第六話
破壊、破壊、破壊、破壊
ナラウに転生してから3日、食欲と睡眠欲を破壊した俺は、不眠不休で森にいるモンスターを破壊し続けた。この世界を守るために、そして、家族の仇を討つために。
でも、これやってること元の世界でトラックがやったことと同じじゃないですか?罪のない生き物を無差別に殺すって。この内容を考慮すると設定を練らなければいけなくなるので、何も考えないことにした。
「おーい、威信君!」
カシャカシャと鎧の音を立てながらナキシィが走ってきた。
「威信君が強いモンスターを片っ端から倒してくれているおかげで、この森も大分安全になってきたよ。ほら、今日の分の水と食料だ。世界の危機だが、君が潰れてしまっては本末転倒だからな。ちゃんと休息をとってくれ」
あの日からナキシィは俺のために食料を持ってきてくれている。しかし、トラックに対する不安の気持ちでいっぱいな俺は、それらに手を付けずにレベル上げを続けていた。
「ありがとう。でも、俺は食欲と睡眠欲を破壊したから本当に大丈夫だって。それよりももっとレベルを上げてトラックに勝て…る………よう……に……」
バタッ
「威信君!?大丈夫か!?」
「ごめん……どうしてだろう……」
「失念していました。いくら睡眠欲と食欲が無くなろうと、体は睡眠と栄養を必要とするものです。申し訳ありません、この世界の命運がかかっているのにも関わらずこんなに基本的なことを見落とすなんて……」
「たしかに。威信君、私たちのために頑張ってくれてありがとう。私が宿屋まで運ぶからゆっくり休んでくれ……」