君の口
君シリーズの二作目です。
君ってさ、いつもマスクをしているよね。
マスクをしている女の子は可愛いと言うけれど、実際のところはどうなんだろうね。
君は可愛いけれど、それがマスクの効果なのかは分からないんだよね。
マスクをしているから可愛いのか、それともマスクをしてなくても可愛いのか。
可愛いじゃなくきれいと言われたいだって? そんなこと言ったって顔の下半分はマスクで隠れてるから、顔の全体像が掴めないんだよね。僕みたいに全体像を掴めるようにしてもらいたいよ。
僕は掴めすぎて少し不気味だって? 確かに僕はいろんな部分が見えているからね。掴めすぎるところはあるかもね。
とくに左側が不気味だって? それは仕方のない事だよ。なにせ露出が多いからね。不気味さは拭えないんだよ。
次のデートの時にはマスクはつけないでほしいな。なぜかというと君の口元をおぼろげにしか覚えていないからだよ。マスク姿の君ばかり見ているからね。
マスクがなければ君の口元がどんなだったかひと目でわかるからね。
何を怒っているんだい? 愛しているのかだって? もちろん僕は君のことを心底愛しているよ。
口元を覚えていないのにって?
だから、君の口元を思い出すために、次のデートはマスクなしでお願いしたいね。
今からもう一度デートをしようだって? 別にいいけど。
マスクは外してくれるのかい?
外すから早くデートしようだって? それなら良かった。
それじゃ、マスクを外してくれるかい?
ああ、そんな口元をしていたね。
忘れていたよ。
やっぱり君はそっちの方がいいね。
なぁ、僕の愛しい口裂け女さん。
――えぇ、私の愛する人体模型さん。
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