで異空間を開いて、物を収納できる。


私にくれた マジック(バッグ) と同じように、

その中では時間も止まり、容量も……なんと無限。


でも、そんなぶっ飛んだ能力を人前で使えば騒ぎになるのは必至。

だから、『マジック(バッグ)を使ってる風にして下さい』と、リズが事前に指導していたのだった。




次回、お魚食べたい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ