ー 夢魔の嗤い ー
「ハァ……ま、アイツと会話しようと思う方が無理な話か」
案内屋……詐欺師みたいな口調で自分の言いたいことしか言ってなかった。
「はは……アイツは色々と悪態づかれてるけど、詐欺師のワードは初めて聞いたな」
「へぇ……え?」
あれ?今、口に出てたかな?
「え、読まれた?」
まさかとは思ったけど、言わずにはいられなかった。
「俺は記憶屋。 お前の脳内の記憶を瞬時に読み取ったんだよ」
記憶屋はそう言って、トントンと人差し指で自分の頭を突っついた。
そしてニィと笑う。oh......
本人的に笑ったようだが、かなり癖があるようで。笑顔慣れてないのかな……。
「うるせぇ!あんま笑わねぇから仕方ねぇだろ! ……ま、依頼あったら気軽に頼めや。 んじゃ」
記憶屋はポケットに手を突っ込んで、そのまま本の彫刻がされたドアの中へ消えていった。
頭の整理が必要のようだ。
まず、私はさっきの案内屋に選ばれた(理由不明)。
そして、一日一回だけ彼ら(恋愛屋や記憶屋)に仕事を依頼する。
……でも、それでどうなるんだろ。夢の中の話だよね?
取り敢えずどこか入ろう。夜も短いだろうし。なんか今日は楽しい夢だな。最近暗いとか怖い夢ばっかだったし……。
ぐるっと見回す。
扉の中にいるのは知らない人である。人見知りな私が果たして話しかけられるだろうか……?
でも此処の質問もしたいし、中にいるのが優しそうな人であればいいけど……。
そう願いながら、とあるドアを開けた。カフェに入った時のようなベルの音がカランと鳴った。