第二話
「貴方のジョブは破壊神。これは、強い殺意を抱く者にしか手にする事のできないジョブ。ああ、本当に貴方を召喚して良かった」
「ムカムカムカムカトラック許さない……」
俺は破壊神となった。鏡を見ると、過去の俺とは見た目が全くの別物だった。俺は、今まで見た事の無いような絶世の美男子となっていた。
「破壊神は紛れもなくナラウに於いて最強のジョブです。貴方が『破壊してやる』と心で念じさえすれば、ある1つの物を除いて全てを破壊できます」
「ある1つの物って?」
「貴方と同等、若しくはそれ以上の力を持つ者です。そして、それこそがあのトラックなのです。トラックは貴方のような神の手によって召喚された者ではなく、もとの世界で殺した人々の魂を使用し、自身の力でナラウに転生してきました。自身の力で転生した者は、誰かの手によって転生した者より遥かに強い力を得るのです」
つまり、俺の家族の命も利用された……?
ムカムカムカムカムカムカムカムカムカムカムカ
ゴゴゴゴォォォォ(殺意が高まる音)
「凄い殺意だ!ステータスがどんどん上がっていく!貴方なら本当にトラックを倒せるかもしれない!」
「トラックは……どこに居るんだ?」
「トラックは、まだこの世界に来ていません。自身の力での転生には時間がかかるため、トラックはこの世界へ転生している最中なのです。なので貴方には、来たるときに備えて準備をしていてほしいのです」
「そもそも、どうして俺にトラックを倒して欲しいんだ?俺は個人的な恨みがあるが、あんたはどうしてだ?」
「遅刻する女子高生になりきって無差別殺人を繰り返す快楽殺人鬼が転生したら、どうなると思いますか?トラックは、その殺意から間違いなく破壊神へとジョブチェンジします。そして、トラックの性格上、この世界でも破壊を繰り返すでしょう。しかも、破壊神は女神よりも強い力を持つため、私では太刀打ちできないのです」
「あんたが与えるジョブなのに、あんたより強いのか?」
「ええ。私の仕事は、この世界に生まれるものに適切なジョブを与え、世界の均衡を保つ事。普段は破壊神などという理から外れたジョブを与える事はありません。しかし、これは例外です。私の管理下から外れた場所から破壊神が現れるとなれば、こちらも破壊神で対応するしかないのです」
「なるほど、よくわかりました。ありがとうございます」
俺は、初対面なのに「あんた」という二人称で呼ばれても、丁寧に質疑応答してくれるメガミィに心から感謝した。
「トラックが転生するまでに掛かるのは今からまる7日後です。知識は力です。貴方はそれまでに、ナラウについてよく知る必要があるでしょう。今から貴方を地上へ送ります。地上へ出る事により完全なる転生が完了し、もうここには二度と戻ってこれません。いいですか?」
「ああ。トラックをブチ殺す為に、できる限りの準備をするよ」
「わかりました。それでは、こちらへ……」
メガミィは予め用意されていた魔法陣の上へと俺を案内した。
「ちょうどいいですね。今、辺境の地で魔物に襲われている者達が居ます。そこへ転移させますので、貴方の力を試してください」
「ああ、わかった」
「それでは……詠唱を行います。ハァァァァァァァン!フッ!フッ!フッ!ヌゥン!」
魔法陣が輝き、視界が徐々にぼやけていく。
「羽賀威信……貴方は私が見た男の中で一番イケメンでした。結婚したかった……」
メガミィが何か言っていたが、全てを聞き終える前にナラウへの転生は完了した。




