第四話
「あたしの名前はツンディーレ=マホッツカイよ。カイって呼んで。改めて、助けてくれてありがとう。その……かっこよ……や、やっぱ何でもないわよ!!!」
いかにもな黒いトンガリ帽子と年季の入った杖を装備していて、一目見ただけで魔法使いだとわかる。そして、あまりにもバレバレに好意を見せてきたが、俺は物語の主人公。恋には鈍感でなくてはならないのでスルーした。
「私の名はホコリタカ=キオン=ナキシィ。ナキシィと呼んでくれ。トーチ王国騎士団の騎士団長を務めている。はは、情けないな。騎士団長ともあろう者が見知らぬ人に助けられるなんて」
その凛とした顔立ちは、まさに誇り高き女騎士である。「いくら体を汚されようとも、心は決して屈しないぞ」というタイプだろう。そそるな。
「わ、わたしはモエモ=エプリーストですぅ……皆からは、エリーって呼ばれてて、このパーティーの回復役ですぅ……わたし、こんな強い魔物初めてで、こわくて、こわくて……はうぅ……」
うわ。
マンガとかアニメとかでこういう喋り方の萌えキャラを見た事があるけど、実際に話す時にこの喋り方されるのはめちゃくちゃ気持ち悪いしイライラする。萌えとかそういうのを通り越して寒気がする。何だこいつ。何だよ「はうぅ」って。何なんだよこいつは。マジで。
しかし、エリーはこの三人の中で一番おっぱいが大きかったのだ。それに気づいた俺は、エリーへの苛立ちが少し収まった。
「ところで、三人は何でこんな森に来たんだ?ここは辺境の地と聞いたが」
エリーの喋り方が苦痛なので、極力ナキシィとカイの方を向きながら喋る。
「この地の瘴気が突発的に強くなったらしくてな。その調査に派遣されたんだ」
「瘴気って?」
「瘴気を知らないのか?一人旅をしているような君なら当然知っている物だと思っていたが……」
やはり異世界。もとの世界とは常識が違うらしい。
「瘴気ってのは、大気中にある魔物の活動エネルギーみたいなものよ。多ければ多いほど魔物は強くなるわ」
「トロールくらいなら、ナキシィさん一人で簡単に倒せるんですよぉ。なのに、ナキシィさんでも倒せない程強くなってるなんて……瘴気が少し強くなった程度じゃこんなにはならないんですよぉ?」
「エリー、すまない。私の力不足のせいだ」
「はわわわ!私そんなつもりじゃ……」
はわわわ………………?きっつ!!!!
「さて、次は君の番だ。君は一体何者なんだ?あの強さの魔物を一瞬で倒すなんて、只者ではないんだろう?」
「えっと、俺の名前は羽賀 威信だ。実は俺はついさっき別の世界から転生してきて……」
「うっそ!あんた転生者なの!?じゃあさっきの轟音って、あんたがこの世界に来た音!?」
「転生者………!?伝承通りの事が起こっている……これはまさか、魔王の復活が近いと言うのか!?」
「伝承ってなんだ?」
「そうか、転生者なら知らないのも無理はない。ナラウに伝わる伝承、君に教えよう」