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目覚め


浅倉真は一人暮らしである。

母は幼い頃に亡くなり、父は今年の春からイギリスに単身赴任中。一人で郊外のマンションに住みながら、浪人中なのに予備校にも行かず、引きこもっている。



実は浪人生とはいっても、偏差値などが足りずに試験に落ちた浪人生ではない。勉強はそこそこ出来る為に、第一志望校と担任に勧められた滑り止めニ校しか受けなかったのだが、1番最初の試験の前日になんとインフルエンザにかかった。



娘があまりに辛そうなので、「今日の試験は諦めて、治すことに専念しなさい。次の試験頑張ればいいさ。」と父親は渋る娘を無理やり布団に寝かせた。



父親は娘の試験の日程を良く知らなかった。



それから二週間弱、高熱にうなされ、やっと平熱になった時には試験は全て終わっていた。



そんなやるせない気持ちで、落ち込んでいる最中に、父親に海外赴任の話がでた。



彼女の父親はイギリスと日本人のハーフで、赴任先も実家の近くだった。むしろ自分の実家に娘を連れていき、両親と自分と娘の四人で暮らそう。大学は向こうのところに入れれば良い。そう思い、娘に話した。



ところが娘はその話を拒否。父親は娘を心配して、亡くなった母親の弟にたまに様子を見に行って欲しいと頼んで、一人で渡米した。



よって誰も朝がちょっとすごく苦手な真を起こす人がいない。浪人中といっても予備校には通っていないから、朝早く起きる必要がないのだ。



しかし今日はいつもと違ったのだ。



ぐっすり眠っていたところを朝8時に引っ越し業者が連打するチャイムで起こされた。



頼んでもいない引っ越しサービスに困惑し、とりあえず玄関の外で待たせて、部屋に戻る。ふと違和感を感じ、眠い目をこすりながら見渡せばきっちり纏められている荷物。



机の上には通帳と便箋、そして2つの鍵。



「大抵の事には動じないしっかり者」と友人達から信頼の厚い彼女でも、さすがにこの状況には固まった。



「……え…?」



寝起きのかすれた声が漏れた。






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