ワンコ3匹
とりあえず置き手紙に書かれていた住所についた私を待ち構えていたのは、3匹のワンちゃんだった。
大きなドーベルマンと小さくてフワフワの毛をしたティーカッププードル2匹。
でもきっと2匹の小さなフワフワは雑種だろう。門からは外には出てこないで、しっぽをパタパタしている。
「い、いぬーーっ!!」
私は思わずかけよって、撫でまくってみた。
「あかーん!!可愛すぎる!!なんだこの子達は!」
されるがままになっている3匹。
ニヨニヨしながら撫でまくり、ワンちゃんに話しかける私。
まことのテンションの上がりぐあいに若干ひいている引っ越し業者。
朝の静かな住宅地になかなかカオスな空間ができあがっていた。
「ほらほらー、君達の名前はなんていうのかなぁ?」
答えが帰ってくるはずもないのにひたすら話しかけて撫でる。
「あれ?首輪に名前がある?ドーベルマン君いい子だから見してねー」
首輪にはクローヴィスと彫られていた。ちびっこ2匹の首輪にはラテとモカ。
「ラテとモカ………クローヴィス………クロ………もしかして、あの時のクロちゃんとラテモカかっ!?」
私はかなりのいぬ好きだ。
というより動物全般に目がない。
そのなかでも犬が特にすきで、よく捨て犬や野良犬を連れ帰って父を困らせた。
むかし拾ってきた犬3匹の里親がなかなか見つからず、もうマンションに置いとくことが出来なくなった。すると、あきなさんがちょっと当てがあるからと言って3匹とも連れていった時があった。
確かクロちゃんって名前付けて呼んでたら、あきなさんが「こんなにかっこいい面構えなんだから、もっと格好いい名前にしろ!」って言ってクローヴィスにしたんだっけ……。
「クロちゃんおっきくなったね!ラテとモカも元気だった?」
ワンっと答えてくれる3匹にだらしなく頬がゆるんだ。