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<18>

 とうとう谷原真結良は現れず。

 問題児全員が演習場フィールドで待機する事となった。

 スタート地点である自陣には、様々な射撃武器や近接武器が備え付けられており、各自が好きなように選べるようになっている。

 携行する重量や装備の内容によっては、戦況は大きく左右される。

 さほど話し合うこともなく、無難な中距離ライフルと弾薬。接近専用の剣で落ち着く。

 例外として、剣を持つことをしなかった誠は、体力面において自信のあったので、余計に弾薬を持たせた。

 装備を調えて待機するは、五人のプレイヤー。

 市ノ瀬絵里、蔵風遙佳、間宮十河、荒屋誠……そして吾妻式弥。

 これから試合が始まるというのに、彼らを取り巻く雰囲気は闘志よりも、殺気立っていた。

 感情の矛先は言わずもがな、無断欠場をした谷原真結良に向けてである。



「あの女ァ……絶対許さないわ。アタシに出るよう差し向けておいて、当の本人がいないって、一体どんな神経してるのよ。――ぜったい、ゆるさない。百回殺す。社会的に殺す」


 腰には以前、真結良と戦った時と同じ細身の剣。手には皆と同じライフルを携えていた。


「ひ、ひとまずは落ち着いていこ。……目の前の試合のことに集中しなきゃだよ絵里ちゃん」


 なんとかそうする遙佳。しきりに時計を見ながら時間を気にしている。とにかく冷静で居ようとするも、動揺は落ち着きのない行動にも出ていた。


「ソレを言うなら、オレが一番――『ふざけるな』と言いたい」


 本来だったら出る予定のなかった十河。完全にとっばちりである。

 不満と怒りを隠すことなく、自分の銃に弾倉を力任せに装填し、イライラしている気持ちを示す。


「こうなっちまったら、やるしかねえだろ? がんばるっきゃねえよ」


 誠も同じようにベルトで吊ったライフルを背中にかけた状態で、屈伸運動をくり返す。


「……………………ハァー。そうよね。あの女がちゃんと出てくると思っていたアタシが悪かったわ。次に顔を合わせた時には、憶えておきなさいよ」


 一通りの装備が揃っている自陣のエリア。

 誠が珍しそうに眺めていると、


「ん? なあ十河。これって、ひょっとすると爆弾じゃねぇか?」


「授業で習ったろうに。それはスモークだ。全然ひょっともしていない……」


「あー。あの煙たいやつか。一個持っていくかぁ」


「……………………お前、間違えても屋内とか目の前で使うなよ?」


 特に考えも無し。誠は発煙手榴弾スモークグレネードを無造作にポケットへねじ込む。

 横で見ていた遙佳も置いてあるモノに興味を惹かれたらしく……。


「へえ。空砲もあるんだ。わたしも持ってっておこっと。何があるかはわからないもんね」


「空砲なんてつかうの?」


「うーん。たとえば音で何かを伝えたり……とかかな?」


 無線機があるじゃないと絵里。

 反論を受けながらも、そっと腰に巻いているバックに、一つだけ入れた。

 ――通常、空砲は実弾とは違い、銃口に専用の補助器具(アダプター)を取り付けて使用するものだが、

 この場にある装備は、異界で使われる対異形武器。魔 (Anti)術 兵(Unknown)( Wepon)と同等の物だ。見た目は普通の火器類と変わりはないが、内部の機構は少しだけ物理の枠から外れた作りになっている。見た目よりも軽く、そのぶん……扱うには少しだけ魔力による操作が必要になる。

 装備を調え。遙佳は再び時計を確認した。


「そろそろ、時間がくる。開始のブザーが鳴る前に、全員でもう一度おさらいしとこうね」


 ざっと昨日の説明を再度、簡潔に話す遙佳。



 まず――舞台は第二演習場の四角いフィールド。スタートはお互いが対角の場所から始まる。甲村班は北東から。そして遙佳達は南西から。

 遙佳が単独で索敵を行うために行動を開始する。遅れて残りが固まってスタート。

 無線機で連絡を取り合いながら、現在位置と敵の存在をちくいち、教え合う。

 目指すはフラッグリーダー。残りの人間は邪魔してくるなら応戦。



「弾薬は限られているから連射は御法度。……もし無くなったらお互いに補填し合いながらやりくりして。出来るだけ自陣に取りに戻るような事はしたくない。そんなことしたら相手に行動が予測されちゃうからね」


 式弥は自分の手のひらが汗で湿っていた。何度も拭うが、止まる気配はない。まだ開始していないというのに、額からも汗が流れていた。


「あと何よりも注意しなくてはならないのが、今回の試合は固有刻印が使用可能だってこと。相手の能力は未知数……絶対に無茶はしないでね」


 わかっていたが、やはり言葉で聞くと、絶望的なルールに式弥は押しつぶされそうになる。


「…………あの、みんなは刻印が、使えるのでしょうか?」


 少しだけ全員から間があった。それがイエスなのかノーなのか、式弥には判別できない。


「人のこと考えるよりも、まずアンタが自分の事を考えるべきなんじゃない?」


「はい……おっしゃるとおりです」


 絵里の一言に立つ瀬のない式弥であった。


「とにかくフィールドが広いわ。相手は狙撃出来る人間もいる。出来るだけ開けた場所は避けて、常にしゃへいぶつに身を隠しながらの移動を心がけなさいよ……」


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