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7/12

ツン&天然

遅くてすいません

  6


「なぁ、34巻持ってきてくれたか?」

「いや、まだ発売してないから」


 7月の半場、雨が降る放課後、文芸部の部室での会話。


「え~、次何時でるんだ?」

「うーん、……多分今月中にはでると思うけどな~」

「うぅぅ……待ちきれないぃ」


 例の『定番かつ、ベタかつ、ご都合主義かつ、甘~いかつ、きらきらかつ……』の時代遅れな恋愛小説にはまり、「30冊位持ってるよ~」と、意外と続いているソレを2週間程で読みきってしまい、急に読む物が無くなってしまったのだ。


「ああああああ、暇だぁぁ」

「別の本読んだら?」

「それはイヤだ!」

「?」

「だって、今はまだこの小説(世界)に浸っていたいから……」

「ああ、成る程」

「それに、もうすぐ出るんだろ?」

「うん、毎月20日に発売してるから」

「20日、かぁ」

「それまで1巻から読んだら? 一回読んだんだから、発売日までに読みきれるんじゃない?」

「ああ、そうだな……じゃあ明日もって……」

「と、言うと思って、もう持って来てるんだ」

「お、おぅ……」


 こいつ、エスパーか……?


「今、私の事エスパーって思ったでしょ?」

「……まぁ」

「けどエスパーじゃないんだなー」


 さて何でしょうと聞いて来る彼女に、分からんと告げる。


「ふっふっふー、正解は『彼氏』でしたー!」

「は?」

「だからぁ、彼女の考えている事位、お見通しって事だよ」

「そ、そうなのか……」


 はっきり言われると、少し恥ずかしいと言うか……


「あれ、どうしたの、顔真っ赤にしてー。……もしかして照れてる?」

「う、うるさい!照れてなんか、いないんだからねっ!」


 あ、駄目だ。このセリフ──


「今のは……」


 そして彼女は一拍置き、


「ツンデレ頂「ツンデレ言うなっ!」」


 半分ほど予想していたので、声を被せて突っ込んだ。


「なっ、私の思った事が解るなんて……エs「エスパーじゃねぇよっ!」」

「……」

「……」


「…………君も案外、私の『彼女』だね」

「…………そうだな」


 彼氏の考えて事位お見通しってか……





「はい、1巻」

「ありがとう」


 手渡された1巻。


「……あれ?」

「どうしたの?」

「この本……」

 

 記憶にある1巻と、オーラが違う。


「?」

「私が前読んだやつと違わないか?」

「ん? ……あぁ、1巻は2冊持ってるから」

「何でだ?」

「いや、間違って買っちゃっただけだけど。……それより、よく違う本って分かったね?」

「そうか? だいたい誰でも分かるだろ」

「…………」

「どうした?」

「いや、普通分からないよ」

「そうか?」

「…………まさか、こんな所で天然とは」

「?」


 何言ってるんだ?


「私は天然じゃないぞ?」

「…………」



 それから1日、何故か微妙な顔をしていた彼氏だった。

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