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ブクマ・評価ありがとうございます!



「ティアナさん、そろそろ時間ですよ」

「あ、本当だ。じゃあオブシディアン、私達ナポルケーキ作ってくるね!」

「待て。ナポルケーキとは何だ?」


リズに声をかけられ、さあ厨房へ向かおうとした瞬間──食いしん坊の声が止めた。





「ティアナお姉ちゃん! リズお姉ちゃんと……?」

「ディアンだ。宜しくな」


「先ほど作ったナポルのコンポートを使ってお菓子を作るんだ」と説明すると、

『私も行こう』とオブシディアンが言い、当たり前のように後ろをついてきた。料理に興味があるのか、それともただ暇なのか……?

マイカちゃんと会わせて大丈夫かと少し心配だったけど、にこやかに自己紹介をする様子をみて、ほっとした。が



「⋯⋯⋯⋯」


マイカちゃんが無反応だ。

人見知りする子ではないと勝手に思っていたけど、勘違いだったのだろうか?


「マイカちゃん??」

「──わぁぁ! すっごく綺麗なお兄さん! こんな人、本当にいるんだねっ!」


料理を見た時のようなキラキラお目目で、言った。

マイカちゃん、もしかして……イケメン好き?



「では、今からナポルケーキを作りたいと思います」

「ナポル……ケーキ?? ケーキつくるの!?」

「うん。そのつもりだったんだけど……もしかして食べたことあった?」



ふるふるっとマイカちゃんは首を振る。


「マイカは無いけど……お父さんが昔、1度だけ食べたって『美味しくなかった』って言ってた」

「どう美味しくなかったかは、聞いた?」

「なんかね。『ボソボソしてて甘過ぎて……クリームがねっとりしてた』って……」



うん。多分それは……屋敷で食べたような激甘ねっとりケーキを食べちゃったんだろうなぁ。


リズを見ると同じ事を思ったようで困り顔だ。

そんなリズがマイカちゃんに言った。



「マイカさん。

私も貴族の方の家でケーキを食べた事が有るけど、オリバーさんが言ってた通りで、クリームがねっとりしてボソボソして美味しくなかったの。

でも、今回はその事を知ったティアナさんが、 しっとり、ふっくらなクリームを使わないケーキ を作ってくれるらしいので楽しみなのよ」


「しっとりふっくら……っ!?」


どうしよう。ちょっと……ハードルが高くなりすぎた気もするけど。

私のケーキは、ねっとりボソボソなんかじゃない! そう証明してやる! と、準備を始めた。


「リズ、材料をお願い。

薄力粉、バター、牛乳、卵、砂糖……」


私が言ったものを、リズがマジック(バッグ)からどんどん出していく。ほんと、便利!


「あと、重曹とクエン酸」

「⋯⋯? 重曹とクエン酸が必要なの? なんで?」

「もちろん、ケーキ作りよ」

「え!? 重曹とクエン酸はお掃除や洗濯に使うものだよ?」


やっぱり驚かれたか。

材料で本当は欲しかったのは、ベーキングパウダー。

でもベーキングパウダーは見つからなかった。ので、無いなら作っちゃおう! という訳だ。


あらためて、重曹とクエン酸を【解析】してみる。




-----------------------------------------------------------------------



【重曹 】


炭酸水素ナトリウム


(効果)


弱いアルカリ性で、酸を中和する作用がある。

人体に無害な物質。膨らし粉の主成分。

消臭作用・吸湿作用。発泡・膨張作用がある。



(品質)


(状態)

掃除用




-----------------------------------------------------------------------




【クエン酸】


柑橘類などに含まれる有機化合物で、ヒドロキシ酸のひとつである。


(効果)


手あかや水あか、消臭効果、洋服の黄ばみ防止等、アルカリ性の汚れ落としに。


(品質)


(状態)

洗濯用



-----------------------------------------------------------------------




うむ。食べちゃダメな感じだ。


【解析】の結果、どちらも食用じゃなかった。

でも、【生産】スキルで変えられるかも?



「食品用に変われ!」



-----------------------------------------------------------------------


【生産】スキルをつかって、重曹(掃除用)・クエン酸(洗濯用)▷▶︎▷重曹(食用)・クエン酸(食用)に変化させますか?


YES/NO


-----------------------------------------------------------------------



「やった……! 予想通り!」


YESをポチッとな。





──重曹(掃除用)・クエン酸(洗濯用)を重曹(食用)・クエン酸(食用)に変化させました──






「【解析】!」




-----------------------------------------------------------------------


【重曹 】


炭酸水素ナトリウム


(効果)


膨らし粉の主成分。

重曹と酸が中和すると二酸化炭素が発生する。二酸化炭素の泡を利用して、お菓子を膨らませたり、炭酸ドリンクを作れ、アク抜きにも使える。



(品質)

★★★


(状態)

食用



-----------------------------------------------------------------------



【クエン酸】


柑橘類などに含まれる有機化合物で、ヒドロキシ酸のひとつである。すっぱい。


(効果)


疲労回復・血液の酸性化を抑制・血流改善・ミネラルやビタミンの吸収促進・美肌効果



(品質)

★★★


(状態)

食用



-----------------------------------------------------------------------



「よし、大成功!」



この2つを合わせれば、お手製ベーキングパウダーゲットだぜ!

と、思わずガッツポーズをした。



「……? なにをしたの?」

「……………………」

「……ほぅ?」



不思議そうにするマイカちゃんと、笑顔で固まるリズに、感心するような声を漏らす、オブディシアン。


「……なるほど。

食用には向かなかった物を、【生産】で品質を改良し食用に変えたのか」



オブシディアンは置いてある重曹を手に取ると、

「不純物を取り除き、きめ細かくなったのか。面白い」と観察していた。


「品質⋯⋯改良? そんな事、できるの??」


口を開き、ポカンとした様子のマイカちゃん。

その様子を見て、「あ……」と思ったが遅かった。


「ティアナさん……? ディアン様……?」



笑顔なのだが、何故か怖く見えるリズが私達の名前を呼んだ。



「……な、何?」

「ティアナさん、そろそろ自重という言葉を覚えませんか?

普通は品質改良なんてまず出来ませんし、それをどの様に改良したかなんて、少し見ただけでは解りません」


そう言われ思い出した。

昨夜、【生産】について、オブシディアンが教えてくれた事。


『生産系のスキルならアイテムや装備を作成できるだけで、強化や変化はなかなか出来ないと思うぞ?

通常は【鍛冶】スキルなど極めて達人と言われるレベルにならんとできん』


……て、確かに仰ってましたね。

そして私もそれを聞いて


もしかして【生産】ってだいぶチート?


って思っていたはずなのに、やってしまった。

リズ達のこの反応、昨日私が思った通りチートスキルだったようだ。


【生産】スキル、楽しくてついノリノリで使っちゃったけど……もしかして、やばい?



……人前で使うのは、控えた方が良かったらしい。




次回、ナポルケーキ


面白かったら、下にある広告のさらに下にある評価の★をよろしくお願いしますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
【解析】! なんてスキル名を安易に口にしちゃいけないと思う っていうか口にしないと使いないのか??
[一言] 【生産】スキルを使うのが楽しくて、つい調子に乗ってしまった。⋯⋯人前で使うのは、控えた方が良かったらしい。 マイカちゃんが、真似をして食用でない重曹やクエン酸を使って料理をするかもしれない…
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