15.聖獣様と【解析】
⋯⋯聖獣さま?? って、この黒い馬の事かしら?
「聖獣様が自分から、クリスティーナ様以外の人にご自分から触れるなんて⋯⋯」
と、エリザベスさんも驚いた様子だ。
『其方・・・面白い魂の色をしているな』
急に男性のような声が聞こえ、思わず周りを見渡す。
でも傍にはエリザベスさんとエレーネさんと聖獣様と呼ばれた、大きな黒い馬。
もしかして⋯⋯?
「今⋯⋯あなたが、しゃべったの??」
『我の言葉が解るのか?』
「聖獣様の言葉が解るのですか!?」
エリザベスさんと聖獣様に同時に同じ事を言われた。
「そうみたいです。⋯⋯これも、【翻訳】スキルのおかげなのかな?」
そう答えると、聖獣様が『少しみせてもらうぞ』と言い、変な感じがした。不思議と不快ではないが、例えるならそっと身体を撫でられるような⋯⋯?と思い、思わず自分の身体を抱き締めた。
『ふむ⋯⋯魔力感知力も高いようだな。死人の身体に異世界からの転生者の魂が入るとは珍しい』
「私が転生者て、解るんですか? 今、何をしたんですか??」
『其方も持っている【解析】を使わせて貰った。【解析】を人等に使えば相手のステータスがみえる』
ほほう! そんなに便利なスキルだったのか。
と、思っていると
『ほら、試しに我に【解析】をかけてみるがいい』
と言うのでお言葉に甘えてさせてもらう事にした。
「記念すべき、初【解析】!」
すると聖獣様の前に、例のゲーム画面のような半透明のステータス画面が出てきた。
ステータス
名前:NO NAME
種族:聖獣
状態:正常
職業:なし
スキル:解析 浄化 再生 飛行 変化 闇魔法 etc…
「おおお! すごーい! スキルがetcなんて沢山あるんですね?」
「ちょっと、待ってください! 【解析】って何ですか!?」
聖獣様と話していたら、エリザベスさんに突っ込まれた。
「聖獣様が【解析】スキルを使ってみろ。って言うから、聖獣様に使ってみたんだけど⋯⋯」
「だから、その【解析】ってなんですか?そもそも、貴女のスキルは【前世の記憶】と【翻訳】ですよね?」
【解析】も【翻訳】みたいに一般的なスキルじゃないのかな?と思っていると、私の疑問に聖獣様が答えてくれた。
『エリザベスが驚いているのは【解析】を知らないのと其方のスキルが多いからだろう。
人族は成人した時に授かる初期スキルは通常1つ。
多くても2つだからな』
なるほどー。って事は私が最初から4つもスキルがあるって、とても凄い事なんじゃ!?と思っていると聖獣様が言う。
『エリザベスに【解析】は【鑑定】の上位スキルだと教えてやれ。スキルはたまに例外もあるが、多くの場合は経験から得るからな。記憶が経験値となるのだ。
其方、ジルティアーナの肉体よりもだいぶ長く生きてから死んだのではないか? 通常の15歳よりもそれだけ経験値が多かったのだろう』
なるほど。そのまま【解析】の事などをエリザベスさんに伝えた。
「【鑑定】に上位スキルがあるなんて⋯⋯初めて聞きました。どういう違いがあるのでしょうか?」
元・スキル研究者の血が騒ぐのかワクワクした様子でエリザベスさんが聞いてきたが、そう言われましても⋯⋯私は【鑑定】が、ジルティアーナの知識で、物の名前や性能を調べられるモノ。という事ぐらいしか解らない。そう考えていると、聖獣様が鼻先でツンツンとつついてきた。
『自分のステータスを出してみなさい。そこの【解析】を触り続けてみるといい』
言われるがままにステータスを出し、ステータス画面の【解析】を長押ししてみた。
おお!なんか小さなポップアップが出てきた。
スマホみたーい!そこには・・・
【解析】
・【鑑定】の上位スキル。
・対象物、生物・非生物の名前や、その性能、状態といった詳細なステータスを見ることができる。
(備考)
・見える内容は使用者によって違う
・自分より弱い相手には、ステータスの全て、もしくは一部を隠す事が出来る。
ほほぅ、これは便利! て、
「もしかして⋯⋯聖獣様。私がみた聖獣様のステータス、隠してる箇所があったりします?」
『ほぅ⋯⋯、よく気付いたな?』
と、馬だからよく分からないが、ニヤリと笑われた気がした。
⋯⋯まぁ、いいや。それより、上位スキルっていうけど【鑑定】とは、どう違うのかしら? と、説明の中にある【鑑定】の文字も長押ししてみる。
おお!【鑑定】も出てきた!
【鑑定】
・対象物の名前や性能、状態を確認できる。
・命ある物はその対象ではない。
(備考)
・見える内容は使用者によって違う
ふむ。
1番の違いは、【鑑定】は、生きてる物は調べられないのか。って事は、私や聖獣様がやった様に、人とかをみることは出来ないのね?
あとは【鑑定】より【解析】の方がより詳しく情報が解るっぽいな。
なるほどねー。と思いながら、ふと横をみてエリザベスさんと目が合うと「何か解ったんですか!?」と食い気味に聞いてきた。
「えっと⋯⋯これ、なんだけどね。ステータスオープン」
言葉でだけ説明するより、見てもらった方が解りやすいかな?と思い、エリザベスさんを横に呼び、私のステータス画面を見せながら先程、聖獣様から教えて貰った事を伝える。
ちなみに日本語で書いてある私のステータス。
エリザベスさんには読めない。
⋯⋯はずだったのだが、この1が月の間に私のステータスを見たりする事で、なんと平仮名くらいは既に読めるようになったのだ!
有能だわー。さすが何ヶ国語も使えるスキル研究者!!
私がスキルを既に4個取得していた事や長押し機能に驚いたり、それらについて考えたりしながら、
エメラルドの瞳を輝かせ話を聞き、私のステータスを見ていた。
そんな様子に思わずクスリと笑いながらエリザベスさんを見ていると───
「【転生者】や【解析】それに聖獣様の言葉が解るって、どういうことかしら?」
耳元で突然聞こえた声に驚き振り返ると、そこには腕を組んだミランダさんが私のステータス画面を覗くように立っていた。
聖獣様に、この世界の一般人が知りえない事をサラッと教えて貰いました。
次回、それぞれの後悔。
今日また更新する予定です。