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新キャラです。


迷子の迷子の女の子。

アリーシア・クランニエス:一七歳 迷子になった女の子

 気分的に落ち着いてきた私は、一階のリビングを見渡す。中央に設置されているテーブルはかなり大きく、あとで聞いた話では経営する農場と牧場の従業員が食事をしたりできる食堂も兼ねているらしい。


 そのテーブル真ん中当たりで、村中を錯乱していた私を捕まえに来た男に小柄な一つ目の生き物、そして顔は限りなく人間に近いが鼻や口、ヒゲなどがありどう見ても猫の女性。ダークブラウンの髪の頭部から三角の耳が二つ、時に片方の耳だけがぴくぴく動いたりしている。村の中には人間のように生活している牛や馬等の姿もみたから、猫はそれに比べたら最初のように騒ぐほど驚きはしない。


「私の名前は、アリーシア・クランニエス。歳は一七です」


 少しだけ緊張で声が上ずってしまったが、気にせず一礼する。他にも何か言った方がいいのかと思案していると、隣に座った男が口を開いた。


「俺はイヅル。近くの町で相談所の職員をしている」

「相談所?」


 ここが私の住んでいた世界ではなく、異界と呼ばれる場所だという事はこのイヅルという男に肩に担ぎ上げられて、この家まで運んでくる時に聞かされていた。胡散臭い、なんて思いたかったけど私のいた世界には居ない生き物がいるから、案外すんなり受け止められた。

 城の教育係に聞かされていた異界とは、魔王という存在が支配するもっとドロドロとした雰囲気の世界だと思っていたが、そんなことはなく私の世界となんら変わりがない。むしろいろんな生き物達が共存しているこの村は、私の知っている世界に比べ清らかささえ感じる。

 それに驚く事はまだあったが、一番はヒトという考え方。いろんな生物がいるけれど一括りでヒトと呼んでいるのは凄く不思議に思う。


「ああ、相談所って言うのはここら辺の土地に新しく来た人に、その土地にあるルールを教えたりまたは今回の君の様な迷子を保護したりしている所さ」

「城下町の警護兵とかの詰め所みたいなもの?」

「ああ、そんな感じだ」


 イヅルはこくりと頷くと、私の目の前にすわる女性の方へ手を向ける。


「こちらは、コル村で農場と牧場を経営している猫人のコネットさん」

「あ、この度はご迷惑を」


 先程の事を思い返しながらコネットに向けて頭を下げる。知らなかったとは言え、化け物呼ばわりされたら私だったら起こってしまう。その事をイヅルに背中越しに聞かされたときには、さぁーっと血の気が引いた程だ。

 その私の考えを見越しているのか、コネットは笑顔を浮かべる。


「私はコネット。さっきのは気にしてないから安心してね」


 私に笑顔を向けたコネットに申し訳なく思い、視線をコネットの顔から少し下に下げる。お茶の入ったカップに添えられている手が目に入った。人間のように指は5本あるが、手の甲側には毛が生えており縞模様になっている。


「もし知っているヒトに化け物呼ばわりされたら、昔の傭兵時代の装備を引っ張り出して撲殺の刑に処するけど」


 今何か恐ろしい事が耳に入ったような気がするが、あえて気のせいという事にしよう。


「アリーシアちゃんみたいに、この世界に初めて来たヒトなら仕方ないよ」


 気を使ってくれているのか、柔らかい笑みを浮かべながらコネットはお茶を啜る。それにつられて差し出されたお茶を口にする。


「わしはゴンじゃ。もう年寄りだから皆からはゴン爺と呼ばれておるよ」


 口元のひげをもさもさ動かすその姿は、最初こそ驚いたが慣れて来ると愛くるしさが浮かんでくる。

 このままほんわかしそうな気持ちが生まれてきていたが、それをぐっと押さえ先程のコネットの言葉に質問を投げ返す。


「コネットさんは、どうして私がこの世界に初めて来たと?」

「あっはっは、そりゃわかるわよ。だってこの世界には、あんなふうに騒ぐヒトなんて居ないんだから」


 コネットの答えを聞いて、それはそうだ、と心の中で頷いてしまった。

 話を聞くと過去にも、同じよな人が沢山いるらしい。元の世界へ帰った人もいれば、この異界で暮らしている人もいるらしい。このコル村発の馬車の運転手は、私と同じ世界の人なのだと隣に座っているイヅルが教えてくれた。機会があったらぜひとも話を聞いてみたい、そんな事を考える余裕すら徐々に自分の中に生まれつつあった。

 こんなにのどかなのは祖母の家に居た時以来だと、今は居ない祖母の顔を浮かべつつチラリとイヅルの方に視線を向ける。この顔にはどこか見覚えがあり、なんとなく懐かしささえ感じる。しかしその考えを、脳内で必死に頭を振り乱しかき消した。そんなはずはない、この世界のヒトに知り合いがいるわけでもない。本来の世界では誰彼と知り合える程自由な身分ではない。

 ここにいる三人には自分について詳しく話すべきか迷ったが、隣にいる男――イヅルは相談所という所で働いているという事もあり、本来であれば見ず知らずの者に自分の事を明かすのは好ましくない。しかしここは異界という事もあり、そんな事は今は意味をなさないと考え談笑から一転し意を決する。


「私……実は――」


 初対面の相手ではあるので、言葉を選び慎重に自分の事を紐解いて行く。


しばらく戦闘シーンなんてないんだからね!!

漫画と違って視覚表現がないから、小説は本当難しいですね。


表現を文章に書き表せる技術と、知識が欲しいこのごろです。

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