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0話 腹が立ったので契約した。だが私は悪くない

うん。やっちまったよ

「先祖が約束した事ですけど破棄してください」

 開口一番そのイケメンはお父様に向かって宣言した。


 何の事か分からないけど、何故かこの場に呼ばれたわたしモネ(5歳)はきょとんとそのイケメンをじっと見る。


 綺麗な黒い髪に紫の目。

 金色とか茶色が多いので黒い人は初めて見たと思う。


 イケメンというのがメイド達がよく客人に向かって告げる評価の一つだけど――もちろんこっそりとだ。わたしはお子様だからメイド達はわたしが聞いているのを気付いてないか。気付いていてもお子様だから理解してないと思っているのか油断してべらべらしゃべる――今回の客人はまさしくイケメン――後になって、その中でも上玉だとメイド達が騒ぎ立てていたけど――でも残念だけど、その宣言を言うさまはイケメン度を下げている。


「いやですね。別に貴方の家には文句はないです。でも、いくら何でも先祖のした約束だからって、いつまでもそんな化石化したような代物に拘っているものでもないですよねっ。それなのに親父が『生まれた御令嬢が精霊使いとしての資質がとても高いから先祖のした約束通り。我が一族が一番最初に忠誠を誓うので行って来い』と言われてきたんですよ。いくら資質があっても本人の意思があるでしょう!! 第一、俺は、俺はこんなちんくしゃのちびではなくてぼんきゅぼんのお姉さんにお仕えしたいのに!!」

 言っている内容はよく分からないが、馬鹿にされたのだけは理解した。


「まあ、一万ぽ譲って主従の誓いはいいですけど、先祖の約束にはもっと先があって……そんなのこの俺が、スロリアルがするわけがないっ……」

「――私。モネ・イシュバルは、精霊スロリアルと主従の絆を結ぶ事を宣言する」

 自分の名前。そして、スロリアルというのが精霊の名前だと当たりを付けて、先日家庭教師に教わった事を実践してみた。


 そう。


 精霊との主従契約。


 イシュバル家は、この世界屈指の精霊と契約できる一族で、わたしこそ――モネ・イシュバルは後に歴代最高の精霊使いと呼ばれるのだが、今はまだただのちんくしゃのちびであった。


 だが、そんな未来はまだ誰も――この精霊を送り込んだ精霊以外知らないので。


「モネっ!!」

 精霊の意思を無視した主従契約をした娘を叱りつける父と余分な事を教えてとクビになる家庭教師がいただけだった。


 うん。ごめんなさい先生。

スロウの苦労が始まった。

口は禍の元

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